ご了承下さい。
「それでは、これより川神大戦・東西交流戦を始めさせてもらうぞ。
天神館は左腕に白のワッペンを、川神学園は右腕に青のワッペンをつけるたな?」
東の川神学園、西の天神館のため、青龍と白虎の色でわけられた校章が記 されているワッペンを生徒が再度確認をする。
すると、クラウディオとヒュームが鉄心の横から出てきた。
「九鬼家従者部隊序列三番、クラウディオ・ネエロと」
「九鬼従者部隊序列零番のヒューム・ヘルシングだ。
俺達がお前ら赤子の戦いをライブ中継で見せてやろう。」
2人はカメラを掲げながらヘリから飛び降りる。
KUKIと印されているヘリに残った鉄心が、拡張機を使い森にいる二年生達に宣言をする。
東西交流大戦・開戦、と。
☆
「それじゃ行きますか」
「はい、行きましょう」
英雄の前にいるため、猫をかぶった声であずみが返事をする。それに迷彩服を着用した武は顔をしかめながら、目の前にある複数のドローバッグを担ぐ。
ガチャガチャと音を鳴らすバッグを、武とあずみは5つほど背負い終えると、東の見晴らしの良い山へと2人は駆け出す。
「やはり本職は速いですね」
「ああ、だからこそ頼んだんだけどな」
大和と冬馬は2人を見て言う。
今回の戦場の要である東の山を、傭兵時代の2人に先行して制圧するというものだ。
敵も当然見晴らしの良い東を狙ってくるはず。だからこそ、ゲリラが得意である2人に頼んだのだ。
当初は英雄の護衛をすると言っていたあずみだが、英雄の説得によりそれを賛同して、今に至る。
「あの2人が東を制圧しにいったのならば、安心でしょう」
「そんなに凄いのですか?」
「凄いも何も、《女王蜂》《血まみれステイシー》《武器倉庫》がもっとも得意としたのはゲリラ戦法ですからね。私達もあの部隊には苦しめられました」
どのような状況下でも対応できる武に、遠近どちらでも戦えるステイシー。さらに、混乱時においてもっとも発揮する忍のあずみ。
この3人を主体として、ゲリラ戦を行うとどうなるかなんて、火を見るよりも明らかだ。
森の中に消えていく2人を、マルギッテは心配することなく見送った。
東の山は、急勾配が特徴だ。
その山を天神館の十勇士の1人である毛利の部隊が登り始める。天下五弓と称され、西国一と称されている毛利は、頭もキレることで有名だ。
だからこそ、軽装備をした弓部隊を率いてこの東の山を制圧しようとしたのだ。
「この急勾配。美しい私が陣を敷くにはちょうどいい山だ」
ナルシストである毛利は、美しいというのが口癖であり、モットーでもある。
その彼が率いる兵は15。それらが、頂上に到着しそうになったときだった。
行き成り先頭を歩いていた兵士が、爆発で吹き飛ぶと同時に、音で硬直をした兵の頭に、ひとつの銃弾が飛んできた。
攻撃を避けることが出来なかった兵は、力尽きるように膝が折れた。
「地雷!? やはり敵も私と同じようなことを考えていたか」
射点を探すが、地雷が爆発した音によって射撃音が消されたため、探ることが出来ない。
「チッ……行き成り風が変わったか。北に3、西に1……修正完了」
目的の付近に到着すると、プロではない限り緊張が緩むのが人間だ。だからこそ、そういう所で奇襲をかける。ゲリラの基本だ。
頂上の木の枝。射点にいる武は、敵の周囲にある葉の動きを見て風を読む。彼の横にある木の枝には、3つのスナイパーライフルが吊るされている。
標準をずらし、トリガーを引く。サプレッサーを通して撃っているため、未だに混乱をしている毛利の兵の声で音は消える。
すぐさまコッキングして、敵を狙撃する。
薬莢がテンポ良く地面に落ち、全ての弾を撃ち終わった武は、スナイパーライフルを横へと置き、吊してあるスナイパーライフルを紐ごと引っ張る。
混乱している今だからこそ、一分一秒が惜しい状況だ。だからこそ、リロードの時間を減らすために複数のスナイパーライフルを組み立て、すぐに撃てるようにしていたのだ。
「見つけた。美しい私は、すぐに敵を見つけることが出来る罪な男さ」
手に持っているボウガンを、武に向ける毛利。彼の得意技は矢を素早く3連続で攻撃を行う三連矢。
狙いを定め、武を撃とうとした時だった。
「前方にしか敵がいないとは限らないぜ?」
毛利の後ろにいた兵に変装していたあずみが、毛利へと攻撃する。不意打ちの攻撃に対応することも出来ず、毛利はその場に倒れた。
次々と敵に狙撃していく武に、後方からのあずみの攻撃。
残った兵士は、なす術もなく駆逐されていく。
「よし、これで最後だな」
最後の1人を倒したあずみは、薬莢だらけの木の元へと戻っていく。
着地した武は、いつもよりも鋭い眼光をしている。戦場の目だ。
「スイッチが入ったか?」
「ああ、火薬の臭いでな……それよりも」
すぐさまくみ上げたハンドガンで、何もない枝を撃ち落した。
「ぬぅ……何故気づいた」
「気配。臭い。勘。もう少し鍛錬するんだな」
「やはり百戦錬磨の傭兵は騙せぬか」
そこから出てきたのは、西の忍者であり十勇士の1人の蜂屋。情報屋としても優秀な男で、2人の隙を見て倒そうとした魂胆だった。
しかしスイッチの入った武に見破られてしまった。
「《武器倉庫》は、神経伝達物質を限界に分泌することが出来る。情報通りだな」
「ほお、結構な情報通だな」
「しかもこの状況下に置けるまで俺を放っておいたということは、逃がさないつもりだな」
最初から蜂屋がいることに気づいていた武だが、忍者が厄介ということを知っている彼は、蜂屋を逃がさない状況下におくまでは放っておいた。
そして、あずみが戻った今、蜂屋を表舞台に引きずりおろしたのだ。
静かな殺気を放っている武に、蜂屋の握っている手の平から汗が滲み出る。
これは逃げれない。そう悟った蜂屋は、戦闘態勢へとうつる。
「分身の術か」
「では行くぞ」
静かに告げた蜂屋は、違う種類の武器を取り出し武を襲い掛かる。
「あずみ姐、助太刀はいらない」
「複数相手に立ち向かうと言うか。後悔するといい」
助太刀をしようとしたあずみを、武は止める。迫ってくる蜂屋に、何もする素振りを見せない。
「どれが本体かわからなかったようだな」
「どうでもいいな」
そして、武に襲い掛かろうとしたときだった。
武は蜂屋のそばの地面へと発砲。その地面から地雷が跳躍し、炸裂して出てきた金属球は、次々と蜂屋に当たっていく。
1人、また1人と消えていく分身。そして最後に残ったのは本体の蜂屋のみだった。
「跳躍地雷か……。油断した」
「油断? いいや、違うな」
銃口を蜂屋に向けて、武はうす気味悪い笑みを浮かべる。
「お前はその程度の忍者だったんだよ」
「なるほどな。勉強になったぞ」
「じゃあ……さっさと消えろ」
パーンと、乾いた音が響き渡り蜂屋の意識は途切れた。
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