Fate/chaos world   作:グレン×グレン

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ケイネスとの交渉編スタート。


嘘は言ってません

「・・・具体的にどういった恩かね?」

 

 どうやら食いついてくれたようだ。

 

 ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは魔術師だ。

 

 魔術師は彼らのルールにそう限りは合理的な生き物だ。うまく話を通せば十分に行ける。

 

 ランサーが非常に面倒だが、彼もこの戦いが騎士道による決闘ではないと理解はしてくれているだろう。交渉の持って生き方次第だが、ある程度なら理解してくれても問題はない。

 

 隣にいる女はちょっと気を付けるべきだな。なんていうかランサーを見る目が熱い。

 

 時々対処してきたストーカーのそれに近いぞ? ・・・っていうか誰だこの女。協力者?

 

「まあ、恩というのはこれだ。見ろ」

 

 そういって取り出したのは一つのボディスーツ。

 

 それを見た瞬間、ケイネスと女の目の色が変わった。

 

「これは・・・なんという礼装だ! 下手な宝具クラスはあるぞ!?」

 

「嘘でしょ・・・? これだけの礼装があるのに機械使ったの!?」

 

「主、これはどういったものなのでしょうか? おれにはよくわからないのですが」

 

「俺もよくわからないんだけど、説明してくれキャスター」

 

 ああ、そういえば言ってなかった。

 

「簡単に言えば来たものの身体能力を強化する魔術礼装だ。百メートルを2秒で走れるだろうし特殊な魔術によりピンポイン●●リア張れるから、戦車砲の直撃にだって耐えるしコンクリートの壁だって粉砕できる」

 

「へー。すごいねー」

 

 久遠が合いの手を入れてくれるが、しかしほかの連中は度肝を抜かれている。

 

 まあそうだろう。偽聖剣ほどではないがかなり強い礼装だ。

 

 アーチャーが高位の魔術師用に開発した強化武装。一応俺用に徹底的に調整がされている偽聖剣が壊れたときの予備武装だったが、つい間違えて持ち込んでおいて正解だった。

 

「そんなものがあるならそれを使えばいいだろう。わざわざあのような下賤なものをそこのマスターに着せた理由は何だ?」

 

「ああ、あれは雁夜に使えないからな」

 

 ケイネスの疑問はもっともだろうが、しかし当然のごとくなのだ。

 

「これは制御するのに一流の魔術師でなければできないんだよ。俺はこれを使うために礼装と一緒に俺自身の体もいじくっているが、それをこの時代の魔術師で出来るとは思えないしな」

 

「ほう? このケイネス・エルメロイ・アーチボルトを持ってもしても手の打ちようもないと」

 

 プライドが傷ついたようだが、しかし製作者を知らないからそんなことが言える。

 

「一小節で瞬間契約級の魔術を行い、空中戦を自由自在に行い。都市丸ごとを工房化し、ろくに金も使わず宝具級の特殊能力を無力化する礼装を持っている相手より強いのか? たぶん下手なキャスターのサーヴァントが魔術戦しても返り討ちできるぞ。ちなみに俺の鎧も彼女の作品だが、宝具としてのランクはA+だった」

 

「・・・・・・・・・無理だな」

 

 ですよね。

 

 まあ、キャスターのサーヴァントとしてなら間違いなく世界最強クラスの能力を持った最強クラスの英霊なのだが。

 

 ちなみにバックアップも規格外だからこそできることであるが、それは言わない。

 

「もちろん俺が消滅すればその礼装も消えてしまうだろうが、その辺に関しては間桐の術式を利用して分割契約すれば問題ない。これだけの礼装を持つことができるというのは、聖杯戦争に参加して得た報酬としても十分すぎるだろう?」

 

「・・・なるほど。確かにこれなら大口をたたいで聖杯戦争に参加した結果としてならば及第点。つまり()()()()()()問題ないということか」

 

 ほう、気づいたか。

 

「これだけの成果があれば時計塔のものたちに誇ることもできる。そもそも不正が運びる戦闘で勝利したところで私の栄光にもならんだろう。ランサーは私にはよくわからんがこの聖杯戦争でサーヴァントとしてマスターに使えることそのものが目的だとかいうし、これで聖杯戦争に勝利して聖杯を手に入れるという目的に固執する必要はなくなったな」

 

 なるほど、ディルムッド・オディナといえばゲッシュのせいで主を裏切って、それが理由の一つとなって死んだ男だ。

 

 忠義より愛とったことに思うところがあるのなら、今度は忠義を取りたいというのはわからなくもない。

 

「・・・それで? 私に対価として何を望む?」

 

 ・・・来た。

 

「現在、我々の元には一人の少女がおります」

 

 俺たちは同時に立ち上がると、素直に頭を下げた。

 

「・・・どうか、その子が健やかに過ごせるように後見人となってもらいたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず、ある程度の説明は済んだ。

 

 虚数属性を持っているということにいささか驚いたようだが、しかし何とか信じてくれた。

 

 そして幸運なことに、乗り気な人が出てくれた。

 

「・・・ケイネス。どうにかならないのかしら?」

 

 ストーカーっぽかった女が何やら心配そうな表情を浮かべている。

 

 なんだなんだ? なんか様子がおかしいぞ?

 

「聞けばその子、相当ひどい魔術の修練を積んでいたんでしょう? 私からしてみればあまりにひどいわ。それが最後は実験材料なんて、さすがにあんまりだわ」

 

 ・・・どちらかといえば冷徹なタイプだと思ったが、どうやら思うところがあるらしい。

 

「う、うむ。ソラウがそこまで言うなら・・・構わない。こちらも相応の報酬をもらったのだ。その分の対価は払うのが筋だろう」

 

 よっしゃ!

 

 内心で俺はガッツポーズをする。

 

 聖杯戦争の勝率は平均して七分の一だ。

 

 しかも開催してから今回で四回目になるが、いまだに勝者が現れていないという体たらく。

 

 ゆえに聖杯だけに期待することはできない。同時進行で桜ちゃんの安全を確保する必要だってあった。

 

 いくつかの保険は同時進行でやっておく必要はあった。

 

 もちろん、遺言という形で交渉した魔術師の家系に桜ちゃんを託すという方法もあった。

 

 だが、この交渉に乗ってくれるレベルの魔術師ではやはりいささか不安が残る。

 

 何しろ虚数属性だ。扱える魔術師などごく少数しかいないだろうし、これだけのレア属性となれば無理やり強奪しようという魔術師まで動きかねない。

 

 だからケイネスだ。

 

 ロードの座にまで到達した魔術師なら、虚数属性にもあたりが付けられるだろう。しかもネームバリューがアレなので、彼が後ろにつけば奪い取ろうという輩も二の足を踏む。

 

 これでだいぶ安心できた。万が一の際は彼を安全圏にまで送り届けることができれば大丈夫だろう。

 

「・・・まあそういうことだ。協力者に対するせめてもの支援として、間桐の家へとくるといい。あそこならここよりはるかに安全だろう」

 

「ほほう? 確かに長い年月をかけた工房ともなれば、我が全力をかけたとはいえ即席の工房よりは安全か」

 

 ・・・ふむ。まだまだ甘いようだ。

 

「そういうわけではないが、ここはあまりにも脆弱な欠点がある」

 

 俺はここに来る前に回収してきた物体を目の前に置くと、包みを広げる。

 

 広がったものを見て、ケイネスは眉をひそめた。

 

「・・・ふむ。見たところ科学によるものだとは分かるが、なんだね?」

 

「ここに来る前に回収した、このビルを爆破解体できるだけの爆薬だ」

 

 その言葉に、一同全員ぽかんとした。

 

「・・・攻略法としてホテルごと爆破解体とかは俺もちょっと考えていたので一応礼装などを使って調べていたのだが、まさか同じことを考えている奴がいたとは思わなかったので俺も驚いた」

 

 念のため調べててよかった。

 

 万が一仕掛けられたら俺はともかく雁夜が危なかった。

 

「聖杯戦争の監督役はあくまで神秘の漏えいを防ぐためにある。この方法で仕掛けられたら監督役としてもとやかく言うことはできないだろう。どうもスナイパーをあの戦場に配置していたみたいだし、こっちに来た方が安全だぞ?」

 

「そういうことはもっと早くいってほしかったかなー」

 

 久遠にはそういわれるが、それは確かにそうだな。

 

 と、反省していたら起爆装置が作動した。

 

 とはいえすでに爆薬からは引き離されているので何の問題もない。

 

「・・・さて、それでは下手人をとらえて尋問でもするとしようか」

 

「いやちょっと待てキャスター。どうやるんだよ?」

 

「それについては同意見だ。追尾されないように魔術的な措置は施しているのではないか?」

 

 マスター二人がそう突っ込むがその辺は何の問題もない。

 

「いくら魔術的に追尾できないようにしようと、起爆装置が遠隔操作である以上機械的なつながりを消すことはできないさ」

 

 俺は素早く立ち上がると、地図を広げてしるしをつける。

 

「・・・電気信号を魔術で追跡したからこのあたりにいる。さっさと使い魔を放って魔術反応を探せばすぐにわかるさ」

 

「「・・・・・・は!?」」

 

 ケイネスと女が驚愕の声を挙げた。

 

 ああ、ウチの連中はすでに適応していたから気づかなかった。

 

 科学的な電波反応を魔術で追跡とか、普通の魔術師は想定もできないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 衛宮切嗣は慌てていた。

 

 起爆装置が一切機能していない。

 

 間違いなく参戦した魔術師の格ではトップクラスであろうケイネス・エルメロイ・アーチボルト。

 

 その工房を正面から打破するなどナンセンスだ。

 

 いくらセイバーが対魔力を持っていようと、直接影響を与えない魔術なら十分に対処する可能性がある。

 

 工学幻影のような魔術なら邪魔になる。地面そのものを動かせばバランスを崩す。ランサーのサポートをする魔術ならそもそも意味がない。

 

 そんな圧倒的な敵を相手に、癒えない傷を負ったセイバーとともに挑むなんて真似をするつもりは一切なかった。

 

 ゆえに爆破解体に踏み切った。

 

 キャスターが来たということからその動きは迅速で、一般人を避難させるということも断念した。

 

 罪もない人間を積極的に殺すのはこちらとしても本意ではない。自分の行動はすべて犠牲者を最低限にするための努力だ。減らせるというのに無駄に増やすのはやりたくない。

 

 だが、こちらの行動を瞬時に読み切るあのキャスターが相手では話が変わる。

 

 キャスターがケイネスの工房に踏み入れたのは戦闘目的ではないだろう。アレは騎士道にこだわるような性分ではないだろうし、正面から挑むわけがない。

 

 と、なれば何らかの交渉が目的なのは間違いない。

 

 そして、あの男がいる状況下で避難を起こす真似をすれば、間違いなく勘付かれる。

 

 その状況下で避難でもされたら難易度が大幅に上昇する。

 

 ゆえに切嗣は瞬時に諦めて爆破することを決定した。

 

 自分たちは世界に恒久的平和を生み出すという目的がある。

 

 この機を逃せば数十年は使うことができず、その間出でてくる犠牲者は数百万を超えるだろう。

 

 数百万の命と冬木市の命を天秤にかければ比べるまでもない。これまでも自分はそうしてきた。

 

 それに時間がかかったこと自体、自分が弱くなった証拠だ。

 

 その結果、爆破には失敗してしまった。

 

 あのキャスターは尋常ではない能力を持っている。

 

 キャスターでありながらバーサーカーと渡り合うだけの戦闘能力をもち、科学を運用することを一切ためらわない。

 

 もしかしたら泳がされていた可能性もある。

 

 その状況下で、よりにもよって部下である舞弥との連絡が取れなくなった。

 

 十中八九攻撃を受けているのだろう。

 

 即座に見捨てるという判断もあったが、いくらなんでも迅速すぎる以上サーヴァントの可能性は低いかもしれない。

 

 この状況下で彼女を失うのは危険すぎるため、急いで様子をうかがいに向かっていた。

 

 ・・・そして、その現場が爆発した時、もう切嗣はどう反応すればいいのかわからなくなりかけていた。

 

「一体どういうことだ・・・っ!」

 

 何が起こればこんなことが発生する。

 

 そう混乱した次の瞬間、ボロボロになった舞弥が駈け出してきて、切嗣は慌てて駆け寄った。

 

「何があった」

 

「言峰綺礼に襲撃されました」

 

 簡潔に行われる説明に切嗣は納得したが、しかし次の発言で混乱した。

 

「その直後、武装した民間人に襲撃され、ダイナマイトが爆発してこの事態に」

 

「民間人・・・だと?」

 

 どういうことだ?

 

 確かにホテルを爆破しようとすれば民間人の恨みを買うかもしれないが、だからといってなぜいきなり。

 

「明らかに正気を失った風貌でした。あれは魔術というより薬物で正気を失っていたと判断するべきでしょう」

 

「なるほど。それは考えたな」

 

 切嗣は納得した。

 

 確かに、薬物を使って洗脳するのは非常に有効だ。

 

 戦力としての価値は低下するだろうが、神秘を使ってないというのが有効だ。

 

 自分たちがホテルの破壊に爆薬を使うように、コレなら教会から何か言われる可能性が非常に低くなる。

 

 もちろん民間人を巻き込む真似をすることに文句を言われる可能性はあるが、しかしそれだけならまだ猶予はあるだろう。

 

 しかし、この状況はさすがにマズイ。

 

 言峰がマスターとして残っている可能性は十分に証明されたが、その迎撃のために民間人を使ったと思われる可能性も非常に高い。

 

 この状況下で教会の指示を素直に聞くような連中はいないだろうが、警戒される可能性はかなりある。

 

「・・・逃げるぞ舞弥。これ以上ここにいるのは危険だ」

 

「了解しました」

 

 切嗣は舞弥を連れて素早く来る前へ向かう。

 

 ・・・そのわずかな時間をつき、一人の魔術師が監視の目を向けたことに気づく事がなかったが。

 

 




自分も道具扱いされていた節があるため桜に同情したソラウさん。おかげで交渉成立。

書けば書くほどチートなメディア。これが最弱扱いなんだから第五次聖杯戦争は地獄だぜ!









そして交渉には嘘をついていません。ただし普通に英霊だったり後ろ盾もシートなのを言わなかっただけです。・・・え? 詐欺? 知らんなぁ
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