灯篭の明かりもない新月の夜更け。
俺達は、母国を離れながらも景気良く暮らす屋敷を襲った。
その名前は鬼龍院、名のある陰陽師一族らしい。
正面から押し入れば害虫の様に群がってくるが、正直、俺達の敵ではない。
軽装に身を包む奴もいれば、見るからに高そうな生地を身に纏う奴もいる。
「何のための修行だ!たかが実践などに怯むな!!」
「呪を用いて賊を始末するのだ!!」
殺しても殺しても減らない数に鬱陶しさを感じるが、一気に滅ぼすとソレはソレで面倒だ。
ぐるりと周りを見渡して状況判断を始める。
「・・・ノブナガ、マチ、フランクリン、フィンクスは残れ。あとは俺と来い」
「「「「了解」」」」
大して時間も掛からずに決まり、跳躍を生かして屋敷の奥へと侵入する。
後ろに居るのはフェイタン、シャルナーク、パクノダ。
適当な所に足を着けて、もう一度飛ぶ。
その最中、一区画だけ離れがあるのが見えた。
「アレが本堂だね、どうする?団長」
「・・シャルは屋敷内の隠し場所を探れ。フェイもだ」
「了解っ」
威勢よく返事をするシャルナークにフェイタンも頷いて、次の瞬間には闇に消える。
それを確認して音もなく本堂へ降りれば、中で気配が動いた。
2人、いや3人か。
視線でパクノダに裏に回るように指示すると、奴もまた音もなく消え去る。
「
横から近寄ってきていた気配を蹴り飛ばして、それによって目の前の木製の扉をぶち開ける。
だが俺が入るよりも先に、置いてきた筈の連中が 本堂に隠れていたジジイ共を縛り上げていた。
「・・本当に優秀だよ、お前らは」
「このままじゃ団長は俺に後継されっかもな?」
呆れて出た俺の言葉にノブナガが軽口を叩く。
大した自信だと言い返したかったが、縛られている奴らが騒ぎ出したせいでソレは途切れてしまった。
「何が望みだ!!!」
「そうだな、とりあえず金銀財宝って所か」
「ッそんな物は無い!」
猛毒の仕込まれたベンズナイフを首筋に当てて脅せば、一番歳の喰ったようなジジイが怒鳴る。
こんな豪邸で、山のような門下生(全て始末したが)を抱えておきながら。
何一つ無いなんて、戯言にも程がある。
「どんな推測をして我が屋敷を襲ったのかは知らんが、金になるのは精精土地と家具くらい・・・お前ら如き野賊が欲するような物はない!」
一息で言い切ったジジイには少し驚かされたが、今しがた到着したシャルナーク達の顔色を見る限り、それは詭弁であることが分かった。
「調べに行って損した、隠し物は間違い無く此処にあるよ!」
「・・それも、地下ね」
「な、何で・・おい止めろ!ソコを開け・・・、ぐ、ぁ・・・っ!!」
噓吐きに用はない。
口に出したわけではないが、ジジイ共から離れた俺を見計らって、ノブナガとフェイタンが3人の首を刎ねる。
それを尻目に、特に仕掛けの無い床扉に手をかけた。
開けた瞬間に待っていたのは、禍々しいほどの念オーラ。
「・・・俺とフェイで行く」
「ああ、任せた」
速攻でソレを感じたフィンクスがフェイタンと共に下へ降りる。
設置された梯子は使わず そのまま落ちていく所がアイツららしいな。
適当な事を考えながら頭を回すと、案外短い内に着地音が聞こえた。
その間も、見知らぬオーラは途切れる事無く垂れ流されている。
まるで自殺行為だと言っても過言ではない。
「・・・おいおい、マジかよ」
「・・胸糞て奴ね」
下から聞こえてくる2人の声も、いつもとは違うのが分かる。
だが同時に降りても良いと判断出来る状況に、ノブナガもマチも降り始めた。