魔法少女リリカルなのはF   作:ごんけ

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それは小さな恥ずかしさでした。

今回はお約束のお風呂回。

わたしのぽろりもかるかもやで!!

魔法少女リリカルなのはFはじまります



007話

 

 いや、家族とはいっても、これは。

 

 わたしはひじょーにじゅうだいなキキにちょくめいんしている。いや、考えなかったわけじゃないけど、そこまで頭が回らなかったというのが正解かもしれない。

 

 そう、着替えとトイレとお風呂だ。

 

 足が動かなくなるということをわたしはまだあまくみていたのかもしれない。

 

 わたしは帰るなり先ほどまで士郎さんの背中で泣いていたのがはずかしくなって部屋で大絶賛アローン状態や。

 

 いやいや、着替えとトイレは馴れればどうにかなるかもしれない。でも、お風呂だけは。士郎さんならこどもなんだからきをつかうな、なんてい言いそうやけど、そうやないから。

 

 うんうん呻っていたら突然ひらめいた。所用があるのでちょっとベットとのいちゃいちゃを涙を飲んでやめて、時間をかけて車椅子に乗る。思った以上に大変だ。

 

 いつもの5倍くらい、体感時間でそれくらいの時間をかけてトイレをすませてリビングに行く。意地を張らずに士郎さんに手伝ってもらえばよかったと思うのは仕方のないことだろう。近くに士郎さんがいたら盛大に迷惑をかけようとちかったんや。

 

 士郎さんは何事もなかったかのように夕食の準備をしていた。わたしがこんなに悩んでいるのになんだか理不尽に感じてしまうのはわたしだけやろか。

 

 じっと見てたら、士郎さんがこちらを向いた。

 

「まだ夕飯には早いぞ」

 

「なんでやー!」

 

「それくらい元気があればよさそうだな」

 

 なんや、なんだかんだいって心配してくれとったみたいや。

 

 わたしはリビングまで行き、ソファーの前まで来た。士郎さんも何故か隣にいるし。

 

「夕飯は俺がつくるから、ゆっくりテレビでも見ていてくれ」

 

 なんて気遣いの言葉をもらって、わたしを抱き上げてソファーに移してくれた。移動するのが大変だってわかってるみたいや。うん、そう思っておこう。

 

 テレビはついていてニュースが流れているが、わたしはそちらを見ていない。

 

「あんまり見られると緊張するんだけど」

 

 士郎さんの意見は聞いてません。でも、たしかに誰かにずっと見られているとやりにくいってのはわたしもわかる。こんなだからみんなは意識してないのかもしれないけど、つねに好奇の視線をあびていたから。まぁ学校も2週間後の終業式までお休みして、それからちゃんと休学して治療に専念することになるらしい。学校に行けないというのも多少は寂しい思いもするけど、それよりも士郎さんと一緒の時間が増えるというのはとってもうれしい。

 

 半熟の目玉焼きが乗ったハンバーグ、バターで焼いた甘いニンジン、サラダ、かぼちゃのスープ、バターライス。わたしの好きなものが大半を占めるメニューだった。

 

 士郎さんを見上げるとニコニコしていた。

 

「「いただきます」」

 

 二人で声を合わせるのはもはや習慣や。

 

 ハンバーグをきると、中からトロトロになったチーズがでてきた。チーズをハンバーグの中に入れるのは実はなかなかに手間なのだ。最も重要なのはハンバーグ焼いている最中にチーズが出てこないようにすること。

 

 ハンバーグの濃厚な味にチーズのまろやかさが負けてなく、いんや、相乗しあってさらなるおいしさに消化させている。

 

 わたしは堪能しつつ、食事を終えた。

 

「「ごちそうさま」」

 

 一息ついて、お皿を持っていく。

 

 士郎さんがお風呂の準備をしている間にわたしが後片付けをしておく。いつのまにかできた我が家のルールや。もちろん、士郎さんが後片付けをして、わたしがお風呂の準備をするということもあったが、これからはこれが定着しそうや。

 

 士郎さんがお風呂を洗ってお湯を張り始めて、わたしの食器洗いもおわった。

 

 ―――そう、これからが本当の地獄や。

 

 

 少し時間が空いて、お風呂にお湯が張られたようだ。

 

「はやてー、風呂に入れるぞー」

 

 って、ちょっと大事なこと忘れてませんか?忘れてますよね。

 

「あのー、士郎さん。

いいにくいんやけど、わたし今こんな状態なんよね。

普通にお風呂に入れると思う?ってか、忘れてた?」

 

 士郎さんの背筋がピンっと伸びて、ご一緒にお風呂にはいらせていただきます、マム。マムってなんや。まあええ。それよりも、わたしの口からこの件に関して言わせるのが問題やと思うんや。まちがっとるやろか。

 

 士郎さんは若干、顔色を悪くしながら慌しくお風呂の準備を始めた。

 

 あ、こけた。

 

 

 士郎さんは家族や。なにを恥ずかしがることがあるんや。

 

 わたしは脱衣所で四苦八苦しながら服を脱いでいる。士郎さんのくしゃみがお風呂場から聞こえる。まだ湯船に浸かっていないのだろう。春とはいえ、寒いはずや。わたしも寒いんやから。

 

 なんとか服を脱ぎ終え、いまはすっぽんぽんの状態や。もちろん、車椅子に乗ってるで。さて、タオルは巻くべきかどうか。湯船にタオルをつけるのはマナー違反。かといって士郎さんに見られるのもなんとなくいや。ええい、ままよ!

 

「士郎さん、準備おーけーや!」

 

 気合が入ったのかどうかわからないけど、大きな声が出てしまった。

 

 やっとか、なんて声が聞こえたような気がしたけど、きっと気のせいや、うん。

 

 ガラッと扉が開けられる。

 

 じゃーん。

 

「じゃーん、じゃねぇ。

風邪ひくかと思ったぞ」

 

 バスタオル羽織っただけのこの姿にそんな言葉ですか。

 

「どんな感想言えばいいんだよ。言っとくけど、ロリコンじゃないからな。ちっさい子の裸見てもなんとも思わないぞ。

さあ、ちゃっちゃと風呂はいるぞ」

 

 はーい。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 はやてからいつもの笑いがないんだけど。

 

 俺は今、慌てて風呂の準備をしている。もちろん、俺のだけじゃなくてはやての着替えなんかも用意している。そして、こけた。ゴッド、なんか悪いことしたか?

 

 はやてに先に風呂場で待っているように言われて待ってるんだけど、寒い。結構寒い。温かいお湯がはってあるのに、まだ入れない。はやては脱衣所で服を脱いでいる。ガラス越しにわかる。しかし、足が動かないというのでかなり時間がかかっているようだ。そして、動きが止まる。やっと準備できたか。

 

 と思ったら、まだそれから時間がかかった。

 

「ぶえっくしょ」

 

 寒いぞー。

 

「士郎さん、準備おーけーや!」

 

 なんか声がでかくて自分に言い聞かせたような感じがしたが、寒いのでこの際気にしなかった。

 

 やっとか、と呟いた俺にきっと罪はない。

 

 ガラス戸をあけると、

 

「じゃーん」

 

 はやてがいました。タオルを体の上にかけて。俺も腰にタオル巻いているだけの姿なんだけどな。

 

「じゃーん、じゃねぇ。

風邪ひくかと思ったぞ」

 

「この姿にそんな言葉ですか」

 

 どんな感想言えばいいんだよ。つるぺたじゃねーか。つるぺたって言ったら何言われるかわからないから何も言わないけど。とにかく言っとくけど、俺はロリコンじゃないからな。ちっさい子の裸見てもなんとも思わないぞ。

 

「さあ、ちゃっちゃと風呂はいるぞ」

 

 軽いはやてのからだを持ち上げて、風呂に行く。

 

 軽くかけ湯をして湯船に浸かる。

 

 風呂はまあまあの大きさで、二人くらいなら余裕では入れる。はやては縁につかまってふんふん鼻歌を歌っている。その気持ちはよくわかる。気持ちいいもんな。

 

「なーなー、士郎さんは恥ずかしくないん」

 

 何をおっしゃるか

 

「はやてが幼女じゃなくなったら恥ずかしいかも」

 

「だーれが幼女や!」

 

 がーって言ってくるけど、全然迫力も何にもない。

 

「さて、そろそろ体洗うか」

 

「無視かい」

 

 無視してはやてを湯船から引き上げる。

 

「ドナドナってこんな気分やったんやろうな」

 

 情けない姿で情けない声を出している。

 

 わからなくもないが、わかりたくもないな。

 

 はやてを座らせて背中をごしごし。前はさすがにはやて自身に洗ってもらう。

 

 頭を洗うと気持ちよさそうな顔をしていた。おかげで、はやての頭が泡でアフロになっていた。笑いそうになったのをガマンしたのは言うまでもないことだ。

 

「士郎さんの背中も流すで」

 

「いや、俺はいいよ」

 

「遠慮いいっこなしや」

 

 遠慮してるわけではないが、ふむ、ここははやてに任せてみるか。

 

「―――、士郎さんの背中って大きいんやな」

 

「ん?そんなことないぞ。同い年のやつらに比べたら身長低いくらいだし」

 

 自分で言ってて悲しくなる。

 

 この数ヶ月でだいぶ背も伸びたし。このまま背が伸び続ければ言うことなんてない。

 

「そういう意味やないんやけどな。

はい、おしまい」

 

 バチーンといい音がしました。きっと背中には綺麗なもみじができているでしょう。

 

 無言で体の泡を流してはやてを湯船につける。

 

 徐に水鉄砲をとりはやてに向ける。

 

「ふふふ、防御の準備はよいか」

 

「ええっ、ちょ、ちょっとしたお茶目やないか」

 

 だまらっしゃい。

 

 もはや言葉は無用。水がなくなるまで水鉄砲を打ち続けた。はやてからの応酬もあり始めこそは俺も無言だったが、途中からは二人でキャッキャ言いながら遊んでいたような記憶しかない。

 

「しかしなあ、冷たい水を入れるのは反則だと思うんだ」

 

「はんでぃーや」

 

 さいですか。

 そろそろあがりますか、のぼせる前に。

 

 

 風呂から上がってはやての体を拭いて服を着せる。俺自身もさっと着替えてリビングへ。

 

 風呂上りの血行がいい状態ではやての足のマッサージをする。くすぐったいのか、からだをぐにぐに動かしている。こら、逃げんな。マッサージもあんまりやりすぎるとよくないらしいからな。今日は是くらいで勘弁してやろう。

 

 俺はテレビをつけてニュースを見て、はやては本を読んでいる。

 

「はやて、そろそろ勉強を始めるぞー」

 

 そう、はやての勉強時間だ。

 

 はやては休学することになるから、自分達で勉強するしかないのだ。とはいえ、俺も一応は高校卒業する程度は学力があるので、小学生の勉強を見るくらいどうということはない。

 

「えー」

 

 えー、じゃない。立派な大人になれないぞ。

 

「ぶー」

 

 ぶーじゃないべ。豚か。

 

「それはひどい」

 

 よろしい、ならば勉強だ。

 

 はやてを強制連行して机の前に座らせる。

 

 前のテストとかも見せてもらったけど、はやては非常に頭がよいようだ。俺が勉強を教えるまでもないくらい。しかし、はやては放っておいたらずっと本を読んでるような困ったやつなので、俺がこうして勉強を見てやらないといけないのだ。

 

 一時間ほどして勉強も終わり、また本を読み出した。

 

「はやて、平日の午前中は勉強だからな」

 

「えー」

 

 さっきと同じやり取りをするつもりはないので、さっさときりあげる。

 

 

 はやてがおやすみのあいさつをし、俺がそれに答える。いつもの日常だ。

 

 しかし、いつもより疲れた日だった。

 

 明日の朝飯を考えながら眠りについた。

 

 




士郎君はロリコンじゃないので無問題なお風呂回でした。


20120815  改訂

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