緋弾のアリアに転生したら危険な姉から逃げないといけなくなりました。 作:レイアメ
「私がお姉ちゃんだから、何でも頼っていいよ!」
そう言って笑うアリスは天使でした。俺の手を取って意味もなくクルクルと回るアリスを見てほっこりしながら、何となく飽きを感じていた。
そもそも精神年齢が大人な奴が明らか幼児向けの玩具に囲まれた所でじっとしていろと言われて、我慢できるはずがないだろう。
かと言って、勝手に出ていけば怒られるかもしれない。
「というわけで、探検に行こうぜ」
白衣の人達?知らない人ですね。能力使えば簡単に抜け出せるだろうし、大丈夫だろう。それにこれからは此処で過ごすのだ、構造くらい先に知っていてもいいだろう。あと、外に行きたい。日の光にいい加減あたりたいね。ポッドの中はもう十分だわ。
「ん~?怒られない?」
「大丈夫だって、怒られない怒られない」
「ん~、ん~?」
首をコテンと傾げて考えるアリス。可愛い。
「ん~、分かった!おねえちゃんだから怖くないように一緒に行ってあげる!」
「よし、行こうぜ。その前に手を握ろうぜ」
迷子になるといけないからな!......本当は能力が使えないからだけど。
俺がそういうとポカンとしたアリスが一瞬で満面の笑みを浮かべ、握ってくる。......やばい、自分の汚れた何かが浄化されそう。
「そ、それじゃあ行くか」
「どうしたの?具合悪いの?」
「い、いや、何でもない」
「本当に?」
「ああ、大丈夫だって」
「......本当?」
「っ!?」
うおっ!ビックリした。急にアリスの顔で視界が埋め尽くされるほど、近くでのぞき込んでくるもんだから驚いた。それにしても今のアリス、雰囲気が変じゃなかったか?ほんわか天使オーラが一瞬だけ、無表情になった気がしたけど。いや、気のせいだよな。
「よし、でっぱつだ!」
「おー!」
とまあ、勢いよく言ってみたけど、部屋の外に出た瞬間ながぁーい通路、代わり映えのない扉。出口が全く分からん。
「何処行くのぉ?」
「んー、こっち」
適当に歩き回ってるけど、部屋は鍵がかかっているから開かないし、迷路みたいだし、ぶっちゃけ迷ってるし、もう外出れなくてもいいから戻りたい。
そう思うと偶然なのか、アリスが指をさす。
「此処、空いてる」
「え、マジで!入ろうぜ!」
というか何で、空いてるって分かったんだろう。そんなことを入ってから気付いた。
◇■◇■◇
「此処って、もしかして......」
そこにあったのは何処かで見たようなポッドが、大量に鎮座していた。
中身はすでにないが、俺にはわかる。此処には俺みたいな奴が居たんだと。そうなると次に考えるのは、中に入っていた奴が何処に行ったのか。
すぐ傍にあった机を探り、何か分からないか調べる。そこには一枚の紙だけがあった。他は別の場所に保管されているのだろう。
「くっそ、何語だよコレ。読めねえよ」
当たり前なのだが、此処が何処なのか分からない以上、言語なんて分からない確率の方が高いのだ。でも、何処かで読んだことありそうだし、頑張れば読めるかもしれない。
「・・・・やっぱ無理だわ」
すぐに諦めた俺の隣から顔を出し、読むことを試そうとするアリス。それを微笑ましく思いながら、そのままにしておく。読めないだろうし。
俺は他の机を探した。
「......ホムンクルス、プロトタイプ1~9型。失敗」
だから、その言葉を聞き逃した。
◇■◇■◇
結局、あれ以上の収穫もなかったし、元の部屋に戻ってきた。帰るときはアリスが道を覚えてみたいだし、何とか部屋に帰れた。意外と優秀だったアリスに気分が高揚しそうになったわ。
白衣の人達も何も気付いていないみたいだし、肩の荷が下りた感じだわ。
「つーか、アイツも自動翻訳とかしてくれるくらい、サービスしてくれてもいいと思うだよな」
アイツとは勿論この世界に送り込んだあの変な存在だ。転生してくれるだけありがたいんだろうけど、アフターケアは欲しいわ。チートハーレム主人公みたいに。
「いたっ」
すると何故か頭に軽い痛みを感じる。辺りを見渡しても誰もいない。アリスは白衣の大人に何処かに連れていかれたから今は此処にはいない。あるのは先程までなかった筈の手紙。何となく嫌な予感がするが、開ける。中は二枚の紙が入っていて、とりあえず、一枚目を読む。
―――どうもお久しぶりです。元気でやっているようで何よりだ。それより~どうかな新しい生は?せっかくの第二の人生です、楽しみなさい。
それと今お前が疑問に思っているだろうが、何で手紙なのかだよね!説明すると長いのですから、完結に述べます。その世界には俺は干渉出来ない。少しくらいなら出来るんだけどねぇ~、今こうやって手紙を送るくらいですね。例えるならテレビのリモコンでエアコンを動かそうとするみたいなものなのです。チートハーレムの手伝いは出来そうにないな。
「何処だ!何処で見ている!」
絶対何処かから見てやがる。ということはあのポッドの中に居た時も見ていたのだろう。あれは一言くらい恨み言を言ってもいいと思う。
―――あとね私はあんまり関われない、つまりポッドに入るのはしょうがないことなのです。
何これ怖い。先読みして書いてあるとか絶対可笑しいだろ。何か読むのが怖くなってきた。
―――これから基本的には貴方は自分の力で生きてください。私では何とも出来ませんので。お前ならうまくやっていけるだろうが、いちおーね?もしもの時だけは何とかします。出来ればすぐに貴方と合わないように。あと分かってるだろうが、この事や今までの事は言っちゃダメだからね?
これで一枚目は終わり。何だか上京した息子を思う母親みたいだな。と思いながら二枚目の紙を見ようとして、消える。何故かと考える前にアリスが後ろから飛び掛かってくる。この体はまだ幼児体系。耐え切れず、転ぶ。アリスにどいてもらおうと声をかけようとするが、様子が変だ。
「あ、アリス?」
「ねえ、何をしていたの?教えて?」
「な、何もしてないぞ。本当本当、嘘つかない」
嘘です。
「ふ~ん......じゃ、いいや!一緒に寝よう!」
「ああ、うん。いいぞ」
夜は明ける。彼が眠れなくなるのは、まだ少し後のお話し。
◇■◇■◇
―――消されましたか、中々勘が働くなあの嬢ちゃん。う~ん厄介だなぁ。こんな序章で物語を終わらせるのも味気ないですね。どうしましょうか、かといって無理矢理改竄しようとしようとすれば、強制的にシャットダウンされそうだよね~。どう対応しましょう。
あの時、トキトが見る筈だった二枚目にはこう書かれていた。
「■■■■■■-----」
―――おやこれは?まさか此処まで干渉するなんてな。これもあの子の影響かな?さて、物語はどう転ぶんでしょうかね。