・・・できれば完結までもっていきたいものです。
理性を失ったバーサーカーの命を刈り取らんと迫る刃を、しかしバーサーカーは回避した。
それもただ回避したのではない。一瞬で消えたのだ。
霊体化にしても早すぎる。と、なれば答えはただ一つ。
「令呪か」
悔しげに漏らすキャスターの言葉がすべてだ。
宝具の内容がないようなので、それだけで敵の能力を把握しきることができない。
内容から言って悪魔召喚から召喚術師など、該当しそうな伝承を持っていそうな英霊などいくらでもいる。
しかもあれが非常に強力な礼装で、たまたま持っていたものが宝具化していただけという可能性だってある。
そうだとするならば宝具だけで正体を把握することは不可能だ。
ゆえに敵の能力を推察する時間を取られる前に速攻で片を付けたかったが残念ではある。
・・・しかしまあいい。
令呪は回数制限のあるブースターだ。この段階で一つ使わせたというのは好都合。
また、バーサーカーの戦闘能力も思ったより低い。
いくらサーヴァントの正面戦闘を可能とする偽聖剣だとしてもこの圧倒っぷりはあれだ。
宝具頼りで戦闘能力は低いものと考えられる。
そこまで考えて、キャスターは周りを振り返った。
・・・大量の海魔がまだあふれていた。
どうやら、事前にこの倉庫街中にばらまかれていたと考えられる。数で圧倒して包囲するのが目的だったのだろう。
すでに敵を取り逃がした以上これ以上の戦闘は無意味だし、とりあえずキャスターにしてみれば自分の印象を強く与えたから目的の一部は達成した。
とはいえ、今の段階でマスターがポンポン減るのはこちらとしても都合が悪くなる。さてどうしたものか・・・。
と、思った瞬間雷と炎が残った連中を薙ぎ払った。
自分の眼前を戦車が突進し、自分の後ろを灼熱が通過する。
一瞬で海魔を薙ぎ払ったのはライダーとアーチャー。
ライダーはその戦車で的を蹂躙し、アーチャーはどこからか取り出した杖を古い、灼熱を操って消滅させる。
「・・・スケールがでかいことで何よりだな。秘匿する気あるのか、お前ら」
溜息をつきながら、キャスターはそのまま踵を返す。
「帰るぞマスター」
「え、あ、ああ」
あわてて雁夜も追いかける。
キャスターと雁夜はジャンプすると、そのままコンテナを足場にしながら飛んでいく。
それに合わせるかのように、残されたものも去っていく。
アーチャーは、覗き見していたアサシンも含めてすべてのサーヴァントがこの倉庫街に介していた事実に愉快なものを感じて。
ライダーは結局一人も臣下にできなかったことを残念がりながら、失神した自分のマスターをあまり刺激しないようにゆっくりと。
ランサーは騎士道による決闘を行える相手がいないことを嘆き、しかし主のことを案じながら足早に。
そしてセイバーは、アイリスフィールをかばいながら、一度切嗣とはどんな形でももう少しまともなコミュニケーションをとるべきだと考えて。
そして、暗闇の中で二人の男がその光景を覗き見していた。
使い魔などを放っていたら感づかれていただろうが。魔術を使わずにその辺の野良犬の意識を乗っ取ることができるので、感づかれることなく行動できた。
これで少しは戦闘が楽になるだろう。特にサーヴァントの真名が四つも把握できたのは行幸だ。
アサシンはハサン・サッバーハの誰かだろうし、幸いキャスターはあの鎧で一目で判別できた。
「すっげえよ兄貴! あれがサーヴァントの戦闘ってやつ? 長COOL!!」
なぜか血まみれの男の片方は、その映像を見てとても興奮している。
それを苦笑してみながら、もう片方の男は肩をすくめた。
「とはいえ奴だけでは足止めにもならないな。まあわかり切っていたが、あらゆる意味で最弱のはずのキャスター1人に令呪を使われる必要があるほど弱いんじゃあまりにも台無しだ」
男はそう言ってため息をついた。
何分こちらはいろいろなものが足りない。
アレのおかげで財力などは一気に集めることができたが、それにだって限界がある。
ホムンクルスの製造には成功したおかげで何とか魔力供給のあてはついたが、切り札以外においては期間が短かったこともあって戦力として投入することはできない。
もちろんそれなりの戦力は確保できたが、それだって数に限りはあるしサーヴァント相手に勝てるような戦力ではない。
対マスター戦においては十分だろうが、これだけの戦力をもってしても対サーヴァント戦ではいまだ決定打にはならない。
最低でも代行者を何人か確保しなければならない。あの戦闘能力の高さは非常に強力な切り札になる。
一般人ではいくら集めても白兵戦力としては二流だ。一流を相手にするにはそれなりのものが必要不可欠になる。
・・・今はまだ暗躍する時だ。
幸い、サーヴァントについて勘違いしている状況ならば問題はない。少なくともすぐにばれることはないだろう。
「そんじゃ兄貴! なんかインスピレーションが湧いてきたからちょっと手伝ってよ」
「いいぜ? お前にはいろいろ世話になったからな。治癒魔術による延命位ならいくらでもやってやるよ」
こいつのおかげでだいぶ行動が楽になった。
おかげで相応の戦力を整えることができたのだ。それに魔術にこだわってないおかげで、いろいろと戦闘準備を整えることもできて好都合だ。
魂喰らいを許可してくれるところも好都合だ。少なくとも、あの場で確認できたマスターでは許可すまい。
この程度の手伝いはしてもいいだろう。仮にも主なのだからまあ当然だ。
「それじゃあ早く連れてけよ、龍之介」
「OK、バーサーカーの兄貴」
真のバーサーカーは、この後初期段階で手の内をほとんど見せることなく、姿すら知られることなく暗躍する。
バーサーカーはケイオスワールド的なオリジナルサーヴァントです。ちなみに今作のラスボス予定。
ケイオスワールドらしい奴にしたいと思っております。最終決戦は派手に行く予定です。