Gate   作:clome

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出会い

 突如それは起きた。そして、それは新たな世界の始まりを生んだ。

 

 

 

 2025年、オリンピック開催国日本はかつてないほど盛り上がっていた。オリンピック前日、首都東京はこれまで以上に人、人、人、で埋め尽くされこれから始まる祭りを前に誰もが浮き足立っていた。しかし、学校帰りの街を歩く一人の少年の心は沈んでいた。彼は余り自分の気持ちを伝えるのが得意ではなかった。それ故、高校に入ってからも友達はできず、今日も文化祭の実行委員長に薦められ反対する事ができず自分の不甲斐なさを嘆いていた。

 

「まじバカじゃねぇの」

それは、自分に対してなのか自分を実行委員長にしたクラスメイトに対してなのだろうか。

「てか、俺コミュ障なんだな、、」

俺は中学時代は友達も居たし、誰とだって話すことができた。但し男にかぎっては、だ。何故高校に入って友達が出来ないかと言うと俺は看護の専門学校に入学した。そこは俺以外女子しかいなかったのだ。最初の頃はハーレムとか浮かれていたが、声を掛けようとしても何を話せばいいか全くわからないし、てか恥ずかしい。彼方から声を掛けられても俺が言えるのは、うん、かはい、くらいだ。恥ずかしい。そもそも何故俺は看護の道に進んだかというと。人助けがしたかったという漠然とした理由からだ。だがそれは過去の話だ。今思うとただの偽善でしかないとはっきり言える。俺は人に認めて貰いたかった。だから、心から人助けをしたかった訳じゃない。それに気付いてからは勉強が苦痛になり、もう看護なんてどうでも良くて、どうにか赤点だけは回避しつつあっという間に三年生だ。看護なんて本当になりたい奴しか成れないし、俺には覚悟が足りない。ついでに、コミュ障。今までの実習は思い出したくもない。キョドってる俺なんてチーム医療の邪魔でしかない。まさに黒歴史だ。そんな俺には彼女は当たり前だが居ないし、もう生きてる意味が思い浮かばない。あぁ周りの浮かれた喧騒がムカつく。俺は赤信号で止まり周りを見渡した。当たり前だがうじゃうじゃ人が居て、誰も彼もが明るい表情だ。俺には居場所が無い。心はポッカリ穴が空いたようで自分だけが世界に取り残された感覚に陥る。何で俺生きてんの?

「世界なんて滅びればいい」

つぶやいた瞬間、物凄い寒気が襲った。誰かに見られてる!ただそう感じた。

「どこだっ!!」

人混みの中だけに俺は人の目を集めた。だが気にしている余裕は無い。青信号になった。ひとが流れていく。だが視線はつづいていて、今も絶えず嫌な汗が溢れだしてくる。ほんと、なんなんだ!必死に周りを見渡すが尚も視線は感じる。気のせい?なのか、、落ち着こう。周りの視線が痛い。取り敢えず深呼吸しよ、ぅ、、、、居た。

交差点の中心に彼女はいた。ただこちらを見つめてくる。

「綺麗だ」

頭で理解するより早く口にでていた。彼女の視線に吸い込まれるように魅入っていた。綺麗な蒼の瞳に風になびく黒髪、そして透明感のある白い肌。しかし、残念なことに顔が怒っている様に見える。何故だろうか、俺はあんな美少女知らないし、先ず会ったことも無いはずだ。呆けていると彼女は口を開いた。

「*****」

「いやいや聞こえないし、、」

残念ながら距離が有りすぎて全く聞き取れない。

だが、何を思ったのか彼女は優しく微笑んだ。

 

そして、突如それは起きた。

ドンッ!

遠くから鈍くて重い音が聞こえた。そう、遠くだ。そちらへ首を動かすと信じられない光景があった。遥か彼方の景色が波打っているのだ。

「なんだ、あれ」

自分の目が信じられない。いや、意味が分からない。地面が波打っているのだ。そして物凄い速さで近付いてくる。

『キャーッ!』

『逃げろ!』

『うそだろ!』

悲鳴が聞こえる。これは現実なのだろうか、感じるものは極めてリアルだ。

自分の頭が処理しきれないでいるのだ。

「逃げないと、」

頭では理解しているが呆然としてしまう。逃げる?あの速さに?どうやって?車でもあの速さには無意味だ。人だっている。ならどうするべきだろうか、何も思い浮かばない。。

そうして無駄な時間を過ごした代償に、巨大な波はあと一キロもない距離まで迫っていた。

悲鳴が聞こえる。どうしようもないじゃないか。周りを見渡す。逃げる人、人、人。しゃがんで耳を塞いでいる子がいる。とても怯えているのだろう。彼女は白い杖を握りしめていた。あれって、、助けないと!人が邪魔だ!あぁくそ!あともう少し、、

「だ、大丈夫?んぐっはぁはぁ」

「・・・・」

返事はない

「大丈夫?」

「え?」

彼女は顔をあげたが、目を閉じていた。

「大丈夫ですか?」

「わ、わたしですか?」

「はい」

「怖いです。」

「逃げましょう。」

「で、でも、わたし、、きゃあ!」

「ごめん!我慢して!」

俺は彼女をお姫様抱っこした。話している余裕はない。もうすぐ波が到達する。想像はしたくないが頭が嫌な未来を想像してしまう。足が震える。気を抜けば腕に抱いた女の子を傷つけてしまう。それはいけない。それでも、走る走る走る。

「くっはぁはぁ。あ、あった」

彼女にたどり着くまでに放置されたトラックを見つけたとき、これしかないと思ったのだ。

「ぐっはぁはぁ。ちょっと下ろすよ」

「は、はい。すみません」

クロネコマークでお馴染みのトラックだ。荷台は作業中だったのか開いたままだ。荷台に女の子をそっと下ろす。

あとは自分が乗るだけだ、震える足を持ち上げ、急いで乗り込み内側から鍵を閉める。

『ガチャン』

「はぁはぁ」

「大丈夫ですか?」

「俺は、んぐっ、大丈夫、だから。」

「その、ほんとに、ありがとうございます」

「まだ、どうなるか、、分からない。」

そう言った側から地面が揺れだした。

「あの、もう一度私を抱き締めて下さい。。」

そう言った彼女の言葉震えていた。

「お、俺でよかったら」

思わず声が裏返ってしまう

「お願いします。。」

どう抱きしめればいいのか、こんなの初めてで緊張してしまう。俺みたいな奴がいいのだろうか。せめて俺以外の奴に助けられたほうが良かっただろうに、とても申し訳なくなる。だが地面から伝わる振動は強くなる一方だ。こうなったら、当たって砕けろ!だ。いや、相手からの申し出だからそれとはちがう。ええい、覚悟を決めろ!

驚かさないようにそっと、後ろから抱きしめる。女の子は震えていた。怖いのだろう。今も外からは悲鳴が聞こえてくる。俺も怖い。

「ありがとうございます。温かいです。」

「い、いえ」

そして、何かが迫る音が大きくなり、気がつけば俺らは吹き飛んでいた。

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