全体的に2000文字程度をちまちま更新する予定です。
決闘後、教室では二つの人種に分かれていた。
ひとつは、傭兵というのを恐れる者。そしてもう一つ、いやもう一人は……
「なーなー。銃を見せてくれよ」
「ちょっとキャップ!? なにいってるのさ」
「はい、こっち来ようね」
銃を見たがる人物だ。バンダナをした男、風間翔一に突っ込む男性に、それを引っ張っていく女性。
女性のほうは見覚えがあった。天下五弓の一人、椎名京。椎名流弓術の継承者だ。
天下五弓の名は伊達ではないらしく、そこそこの腕前を持っている。まぁ、戦場で生き残る程度の実力だが。
それはさておき、銃を見たがっている風間を凝視する。
「なんだなんだ? 見せてくれるのか?」
それに通じている体つきや気の持ち主ではない。精々喧嘩が強い程度の人物。
俺の中で、風間の像が出来上がった。面白いことをしてみるか。
机の上に銃の部品を置いていく」
「よし、じゃあこうしよう。部品を渡す。それをお前が組み立てるってのはどうだ?」
「お、いいねそれ! そういうの得意だぜ」
そういうと、目を輝かせながら目の前に置かれている部品を組み立て始めた。
それを傍らに、決闘した際に出した出費を計算する。
……すげぇ赤字だ。
九鬼特製。学割利かないだろうか。当時、あずみ姐にそれを言うと
『気にいらねぇなら売らないまでだ』
素晴らしい言葉をいただいた。
ちなみに、あずみ姐もこの学園に登校しているらしいが、ステイシーがいうには見るべきじゃないとのこと。
それが気になって調べたところ、この学園には九鬼の血筋が二名所属しており、それを護衛するべくあずみ姐とヒュームが編入している。
「やっぱ銃かっけーなぁ」
「は?」
風間の一言で、現実に引き戻された。風間の手には、パーツを組み立てて出来た銃が収まっていた。
正直信じられない。
「だから言ったろ? こういうのは得意だって」
「そうか。満足したか?」
「おう、さんきゅうな」
風間から返って来た銃を部品に戻す。歪みなし。
そのまま所定の位置へとしまいこむ。
「速いもんだな」
「本職だからな」
そう言って、俺は教室から出て行った。
無愛想? 雇い主以外に愛想を持つ必要はないな。
そんなことよりも、気になることがあるな。決闘後から聞こえ始めた音を確かめるべく、俺は屋上へと歩を進める。
☆
「なんでステルス軍用ヘリがあるんだよ……」
屋上へ向かった俺は、小型望遠鏡で音の正体を見抜くべく上を覗き込んだ。そこには、ステルスヘリがあった。
猟犬がいるにしては、やりすぎている。つまりは
「クリスティアーネを守るためか?」
フランク・フリードリヒは、猟犬だけでは不安で軍用のヘリを使って監視している、ということになる。親バカにもほどがある。
ヘリを撃ち落すべく、携帯式防空ミサイルを構えたときだった。
「グーテンモルゲン」
後方から弾を装填する鉄の音と共に、後頭部に銃口を向けられて。
「そろそろこちらにアタックをかけるだろうと思ってね。悪いけど策を打たせてもらったよ」
「やはり食えない奴だな。それで、その銃は俺に対しての敵対意志か?」
「それは君の言葉次第だよ。マルギッテの情報によれば、君は我が愛しい娘が所属している2-Fに入ったらしいではないか」
やはり、か。
「おっと、動かないでもらおうか。でなければ、本意でないにしても指が滑ってしまいそうだよ」
「動く気はない。ただ、何時まで銃を向けるかと思ってな」
「どのような状況でも対応できる武器を組み立てれる。実に厄介な人間だと思わないか? 不穏分子はここで倒さなければならないのだよ」
脅しではなく、撃つことを躊躇わない。
ここで抵抗すれば、軍を敵にまわすことになり、利益が一つも無い。
「おーけー。ここは穏便に済ませよう」
「そうしてくれると助かるよ」
両手を上に上げる。
此方に敵意がないとわかったのだろう。フランクも銃を降ろした。
「さて、何故ここにいるのかと聞かれると簡単だ。学校へ行ってみたかった。ただそれだけだ」
「なるほど、君は少年兵だったね。こういうのを憧れるのは無理もない」
「だろ? それで、ステイシーやあずみ姐がいる川神へと来た。これが俺の事情だ」
暫く沈黙が走るが、どうやら俺が言っている事を信じたのだろう。先ほどまで漂っていた殺気が消えた。
「そうか、ならば私は君に依頼をしよう」
「教室内でのクリスティアーネの護衛……か?」
「やはり君は賢いな。しかし、護衛と気づかれぬように注意してもらいたい」
「了解。口座は猟犬に教えておく」
「マルギッテには私から伝えて置こう。では、よろしく頼むよ」
軍の中将ならば、必ず振り込むことが出来ることを考えた俺は、依頼人フランクから、教室内でのクリスティアーネの護衛を受けることとなった。
が、いくらなんでも親バカ過ぎるだろ……。