田尻耕が率いる特殊部隊。
それが、俺、斉藤武が所属する部隊だ。
「ファック。勝てねぇのに突っ込んでくるなっつの」
「そういうなよ。敵さんも必死なんだからな」
隣にいる金髪に血をつけている、ステイシーを宥める。血気盛んなのは良いが、これが足を引っ張らなければ良いが。
そう心配をするが、俺の気も知らず倒れている兵の頭をザクロにしていくステイシー。
そして、最後の一人に向かって歩んでいく。その時だ。
刹那、首裏に痛みが襲い掛かる。これはいつものあれだ。
「さがれステイシー!」
「なんだよ武」
間に合わない。ならば……
ステイシーを体当たりで弾き飛ばし、位置をチェンジした。その瞬間だった。
目の前に倒れていた兵が立ち上がり、持っていたライフルを乱射してきた。
当然目の前の俺は対処が出来るはずもなく……熱い感覚と共に銃弾が腹部へと入っていった。
☆
あれから3年という長い月日が流れた。
俺の所属していた特殊部隊は、大佐が七浜へ執事となってから流れるままに解散となった。
その後、女王蜂のあずみ姐は九鬼の従者部隊へ。それをからかいに言った血まみれステイシーのステイシーも、そこへ所属した。風の噂では強引に入れられたとかなんとか。
俺一人が傭兵稼業を続けている。
「……で、だ。言い訳を聞いてやろう」
「は……は……はい!」
依頼主であった人物を目の前で土下座させる。
傭兵には、違約金と言うものがある。失敗したときに払うお金のことだ。これは、契約金の5割と相場が決まっているものだ。
この男はその違約金を貰うために、嘘の情報を俺に流したのだ。
まぁそれはまだいい。此方で調べればどうにかなるものだから。しかし、潜入先に俺が来ることを教えたのだ。
「さて、契約違反ということでこのくらいは貰おうか」
「こんな国家予算なんて払えませんよ!」
「何言ってんだ? 調べてみたが、違約金で稼いでるみたいじゃねぇか」
「それは……!」
「払えなかったら仕方がない。仲介役に言いつける。裏世界でこういうことをやったらどうなるか、わかるよな?」
「……はい」
半脅しのように、男へかける。裏世界はこういう所はしっかりしている。もしもバレたとなれば、どうなるかは俺にもわからない。
それを理解しているのだろう。男は肩を落とした。
お金が入ることにテンションが上がったのか、俺は笑顔を浮かべながら男の肩を叩く。
「いや、すまんね。こんなお金貰っちゃってさ」
「い……いえ、ですからよろしくお願いします」
「わかってるわかってるって。安心して帰りなよ」
トランクの中に札束を入れ、男を外へと案内する。
一段落着いたところで、ポケットから携帯を取り出し、番号を打っていく。
ワンコールで出てきた人物に、俺はこう言った。
「あ、仲介役さん? 前回の依頼主。騙しやがったわ」
そう言って、すぐに通話を切った。
なにをよろしくお願いしますと言われてはいないからな。多分、騙したことを言って下さいと言ったんだろう。
携帯をベッドに放り投げ、ソファーへと腰を下ろす。
「あれから3年か……」
部屋を見回す。火薬の匂いが漂ってくるだけのこれといって何もない部屋だ。
あの頃の記憶を思い出す。昔はここであずみ姐とステイシーで自慢話をしていたんだっけか。
なんとなく、傭兵稼業を続けているが。最近は刺激が少ない。お金が欲しいのかと言われたら、そうでもない。
「従者……か」
無意識に2人の職業を口にする。あちらは正社員。こちらは契約社員。結構差がついたものだ。
それに少し羨ましい気がする。俺みたいな傭兵を雇ってくれる社会があるのだろうか。
「まてよ?」
今思えば、俺はまだ学生というものになれるのではないだろうか。
つまり
「膳は急げだな。2人がいる川神市へとレッツゴーだ」
《武器倉庫》斉藤武は、学生になるべく川神市へと飛び立った。
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