キリトが気が付けば、アスナもセレナも寝ていた。しかもセレナは木の上で。
「猫かあいつは……」
半ば呆れつつもキリトは木に登る。あのまま落ちたら流石に可哀想だ。で、セレナを抱き上げたわけだが、なんか、こう……やけに柔らかい。いや体脂肪的な柔らかさじゃなくて、女の子的な柔らかさだった。
(そういえば…こいつこの前、女性用の下着着けてたっけ……)
思い出すと、段々と顔が赤くなるキリト。とりあえず地面に降ろした。
(た、確かめたい……)
素直にそう思うも、もし男だったらホモホモしい絵面になるし、女だったらそれはそれでセクハラになる。さっきから空中で手が行ったり来たりしてるキリトだった。
「す、少しくらいなら……」
そう思ってキリトは手をセレナ胸の上まで運んだ。セレナは血盟騎士団のコートを着ているので、胸の膨らみなどは分からないが、心なしか少しだけ膨らんでいるように見えた。ドクンッドクンッと胸をならせながらキリトが手を近づけると、急にセレナの目が覚醒した。
「!?」
その瞬間、キリトの首を足で挟んで薙ぎ倒し、ケツで顔面を踏み付けた。
「〜〜〜ッ‼︎⁉︎」
「海賊王に、俺はなる!」
わけのわからない寝言を言いながらしばらくゴロゴロした後、再びセレナは前に倒れ込んだ。キリトの顔面には、セレナの尻がある。
「やっぱバカなことはするもんじゃねぇな……」
そう反省すると、キリトはセレナを蹴り起こした。
夕方。俺とキリトは眠ってる副団長様のお守り。俺は段々暇になってきて、マジックペンを取り出すとアスナの横にしゃがむ。そして、キュッキュッとドラえもんっぽい顔を描いた。続いて頭に肉と描いた。最後に写真だけ撮って、後で血盟騎士団の連中に売却しようと、心に固く誓った。
「ふぅ……」
いい仕事したぁ……とでも言わんばかりに俺は息を吐く。すると、キリトがジト目で俺を睨む。
「知らないからな俺は」
「止めなかった時点で同罪だ」
「そうね。二人とも同罪だわ?」
声がして振り返ると、副団長様が仁王立ちしていた。
「あ〜あ……」
とばかりにキリトは額に手を当ててため息をつく。
「似合ってますよ副団長」
「嬉しくないわよ!てか引っ叩くわよ!?」
「あすえもーん、キリアンが虐めるんだぁ〜」
「こんのっ……!スタースプラッシュ!」
俺はソードスキルを躱して、投剣で木の枝を投げた。それがアスナの鼻の穴にぶっ刺さる。で、後ろにひっくり返った。
「あんたさ、本当にお願い……一発でいいから殴らせて?痛くしないから、お願……」
「やだね」
「このクソガキッ!」
剣を振るうアスナと逃げる俺。いつの間にかキリトはいなくなっていた。
「あーもうっ。結局、セレナくんのせいで全然攻略出来なかったじゃない!」
今は57層。レストランで俺とアスナは飯を食ってる。さっきからアスナはプンプン怒ってるが、俺は無視してパフェを食ってる。あ、なくなった。
「すいませーん。パフェお代わりぃー」
「お代わりじゃないわよ!あなた、ちゃんとお金あるんでしょうね?」
「部下の分も払うのが上司の役割だろ」
「ふざけないで!私は奢らないわよ!」
「んだよ。ざけんなケチ」
「それが普通よ!」
なんて言いながら飯を食う。と、思ったらアスナは急に顔を赤くしてそっぽを向く。
「その……ありがと」
「何が」
「さっき言ってたゲームを楽しむだの何だのってやつ、少し、気が楽になった」
「そうかい、それはおめでとう」
「今あんたわたしのご飯にハナクソ入れたでしょ」
「トッピング、セレナスペシャルだ」
「なんかお礼言って損した……」
なんで話してる時だった。
「キャアァァァァッッ‼︎‼︎‼︎」
悲鳴が聞こえた。
「!?」
「もぐもぐ」
「あなた、よくさっきの悲鳴でまったく動じずに食べてられるわね……」
「カンケーねーもん」
「いいから来なさい!」
で、俺は引き摺られる。外に出ると、男が首をロープを吊られ、胸に剣が刺さっていた。
「うわっいったそー……」
「言ってる場合!?」
アスナはその男を降ろそうと走る。だが、パキィィィィンッッ……と、消えてしまった。
「あーあ……」
こりゃ関わらないほうが得策だな。俺はそう判断し、その場から去ろうとした。が、そんな俺に声が掛かる。
「セレナくん!デュエルのウィナー表示を探して!」
そんな声が響く。さっきの男が消えた所から大声で呼ばれてしまった以上、無視は出来ない。仕方なく辺りを見渡すが、特にそれらしき影はない。
「……無いな」
そうか。圏内PK。それが起きたのか。