ここは迷宮区。そこでキリトはフードのプレイヤーと話していた。
「……さっきのは、オーバーキル過ぎるよ」
「オーバーで、何か問題があるの?」
「システム的なデメリットやペナルティはないけど……効率が悪いよ。ソードスキルは集中力を要求されるから、連発しすぎると精神的な消耗が早くなる。帰り道だってあるんだし、なるべく疲れない戦い方したほうがいい」
「…………帰り道?それなら、問題ないわ。わたし、帰らないから」
「は?か、帰らないって、町に?だってポーションの補給とか、装備の修理とか睡眠とか……」
「ダメージを受けなければ薬はいらないし、剣は同じのを五本買ってきた。……休憩は、近くの安全地帯でとってるから」
「…………何時間続けてるんだ?」
「三日か四日………」
と、言いかけた所で声がした。「はい、い〜ち、に〜、さ〜ん〜……」と。
「な、何………?」
「君、この辺りで狩りしてたんじゃないのか?この現象は初めてか?」
「初めてよ……」
「そうか……」
念のため、二人は剣を構えて近付く。その度に声はドンドン自分達の耳にハッキリ届いて行く。そして、とうとう茂みの向こうは声の主がいるという距離まで来た。
「行くぞ……」
小声で聞くと、フードの女性はコクっと頷いた。そして、ガバッと茂みから出て、そこにいたのは、
「はい、17〜18〜19〜」
可愛い顔した男の子。剣を持っている。そこまではいい。だが、問題は木にたくさんのモンスターが突き刺さってる所だ。しかも、HPがギリギリ残ってるか残ってないかの量。数字は、突き刺さってるモンスターの数のようだ。
「」
「」
二人とも言葉を失った。その2人に気づいたその少年は振り返った。
「あっ」
「…………ん?」
キリトは顔をしかめる。
(あれ、こいつどっかで見た顔だな……)
「なんか用か?」
「いや用はないけど……」
「強いて言うなら質問させてもらえる?何してるの?」
フードの女性も聞いた。それに平然とそいつは答える。
「何って、ハンティングですけど」
「そんなハントがあってたまりますか!」
なんてやってると、武器の耐久値が減ってモンスターが解放された。
「やべっ!来たぞ!」
キリトもフードの女性も剣を構える。が、それ以上の早さで少年は逃げ出したモンスターを叩き斬った。
「っ‼︎」
(は、速い……!)
キリトは素直にそう思った。太刀であれだけの速度を出せるのは少し驚いた。
「なに逃げようとしてんだ」
見下しながら、さっきの甘い視線とはまったく正反対の鋭い目でパキィィィンと消え去ったコボルトを見下す少年。が、その瞬間に周りから襲い掛かる他のコボルト。
「これは、マズイな……!」
「………ッ!」
「……………」
3人は剣を構えて、そのコボルトの群れに立ち向かった。