傭兵は夢を視る   作:Mr.J

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特殊部隊が解散した理由は、改変しております。



傭兵、勝利する

「そういえば、あずみ姐はどうして九鬼に入ったんだ?」

 

 ソロでの活動が多かったためか、森を駆け抜けながら武は世間話を始めた。

 

「そういえば、お前には言ってなかったな」

 

 その質問に、あずみは返していく。

 部隊が解散した後、なんとなくぶらついていたときに現主である英雄と出会った事。その時に心に秘めていた想いを。

 

「とまぁ、こうなってあたいは九鬼に入ったんだよ」

「理解できんな……」

「まぁずっと傭兵してたお前にはわからないだろうな」

 

 十人十色。感性は人ぞれぞれが持っている。武はあずみの気持ちを理解することが出来ない。

 

「……まぁ、今だから言えるんだが」

「どうした? あずみ姐らしくねぇな」

「人が真剣に話してるんだ。黙って聞いてろ」

 

 あずみの言葉に、武は黙る。短い時間だが、その沈黙は長く感じる。

 

「お前をあの世界に連れて来たのは、大人のあたい達だ。なのに、お前1人だけを置いて行っちまった」

 

 武は元々孤児だ。その特殊能力を見抜いた大佐がスカウトをしたことから、彼の傭兵生活が始まった。

 当時は喜怒哀楽が激しかった武だが、死線を潜り抜ければ抜けるほどその感情を抑えるようになってしまったのだ。

 ステイシーの野生と武の異常なまでの残虐さ。大佐は2人がこれ以上落ちないように、特殊部隊を解散した。

 しかしその結果は、子供であった武を残して日本へと就職である。

 

「だからこそ──」

「そうは言うが、どっちにしろ同じだったとは思うぜ。知ってるか? 俺がいた孤児院は、受け取り先がいなければどうなったか」

「それは知ってるが、もしかしたら」

「たらればの世界なんて存在しない。あずみ姐も理解していることだろう?」

 

 していれば、していたら。このような言葉を良くするが、それは結果論である。結果が出る前に、そのような言葉を出すことはないからだ。

 事実とは無関係な仮定の話は、意味がないのだ。

 

「あずみ姐らしくねぇぞ。もしかして俺に気が……?」

「あるわきゃねぇだろ! この話はおしまいだ。悩んでたのがあほらしくなってきた」

「そりゃよかった」

 

 そういうと、あずみは速度を上げる。武も続くが、ふと口を開いた。

 

「俺はもう帰れないからな」

 

 小さな声は、木々のざわめきで消えていく。まるで、自然が武を守るかのように。

 

 

 

 

 

「戦況はどうなってる?」

「前回とは違って、西方十勇士と同等の戦力が備わっていますからね。」

 

 参謀本部へとついた武が聞いた最初の言葉は、昼食ではなく戦況だった。本部中央においてある地図を眺め、戦況を見てみると7:3でこちらが押さしているという内容である。

 

「ワン子・マルギッテ隊を一旦退かせて、西にいる義経隊で挟む予定なんだが……」

「あらかた西の敵は片付きましたし、ちょうど良いタイミングではないでしょうか」

「それだと決定打が足りない」

 

 内のポケットの携帯用の食事を取りながら机上を眺め、敵の行動パターンや味方の作戦をはじき出していく。

 

「石田と島の兵が予想以上に多すぎますね。武くん。何か案がありますか?」

「近づくな気持ち悪い」

「おや、まだ好感度が足らなかったようですね。残念です」

 

 冬馬の言葉を無視しながら、情報をまとめていく。

 

「直江、西の弓部隊をここに動かせれるか?」

「それならすぐだ。で、どうするつもりだ?」

「簡単なことだ。矢を打ち続ければいい。手前の兵にだけだがな」

「なるほど。そういうことですか」

 

 何をしようとしているのかを理解した冬馬は、西の部隊に連絡を始める。

 

「作戦はすぐでよろしいですか?」

「ああ、すぐそこにあるからな」

 

 そういうと、アサルトライフルを組み立てると、重い音を鳴らしながらコッキングをする。

 

「さて狩りの始まりだ」

 

 

 

 

 

 戦場中央部。広い荒野では、睨み合いが始まっていた。

 一子とマルギッテを中心とした、川神学園。片や石田と島を中心とした天神館。

 双方激しいぶつかり合いをしたことから、疲労が見て取れる。

 

「大和からメールだわ」

「此方も来ました。……なるほど」

 

 マルギッテは、メールの内容を見て一瞬で理解をし、行動に移す。

 

「全軍後方へ下がりましょう」

「了解よ!」

「ふん、ようやく下がったか。逃げる兵なぞ一ひねりにしてしまえ」

「御大将。油断は禁物ですぞ」

 

 マルギッテの掛け声で、川神学園は後方へと下がっていく。それを見た天神館は、追撃をかけようとした時だ。

 制圧した西の山から、弓兵の一斉射が天神館に襲い掛かる。

 命中率はそれほど高くはないが、数が数だ。天神館は追撃をやめ、後方へと下がる。

 が、それは誘いだった。

 

 後方にある川の中から、武が現われる。その手には、ビニールで覆われたアサルトライフルを持って。

 トリガー部分のビニールを破ると、敵に向かい乱射が始まる。

 行き成り現われた敵に、混乱する天神館。

 

「黒の隊参上! おらおらー!」

「白の隊。敵を蹂躙せよ!」

 

 さらに、西後方からの奇襲が石田率いる天神館に牙を剥く。混乱に乗じての乱入。

 この大混乱を収拾するには、歴戦の戦士でも厳しいだろう。

 当然、歴戦の戦士でもない石田や島では収拾することが出来ない。前後左右からの攻撃に、徐々に倒れていく天神館。

 全ての銃弾を撃ち終えた武も、援護に行くつもりで川から出ようとしたときだ。

 武は川へと引きずり込まれた。

 

「ガハハハ。水中では銃は撃てまい! どれ、倒させてもらおうか」

 

 逆に、十勇士の1人の長宗我部の奇襲を受ける。

 水中に引きずり込めば、火薬を使う銃の類を使えないと踏んだ長宗我部は、これ見よがしに武に襲い掛かっていく。

 ──が、

 

「ぬぐぁ!?」

 

 水中でも関わらず、長宗我部は銃弾を受けた。

 

「な……ぜ……だ」

「水中でも使える銃は、いくらでもある。意外と知られてないだけだがな」

 

 倒れ浮かび上がる長宗我部に、武は拳銃を見せ付ける。使い捨てだが、水中でその威力を発揮できる拳銃だ。

 

「さて、あちらさんも終了といったところか?」

 武の声に変事をするかのように、石田は前回と同じく義経によって斬り捨てられて倒れた。

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