ソードアート・オンライン【狂戦士と竜使い】   作:AIthe

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プロローグ

私こと、通称“竜使いシリカ”は少し調子に乗り過ぎていたんだと思います。

数少ないビーストテイマーの中でも、フェザーリドラと呼ばれる子竜をテイムしたプレイヤーとして、自分で言うのもおかしいですが、中層ではそれなりに名が知れていたと思います。

だから、私は舞い上がっていたのかもしれません。みんなからちやほやされている現状に甘えて、自分の実力をしっかり見つめる事が出来なかったのかも知れません。

 

きっかけは些細な口論でした。

 

私は2週間前に誘われたパーティで、35階層北部に広がる森林地帯【迷いの森】を探索していました。

現在の最前線は55層で、フロアそのものは既に攻略済みなのですが、所謂【攻略組】は基本的に上に登る事にしか興味を示しません。そうなると、大体のサブダンジョンは全くの手付かずで放置されてしまうのです。

 

私の参加したパーティはみんながそれなりの実力がを持っていて、朝からダンジョンに潜り、かなりのコルとアイテムを稼げました。

そして、みんなの回復結晶があらかた尽きてきたので、切り上げる事になったのですが───

 

「帰還後のアイテム分配なんだけど、あんたはそのトカゲが回復してくれるんだから、ヒール結晶は必要ないわよね?」

 

1人の女性プレイヤーが、あたしのパートナー、フェザーリドラのピナを馬鹿にしてきたのです。私はカッとなってしまい、相手といがみあった挙句、引き止めようとするリーダーの言葉も聞かずその場でパーティを抜けてしまいました。

 

私はこの時侮っていました。この、【迷いの森】というダンジョンを。

 

ダンジョンの名前は飾りではなく、私はこの森を彷徨う事になりました。このダンジョンの地図を持っているのはあのパーティのリーダーの人で、私は自力で脱出する事を余儀なくされました。

この森では転移結晶を使っても、森の何処かに飛ばされるだけです。

 

そして、いよいよ非常用の回復結晶も使い果たしてしまいました。

肩に乗ったピナも心配そうにくるるる、と鳴いています。

 

(反省します。2度と自分が特別なんて思いません。だから、次のワープで森の外に出してください。)

 

そして、心の中で何処にいるかもわからない神様に祈りながら、目の前の転送ゾーンに足を踏み入れました。

しかし、ワープした場所はさっきと全く変わらない森でした。がっくりと肩を落として、歩き出そうとした時、ピナが、きゅる!っと警戒音を鳴らしました。私は腰の短剣を抜き取り、臨戦態勢に入ります。

 

目の前に現れたのは3匹の猿人。名前を【ドランクエイプ】といい、この森では最強クラスのモンスターでした。

でも、レベルは安全マージンを取っていて、それ程危険というわけではありませんでした。

 

「やあっ!」

 

掛け声と共に、私は切り掛かります。疲労はありますが、この程度の敵、レベル的には倒せない筈がない。そう、倒せない筈が無かったのです。でも、現実は───

 

「きゃっ!」

 

この何処までも続く道のせいで、私は精神的に参ってしまっていたのかもしれません。本来の実力が出せませんでした。防戦一方で、HPゲージが着々と減っていきます。

 

「なっ!?」

 

仕留め損ねた【ドランクエイプ】が、背後からその手の棍棒を振るって来ました。いよいよ、私は死を覚悟しました。私は怖くなって、目を瞑ってしまって───

 

「きゅる!!」

 

その2つの間に、ピナが立ち塞がりました。青色の小さな身体でその一撃を受けてしまい、ポリゴンになって四散しました。

 

「あ、あ……あぁぁぁぁぁ!!!」

 

怒りや悲しみ、絶望が混ざった言葉に出来ない思いが、叫びとして口から飛び出しました。目の前に起きている事を認められず、私は狂ったように短剣を振り回しました。

もう、私の視界には減っていくHPゲージは見えませんでした。目の前のモンスターを殺すこと。あたしはそれしか考えられませんでした。

 

「あぁぁ!ああぁぁぁぁ!!!」

 

そして、私のHPが危険域に達して、目の前のモンスターが棍棒を振り上げて───

 

「う───おらぁぁ!!!」

 

突然、目の前を緑色の影が過ぎ去り、3つのポリゴンが弾け飛びました。

 

唖然とし、呆然とする私の前に現れたのは、緑色のラインが入った鎧を着た、全身をそれで固めた小柄な戦士でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───今思えば、あの時から私は、あの人に惚れていたのかもしれません。

 

 




次話からは文字数を増やしたいと思います。
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