A-RISEの義弟と9人の女神   作:DRINK

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初作品、初投稿です!


よろしくお願いします!!


始まりの扉

小さなころから少年は周りと違うと知った。

 

少年は皆には必ずある生きるために必要な機能が存在しない。

 

 

 

 

 

それは———〝忘れる”という脳の情報処理能力

 

 

 

 

初めて知ったのは小学生の時だった。3年生の頃は人よりもの覚えが良い位だったが、1年経つと教科書の全ページを一語一句言えるようになった。異常だと思った両親は急いで近くの病院へ駆け込んだ。

 

その病院の医者はザブァン症候群などの精神障害も疑われ、ありとあらゆる検査を受けた。

 

 

だが、原因が見つかる事はなっかた………

 

 

 

 

 

 

初め、両親や友達は少年を褒め称え、喜んでいた。しかし、そんなのはぬか喜びにすぎなかった。

そのあと、人々は彼の恐ろしさを知ることとなった。教科書を暗記することだけでなく、様々な場面で彼の異常性が発生された。スポーツでは友達のプレーを見て、それをすぐ〝再生”した。ピアノやダンスも一回見れば再生できる。やがて、友達から「盗み屋」「人間コピー機」などと言われ、周りから気味悪がられるようになった。

 

そして、両親はとうとう少年を捨てた。

それは突然のことだった。中学校に入学仕立ての頃、家に帰ると両親は怯えるような目で少年に言った。

 

 

 

「お前なんかうちの子じゃない!出ていけ!!」

 

 

 

その瞬間、少年の中で何かが壊れた。そして家を放り出され、行き場もない少年は雨の中ひっそりと呟く。

 

 

 

 

「くだらねぇ……」

 

 

途方もなく道端にうずくまり、少年は心の中で一心に願った。

 

 

 

“普通でいたい…”

 

 

当たり前の幸せが、当たり前の喜びが欲しい。彼の唯一の願いは一生届かない場所にあった。沢山の人々が彼の前をすぎる。彼に手を差しのべる者はいない。

これは「どうせ自分が助けても…」と言う己の善意に歯止めをかけ、周りの流れに身を任せてしまう現象だ。人通りの多いところに起こりやすい。と、この前テレビで見た内容を思い出す。こんな時にも“どうでもいい”記憶が出てくる事にバカバカしくなり、思わず苦笑する。

 

その時だった…

 

 

彼の目の前に一人の少女がしゃがみこむ。おでこがチャームポイントの背の低い少女だ。少女は少年に笑顔で手をさしのべ、少年に言った。

 

 

 

「貴方、家に来ない?」

 

 

 

あまりに突然過ぎる発言で、少年は一瞬目を白黒させた。「こいつに何がわかる!」と心の中で叫んだが、少女の目は真っ直ぐだった。まるで彼のすべてを見据えていたかのように…故に少年は自然に少女の手を握った。すると少女は再びにっこりと笑い、少年に問いかけた。

 

 

 

「名前は?」

 

 

 

「立花隼人…」

 

 

 

 

「そう、いい名前ね。私はね………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……綺羅ツバサよ。これから〝も”よろしくね。」

 

 

 

これが少年『立花隼人』と少女『綺羅ツバサ』の人生を大きく変えた瞬間だった。

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

時は現在に戻り…

 

 

 

 

「綺羅くん、お願い!!」

 

 

 

「丁重にお断り致します。」

 

 

 

「即決!?ねぇ、なんで!!」

 

 

 

「はぁ、このくだり何回目でしょうね?」

 

 

 

 

音ノ木坂学院の1学年教室で何度も行われるこの謎のやり取り、相手は何故か2年生の先輩3人組。オレンジ色の髪を片側にまとめている元気のありすぎる『高坂 穂乃果』。その隣で大和撫子の様な落ち着いたふいんきをかもし出している『園田 海未』。そして、この学校の理事長の娘で、おっとりとしたたれ目が目立つ『南 ことり』である。この三人組はここ最近ずっと来るため、はっきり言って物凄くうんざりしている。

 

そして、これはどういう事態かというと………

 

 

 

 

「なんで、アイドル研究部に入らないの!?メンバーも9人になって勢いも着いてきたところなんだよ!」

 

 

 

 

「…何故それが俺の勧誘に繋がるかなぁ?」

 

 

 

俺は大きくため息をつき、ボソッと呟いた。

俺こと『綺羅隼人』は苗字から分かるように、人気スクールアイドル『A‐RISE』のリーダー『綺羅ツバサ』の弟(正確には義弟)である。その為、スクールアイドルのイロハは勿論、あのトップアイドルを一番間近で見ているのだ。他人、特にこの学院のスクールアイドルに知られればどうなるか、ある程度は分かっていた。初めは気を付けていたため気付かれることはなかったが、うっかり口を滑らせ同じクラスの少女『小泉 花陽』に喋ってしまったのが運のつき。あとは言わなくても容易に想像できるだろうが、そのような経緯で現在の状況に陥ったのである。

 

 

 

「そもそも、俺はスクールアイドルになんか興味ありません!それよりも今はこの本を読む方がずっと大事です!邪魔しないでください!!」

 

 

 

「その六法全書は本の部類に入るのかしら?」

 

 

隣の席に座っている少女『西木野 真姫』が俺の本を見ながら問いかける。それを聞いた二年生は「本当に高校生なのか?」と言わんばかりに頬をひきつらせている。

 

 

 

 

「ええい!うるさい真姫、これは本と言ったら本なんだ!!ようやく民法を読み終わったところ何だぞ!」

 

 

 

真姫は「知らないわよ!」とそっぽ向きながら言うと、先程まで読んでいた本を読み始める。あいつも何だかんだ言って、今読んでいる医学の参考書はいかがなものだろうか?将来は彼女の父が経営している『西木野総合病院』の跡継ぎとなるのだろう。しかしながら、それは大学の医学部に入ってからでも充分出来る。今、勉強するのはいくら何でも早すぎないだろうか?と心なしに考えていると、次の授業の予鈴のチャイムが鳴る。俺は心の中で一人ガッツポーズをした。ようやく、解放されるのだ。すると、海未先輩は穂乃果先輩達に促した。

 

 

 

「もう次の時間が始まってしまいます。“今回のところは”ここで退きましょう。」

 

 

 

「本当だ!じゃあね綺羅君、“また”来るから!」

 

 

 

「“また”ね、綺羅君!」

 

 

 

そう言い残し、穂乃果先輩達は教室を出ていった。「今回のところは」「また」という言葉を聞いて脱力した。出来ればもう二度と来て欲しくないものだが…

「また来るのか~」と一人で呟いていると、親友である『山下 雅人』がニヤニヤしながら話しかけてきた。

 

 

 

「綺羅君は女の子に囲まれて羨ましいこった。」

 

 

 

「お前が君づけするな、なんかキモい…精神的苦痛で裁判所に訴えるぞ。」

 

 

 

「何故!?お前、最近俺に対しての扱い酷くね!?」

 

 

 

雅人は「それはさておき…」と話しを一時中断すると、急に真面目な顔になる。こいつが真面目な顔になることなんてあるのか…

 

 

 

「お前、何で誘い受けないんだよ!この学院屈指の美女が9人もいるんだぞ!それを独り占め出来るっつーチャンスなのに…俺が受けてやりたい位だ!!」

 

 

「すみませーん、ここに犯罪者がいます。捕まえてください。」

 

 

 

前言撤回。やはりバカだった。

そうだよな、こいつに限って真面目だなんて、それこそ天変地異が起きるぞ。ははは…少しでも感心した俺を殴ってやりたい。

 

 

 

「お前、口に出てるからな!!」

 

 

 

「おっと失礼、つい本音が…」

 

 

 

そのあとも雅人が何か言っているが、聞かぬふりをして再び六法全書に目を通し始めた。

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 

 

 

本に夢中になっていて、気が付いたら昼食の時間になっていた。俺は雅人と弁当を食べようとしたが、先にどっか行ってしまったため仕方なく一人で食べていた。すると、先程の二年生三人組の次に会いたくない三人がこちらへ来た。彼女達を一目見ると、大きなため息をつく。

 

 

 

「キャッチセールスはお断りだけど。」

 

 

 

「凛達は詐欺師じゃないにゃー!!」

 

 

 

語尾に「にゃ」と付く少女『星空 凛』はシャーと猫の様に威嚇してくる。これはキャラなのか未だ不明だが、これで魚が嫌いと言うのは何か残念だ。いろんな意味で…

 

 

 

「んで、なんか用?下手したら凛に目潰しする事になりそうだけど…」

 

 

 

「凛は何もしてないのに理不尽にゃ!?」

 

 

 

「べ、別に…ただ、一緒にお弁当食べようかなって。」

 

 

 

「本音は?」

 

 

 

「にこちゃんに「どんな手を使ってでも入部させて!これは部長命令よ!」って言われたから………は!」

 

 

 

「目的言っちゃってどうすんのよ…」

 

 

やっぱり…っていうかこんな簡単に本音を言って良いものなのか。真姫なんかもう呆れちゃってるし…取り合えず諦めて貰うか。

 

 

 

「帰れ。」

 

 

 

「ヒドイにゃ!?」

 

 

 

「こっちは帰りたくても帰れないのよ!早く入部しなさいよ!」

 

 

 

どうやら簡単には帰ってくれないらしい。しょうがない、奥の手と思って残しておいたあれを使うしかない。

 

 

 

「なあ、花陽。」

 

 

 

「な、何?隼人君。」

 

 

 

「ここはひとまず穏便に済ませたい。そうは思わないか?」

 

 

 

「まあ、思うけど…」

 

 

花陽は小さくコクリと頷くと、俺は人指し指を伸ばし話を続ける。

 

 

 

「そうだよな、そこでだ!俺からひとつ提案がある。」

 

 

 

「何か凄く嫌な予感がしてきた。」

 

 

 

真姫がなんか呟いていたが、俺は気にせずに自分のバッグをあさり始める。そして、取り出した九枚の紙を花陽達の前に出した。そしてニヤリと笑って言う。

 

 

 

「実は…俺の姉から今度のライブのチケットを預かっている。しかも、これは最前列の“プレミアムチケット”だ。しかし、九枚あっても俺は使わないし、出来れば有意義に使ってくれる人に渡したいと思っている。だからこれをμ΄sの皆にあげよう!」

 

 

 

「ぇえ!?あのA-RISEのライブチケット!しかも最前列!?」

 

 

 

「かよちん!隼人君の話を聞いちゃダメにゃー!!」

 

 

 

「そうよ!この話の先は大体読めるわ。絶対、ろくでもないことよ!!そもそも、隼人が九枚持ってる時点で可笑しいわ!あの顔見て、あれは腹に一物あるわよ!」

 

 

 

くくく…花陽がμ΄s一のアイドル好きなことは既に知っている。凛と真姫は大体勘づいているがもう遅い!花陽は既に俺の話術の術中にはまっている。

 

 

 

「“今回は”これで手を打たないか?」

 

 

 

「わかりました!!」

 

 

 

「かよち~ん!!」

 

 

 

勝った!!!よし、これで自由に慣れるぞ!

 

 

 

この時、俺は途中で悦に入り、高を括っていた。だから、俺は気付かなかった。最後の最後に重大な失敗を犯していたことに………

 

 

 

 

 




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