傭兵は夢を視る   作:Mr.J

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とりあえず、プロローグだけでも。


プロローグ

 田尻耕が率いる特殊部隊。

 それが、俺、斉藤武が所属する部隊だ。

 

「ファック。勝てねぇのに突っ込んでくるなっつの」

「そういうなよ。敵さんも必死なんだからな」

 

 隣にいる金髪に血をつけている、ステイシーを宥める。血気盛んなのは良いが、これが足を引っ張らなければ良いが。

 そう心配をするが、俺の気も知らず倒れている兵の頭をザクロにしていくステイシー。

 そして、最後の一人に向かって歩んでいく。その時だ。

 刹那、首裏に痛みが襲い掛かる。これはいつものあれだ。

 

「さがれステイシー!」

「なんだよ武」

 

 間に合わない。ならば……

 ステイシーを体当たりで弾き飛ばし、位置をチェンジした。その瞬間だった。

 目の前に倒れていた兵が立ち上がり、持っていたライフルを乱射してきた。

 当然目の前の俺は対処が出来るはずもなく……熱い感覚と共に銃弾が腹部へと入っていった。

 

 

 

 あれから3年という長い月日が流れた。

 俺の所属していた特殊部隊は、大佐が七浜へ執事となってから流れるままに解散となった。

 その後、女王蜂のあずみ姐は九鬼の従者部隊へ。それをからかいに言った血まみれステイシーのステイシーも、そこへ所属した。風の噂では強引に入れられたとかなんとか。

 俺一人が傭兵稼業を続けている。

 

「……で、だ。言い訳を聞いてやろう」

「は……は……はい!」

 

 依頼主であった人物を目の前で土下座させる。

 傭兵には、違約金と言うものがある。失敗したときに払うお金のことだ。これは、契約金の5割と相場が決まっているものだ。

 この男はその違約金を貰うために、嘘の情報を俺に流したのだ。

 まぁそれはまだいい。此方で調べればどうにかなるものだから。しかし、潜入先に俺が来ることを教えたのだ。

 

「さて、契約違反ということでこのくらいは貰おうか」

「こんな国家予算なんて払えませんよ!」

「何言ってんだ? 調べてみたが、違約金で稼いでるみたいじゃねぇか」

「それは……!」

「払えなかったら仕方がない。仲介役に言いつける。裏世界でこういうことをやったらどうなるか、わかるよな?」

「……はい」

 

 半脅しのように、男へかける。裏世界はこういう所はしっかりしている。もしもバレたとなれば、どうなるかは俺にもわからない。

 それを理解しているのだろう。男は肩を落とした。

 お金が入ることにテンションが上がったのか、俺は笑顔を浮かべながら男の肩を叩く。

 

「いや、すまんね。こんなお金貰っちゃってさ」

「い……いえ、ですからよろしくお願いします」

「わかってるわかってるって。安心して帰りなよ」

 

 トランクの中に札束を入れ、男を外へと案内する。

 一段落着いたところで、ポケットから携帯を取り出し、番号を打っていく。

 ワンコールで出てきた人物に、俺はこう言った。

 

「あ、仲介役さん? 前回の依頼主。騙しやがったわ」

 

 そう言って、すぐに通話を切った。

 なにをよろしくお願いしますと言われてはいないからな。多分、騙したことを言って下さいと言ったんだろう。

 携帯をベッドに放り投げ、ソファーへと腰を下ろす。

 

「あれから3年か……」

 

 部屋を見回す。火薬の匂いが漂ってくるだけのこれといって何もない部屋だ。

 あの頃の記憶を思い出す。昔はここであずみ姐とステイシーで自慢話をしていたんだっけか。

 なんとなく、傭兵稼業を続けているが。最近は刺激が少ない。お金が欲しいのかと言われたら、そうでもない。

 

「従者……か」

 

 無意識に2人の職業を口にする。あちらは正社員。こちらは契約社員。結構差がついたものだ。

 それに少し羨ましい気がする。俺みたいな傭兵を雇ってくれる社会があるのだろうか。

 

「まてよ?」

 

 今思えば、俺はまだ学生というものになれるのではないだろうか。

 つまり

 

「膳は急げだな。2人がいる川神市へとレッツゴーだ」

 

 

 《武器倉庫》斉藤武は、学生になるべく川神市へと飛び立った。




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