黒と白と壊れた心   作:東流

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どうも、東流です。今回は少し多めになっています。楽しんで読んでもらえたら嬉しいですm(__)m

それではどうぞ!


黒と銀の歓迎会

朝の教室。

 

あの後一通り挨拶をしたあと、ルクスとルクスの幼なじみの少女とのやり取りにクラス全員に笑いが起きた。

 

どうにも、ルクスには可愛らしい幼なじみがいたらしい。…ぼんやりとしている割にはそこそこ動けそうだし、何より俺から見ても『強い』と感じる。それがどういった意味を持つかは定かではないが、ルクスの幼なじみである以上深く追及するのは失礼だろう。

 

先程まで、『場違い』感がびしびし伝わっていたのだが、この二人のやり取り?のおかげで、少しは緊張感もほどけたようだ。

 

すると、前の方から視線を感じた。チラッと見てみると、蒼髪の少女が此方を見ていた。

 

「……っ!?」

 

此方の視線に気付いたのかサッと視線を逸らす蒼髪の少女。そしてそのやり取りを見ていたリーシャ。

 

面倒な事になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

 

昼休み。

 

案の定クラスメイト達はルクスの元に集まり、幼なじみの少女フィルフィ・アイングラムと知り合いなのか話をしていた。

 

それにルクスは俺とは違い、ここには『雑用王子』としての仕事で入ってきたらしい。なので、この学園の中でも仕事は続くそうだ。

 

そんな事を考えているとリーシャが此方にやって来た。

 

「よ、よう。どうだ?このクラスは。…まぁ殆どがアーカディアの方へ集まっているが…不満か?」

 

「…何バカな事言ってんだ?…不満でも何でもねぇよ」

 

「おま、…仮にも私はこの国の王女だぞ?…まぁいいが…。それよりも、ユウお前、クルルシファーと見つめあっていたな?…どういう事だ」

 

「………は?クルルシファー?誰だそれ?」

 

「私の後ろに居た蒼髪の生徒の事だ。さっきもずっとユウを見ていたようだが?」

 

何故か怒りぎみで話してくるリーシャに戸惑いを感じつつも、蒼髪の生徒について考える。

 

「……ああ、そういやあの時の女子生徒か」

 

「何?あの時?どういった時だ!」

 

やけに此方に詰め寄ってくるリーシャを押し戻しつつ、その蒼髪の少女を横目で見る。

 

「……あんたのせいで身に覚えもない疑いを掛けられてるんだが?」

 

「…あら、ごめんなさい。別に迷惑を掛けてる訳じゃ無いからいいと思ったのだけど…何故リーズシャルテさんがそんなに慌ててるのかしら?」

 

横に立っていたのはこの学園に来たとき夜の校門前に立っていた蒼髪の少女だった。

 

リーシャは、べ、別に慌ててなんか無いぞ!弁解をするが、蒼髪の少女、クルルシファーはクスリと笑うと俺の腕を取った。

 

「なら、別に良いわね?私は学園長からこの人に学園を案内させるよう言われてるの。ルクス君の方はフィルフィさんが案内するみたいだから…。という事で行きましょうか?ユウ君」

 

「…ちょっ!?…別に俺は…」

 

言いたいことを言わせてもらえず、教室から連れ出される。教室から出た後、リーシャの声と、何故かクラスメイトの黄色い声が俺の耳に届くのだった。

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

 

「…で、俺に何の用だ?本当に学園を『案内』してくれるのか?」

 

教室から廊下へ出て、階段を上がっていく。着いたのは誰もいない屋上。いきなり屋上が案内場所とも限らないのだが、どうもそういう感じではないようだ。

 

「あら、鋭いのね。確かに学園を案内したいのは山々だけど、貴方に聞きたいことがあるから案内はその後ね」

 

屋上の手すりから学園を一望すると、此方を振り向き、

 

「…一つ聞きたいことがあるわ」

 

先程とはまた違う表情を見せるクルルシファー。それほど真剣な用事なのか?

 

「貴方は、『黒き英雄』を知っているかしら?」

 

黒き英雄。黒き英雄の事は女王から少しは聞いた程度だ。よくは知らないし、興味もない。この少女が何故黒き英雄について聞いてきたのかは謎だが、女王から聞いた話を適当に並べた。

 

クルルシファーもどうやらこの程度ことなら知っているらしく、結果的に知らない、という事で落ち着いた。

 

「…じゃあもう一つだけいいかしら?」

 

「何だよ。俺はあんまりそういう話題とか疎い方なんだけど…」

 

クルルシファーは俺の言葉を断ち切るように口を開いた。

 

「……『黒白の剣姫』……知ってる?」

 

「……ッ!?」

 

「黒き英雄と並ぶ程のビックネーム。見た人は少ないって聞くけど、決して見たことが無いという訳ではないわ」

 

「……聞いたことはある。長い黒髪と東洋の黒い服。そして、…真っ白い剣。その異様な姿と武器からつけられた名前だってことは…」

 

「…ええ、その通りよ。…私はその人を探しているの。会って言いたいことがある」

 

チラリと此方を見てくると、俺の腰辺りに視線を置く。

 

「…貴方、機攻殻剣を二つ所持していたわよね。…黒と白の機攻殻剣。一つは神装機竜。…もう一つは…」

 

クルルシファーが言い終える前に午後の開始を合図する鐘の音が鳴り響く。

 

「っと、午後の授業が始まるわね。次は装甲機竜の実技演習だから、急いだ方がいいわ」

 

「…そうだな」

 

何とも言い難い気持ちになる。こんな気持ちになるのは女王以来だ。案外人を動かせる人材なのかもな。

 

ここで、一気に形勢を『逆転』させてもいいのだが、今はよしておこう。

多分これから『疑い』の目で見られるのは明らかだが、

 

「なんか、悪くねぇな」

 

取り合えず、次の授業に間に合うよう、二人で小走りをするのだった。

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

部屋で適当に今後の資料に目を通しつつ、レスティアとエストの手入れを行っていた。

定期的に行わないと怒るからな。

 

刀身の部分を綺麗に磨きつつ、磨き終えたら実体化する二人。いつもは二人と一緒だったのだが、授業となると話は別だった。突然いつもの感じで実体化されても困るので、今日一日だけは部屋で大人しくしてもらっていた。

 

「う、うーん。ねぇユウ。私達も一緒に居ちゃダメかしら?どうにも物足りないのよね」

 

「レスティアの言うとおりです。ユウ」

 

二人揃って不満を口に出す。まぁ、分からないでも無いけど、

 

「…部屋以外じゃ実体化しないって言うなら連れていくけど、…どっちも放浪癖があるからな」

 

「そんな事言わずに、ね?」

 

「…ユウ」

 

こう言うのも何だが、美少女二人+上目遣い+頬を染めた顔では落ちるしかない。と言うかこんなコンボに勝てるのか?勝てる奴がいたら是非拝見したいものだ。

思わずいいよ、と言ってしまい喜ぶ二人。レスティアはまだしもエストは見られているから(わざとみたいなもんだけど)バレたら言い訳の仕様が無い。

 

「まぁ、大丈夫だろ」

 

バレたらバレたで経緯を話せばいいし、何よりこの国の女王のお墨付きだ。悪いようにはならないだろ。寧ろさせない。

 

そんな事を思っていると、扉からノックする音が聞こえた。

二人を剣に戻しつつ、扉を開ける。すると、立っていたのは三和音の一人、ノクト・リーフレットだった。

 

「……どうした?何か用か?」

 

面識は殆ど無い。けど、リーシャとの模擬戦との後に自己紹介をしてきたので、記憶には新しい。

 

「…Yes.ユウさんに用事があって来ました。女子寮の大広間まで一緒にいいですか?」

 

女子寮の大広間?取り合えず自分の用事は無いので部屋着から学生服に着替え、リーフレットについていく事にした。

 

 

 

なのだが、

 

 

 

ジーーッ。

 

「……?」

 

プイ。

 

これが大広間につくまで続いた。何回あったが数えてない。だが、決して敵意では無いことを祈るばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

 

 

この人から教われば私も強くなれるだろうか。

 

この前の模擬戦の時に現れた一匹の幻神獣。正直、怖かった。皆が居なければ自分も他の生徒と同様狼狽えていただろう。そうならなかったのは同じ三和音でリーダーであるシャリスとティルファー、それと親友であるアイリ、アイリの兄であるルクスが近くに居てくれたからだ。特にアイリとは親友であるし、アイリを守るのはノクト自信である。

 

この人は、恐れることなく幻神獣に立ち向かい、あり得ない程簡単に幻神獣を倒した。

しかも、観客席にいる生徒達に気を使いながらだ。守りながら戦うのが一番難しい。それはどの戦闘に置いても言えることだ。

 

だからこの人に戦いのノウハウを教えてもらおう。

 

そう思っていたのだが、

 

「(……何故でしょう。聞くのが恥ずかしい)」

 

この為にわざわざこのポジションをゲットしたのだが、どうもこうにも聞けやしない。聞こうと顔を向ける度に顔が熱くなり、視線を逸らしてしまう。

 

「(…どうしたのでしょう。顔が熱い)」

 

結局聞けずじまいで大広間についてしまった。

 

取り合えず、親友に聞けば分かるかな位の事なのだが、親友の一言で、より一層聞けなくなったのはまたのお話。

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

大広間、もとい食堂前まで来たのだが、横を見るとルクスとその妹であるアイリが此方へ来ていた。

あの模擬戦の後、色々聞かれそうになったのだが、説明するのも面倒なので、そのまま放置していた。

 

ルクスに妹がいることは模擬戦の前に知ったことで、面識は殆ど無い。

 

「よっ、ルクス。お前も呼ばれたのか?」

 

「ユウ。君も?…ここって食堂だよね?明かりが点いてるけど…何事?」

 

どうやらルクスも連れて来られたようだが、内容まで知らされていないらしい。

 

アイリとノクトが二人で微笑すると、二人は食堂の扉を開ける。

 

 

 

 

『編入――おめでとう』

 

 

 

 

聞こえてきたのはクラスメイトの少女達と他のクラスの生徒達の声。

 

俺とルクスは二人揃って「…は?」と間抜けな声を上げる。

 

正面を見てみると、大きなテーブルの上に沢山の料理が載っている。

ミートパイやサンドイッチ。パスタやチキン、スープ。ワインボトルや紅茶のポットまで用意されている。

 

「これって、まさか?」

 

「そう、君達の編入祝いだよ。ルクス君、ユウ君」

 

ルクスが口に出すと、三和音のシャリスが軽く微笑んだ。見れば小さなパーティ会場のように食堂がセッティングされている。

辺りを見渡していると、リーシャやクルルシファーの姿も見えた。ふと横を見ると、ルクスがこの光景を見ていてぼーっとしている。

 

「…泣きそうか?ルクス」

 

「えっ!?いや、ちが…何言っての?ユウ!」

 

ちょっとからかってみたが以外にも大きく反応し、この場にいる全員に笑みが溢れる。

案内され席に座ると、小さめのパーティだが、それでも大きな気持ちが伝わる、とても楽しいパーティが始まった。

 

隣にはリーシャとクルルシファー。前にはノクト、アイリ、ルクス、フィルフィといった席順だった。ティルファーやシャリスも近くに座っている。

 

「…それにしても大人数で食事…か、初めてだな」

 

サンドイッチを手に持ち、一口頬張る。隣からは、

 

「…どうだ?そのサンドイッチは私が作ってみたのだが、味は……」

 

リーシャがサンドイッチの感想を求めてくる。この場にある料理は皆が作ってくれた手作りの料理だ。

 

「美味しい。こんな料理、王宮でもあんまり食べないからな」

 

リーシャはやった!と声をひそめて言うが、もう片方に座っているクルルシファーが話し掛けてきた。

 

「…王宮?どういうこと?…ルクス君は大体の事情は分かるけど、そう言えば、貴方はどんな理由でこの学園にきたのかしら?」

 

クルルシファーの質問に、答えを知っているルクスやリーシャ達は兎も角、他の皆は知らない。その答えに興味津々なのか、他の生徒も集まっていた。

 

喋っても問題ないか、と心の中で呟く。どうせ隠すことでも無いしな。

 

「この国の女王の命令でこの士官学園に来たんだ」

 

 

 

 

『………』

 

 

 

 

長い沈黙。

 

食堂の空気が一気に冷え込んだ。そして、

 

『ええええぇぇぇぇぇええっっ!!!』

 

冷え込んだ空気が一気に熱くなる。

 

「ウソ!ユウくんって王族?」

 

「えっ!?それって本当?」

 

「それよりも、女王陛下の命令って…」

 

次々と辺りから生徒達の声が広がっていく。まぁ、普通驚くよな。ルクス達も驚いていたし。

 

「今さらだが、ユウお前は一体何者なんだ?」

 

リーシャの質問に更に皆が食い付いてくる。自分の母親が信頼している人物。気になるのは当然だ。

 

「…ルクス達には女王から助けてもらった、ってのは言ったよな?」

 

ルクス達が頷き、そのまま続ける。

 

「…俺はちょっと特殊な育ちでな。この国じゃなくて東洋で生まれたらしいんだ」

 

「…らしい?」

 

「ああ、そう教えてもらったからな。ある奴等に」

 

「……え?」

 

「俺は物心着く前からこの国に連れて来られたんだ。だから両親の顔もよく覚えて無いし、本当に東洋の出身なのかも分からない。連れて来られた理由も分からない」

 

「えっ!?いや、ちょ、ちょっと待って!」

 

ルクスが立ち上がり話を止める。

 

「それって、まさか…帝国の…」

 

今の話でもしかしたらと思ったのだろう。前に座っているアイリも顔をしかめている。

 

「ああ、それは関係無いだろう。多分、もっと違う何か」

 

そう言うと、ルクスとアイリはホッとしたのかため息をつく。だが、だからと言って帝国が関係していないとは言い切れない。ルクスもアイリもじっと俺の話を聞いていた。

 

「…連れて来られてからは地獄だったな。ある程度の知識を覚えさせられると、戦闘訓練が始まって、最後には薬品の投与。所謂、人体実験ってやつだよ」

 

笑いながら喋るが、周りは、そんな笑い事じゃないだろ!と言いたげな目をしている。ルクス達に至っては悲しそうな表情をしている。

 

「で、そこに居るのが嫌になって、死に物狂いで逃げ出して、倒れたところにやって来たのが女王だったんだ。そこで俺は命を救われた」

 

これが王宮に住むまでの経緯。そう言って話をまとめた。すると、皆は安堵の声を上げる。

 

「(……まぁ、大体『こんな感じ』だな)」

 

別に話したこと事態は嘘ではない。ただ、少しばかり話を区切れ区切れで話しただけだ。

 

「…そう、だったの…」

 

一番最初に聞いたのはクルルシファーだ。折角の歓迎会なのに場の雰囲気を壊してしまった。それに、聞いてはいけないような事まで聞いてしまった。クルルシファーはその事に謝ろうとすると、

 

「…だからさ、こうやって大人数で食事をしたり、同年代の子と楽しく話せるってのは…殆ど経験したこと無い初めての事なんだよな。――昔は思わなかったけど、こういうのも、

 

 

 

なんか、悪くないよな」

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

 

――悪くないよな。

 

クスリと口許を緩めるユウを見て、全員の顔がボッと赤くなる。

別に笑みを溢した事が無いユウだが、この笑顔だけは心からの本当の笑顔だろうか、そんな切ない笑顔は少女達の心を鷲掴みにした。

 

「(オイオイオイ…何だこの笑顔は反則だろ///。…こんな顔されたら…///)」

 

「(…何かしら、こう、保護欲が出ると言うか…。まずいわね…///)」

 

「(……ユウさん……///)」

 

「(…年下の子にこんな顔されたらな…少々まずい)」

 

「(うひゃー。ユウっちってこんな顔するんだ…。…カッコいいかも)」

 

「(…ん。ルーちゃん、…以来?)」

 

「(兄さんもそこそこだと思っていますが…、これはなしですね)」

 

「(……あー、うん。これはユウも大変な事になりそうだね)」

 

それぞれ思うことがあるのか、食堂全体が桃色になる。全くそれに気にしていないユウはもう一つのサンドイッチを口に頬張る。

 

すると、いち早く我に返った生徒がユウの二つの機攻殻剣を見てこんなことを言ってきた。

 

「…じゃあその機攻殻剣は女王陛下から貰ったの?」

 

この言葉に全体の空気が普通に戻る。

 

「……ああ、これ?いや、これは元々俺の」

 

「へぇー、でも、凄いよね。一つは神装機竜でしょ?どうやって手に入れたかは聞かないけど、白い方は汎用機竜?」

 

この質問がいけなかった。

 

 

 

 

 

「いいや、神装機竜」

 

 

 

 

 

『…………………………』

 

再び沈黙。しかも先程とは違い、ユウ以外の時間が完全に停止していた。

 

あっ、言っていいんだっけ?と言いたそうな顔しているが、隠すことでも無いし、何より後からどうせバレるから話しても問題無いと思ったのだろうが、周りの声は違った。

 

ユウが神装機竜と暴露してから数秒後、食堂には大量の爆弾でも落とされたかのような音が学園中を轟かせた。

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

 

歓迎会が終わり、一人部屋に戻るクルルシファー。クルルシファーはユウが話していた事を部屋に戻るまでずっと頭の中で再生していた。

 

「……私と一緒だと思ったけど、両親が居ない事だけね。後は違う、似ているどころじゃない。…一緒だと思った私が恥ずかしい」

 

クルルシファーも同じように両親を知らず、故郷も知らない。物心ついたときは隣の大国である『ユミル教国』のエインフォルク家で暮らしていた。そこでの暮らしは決していいものではなかった。侮蔑、嘲笑は当たり前。その当時、そこに居ることは地獄だと思っていた。

 

だから話を聞いたときはこの思いを共有出来るのではないかと思ったのだが、

 

「………地獄の意味が違いすぎる」

 

侮蔑、嘲笑。それでもまだ、『人間』として暮らせていた。なのに、彼はどうだ?『人間』として暮らせていたのか?そんなはずは無い。あんな軽い感じで話していたが、正直、地獄ですら生温いような事も体験してきたのだろう。狂っていても仕方無い。自分だってそんなところにいたら狂ってしまう。

 

「……彼は……」

 

最後に分かった二つの機攻殻剣。それはどちらも神装機竜。黒と白の装甲機竜だ。

 

「……『黒白の剣姫』……まさかね…」

 

中性的な顔立ちだからカッコよくも見えるし、また綺麗にも見える。

クルルシファーはユウが見せた笑顔を思い出し、頬を赤くする。

 

「……また、明日話しましょうか…」

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

 

「……~~~ッ」

 

大きな背伸びをして椅子に座り込む。

 

「…今日は疲れたな」

 

転校初日してここまで疲れるとは思わなかった。歓迎会については楽しいと思えたし、同時に嬉しいとも思った。

そんな事を思える心が自分に残っているなんて驚きだなと心で思いつつ、二人を見る。

 

「……怒ってるのか?」

 

「………別に」

 

「……いえ」

 

エストとレスティアの表情は何処か怒っているかのように見える。

 

「…別にユウがあの少女達とイチャイチャしていたことになんか怒ってないから」

 

「……私も怒ってませんよ。怒ってません」

 

どっちも怒ってんじゃねぇか。そう突っ込んだが二人はプイと顔を横に逸らす。

 

はぁー、とため息をつき、時刻を確認する。明日も早いためそろそろ寝ようかと思ったとき、

 

「…一緒に寝たら許してあげます」

 

「…私も♪」

 

エストとレスティアは二人揃って腕にしがみつく。最初は抵抗していたし、寝ないと言っていたのだが、朝になるとどちらも布団に潜っているので、抵抗するのを諦めていた。

 

「…………はぁ」

 

ため息が止まらない。幸運が逃げていくなと思いつつも、仕方なくこんな『不幸(しあわせ)』を噛み締めて意識を閉ざしていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうだったでしょうか?

誤字脱字、おかしいところがありましたらご指摘お願いします。感想など待ってます。(作者のガラスのハートを壊さない程度の)

お気に入りにしてくださっている皆さまありがとうございます。m(__)m

それでは、また読んでもらえたら嬉しいです。では!
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