しばらく沈黙。だが、その静寂がリズが入ってきたことによって消された。
「どしたのセレナー?」
「リズ。用事思い出した」
「は……?」
俺は窓を開けて逃げようとした。が、足を掴まれて頭から窓に直撃。
「ダーメ。そこまで甘くないわよあたしは。男ならしゃんとしなさい」
「ぐふっ……」
「ほら起きなさい」
「…………」
「気絶したふりしても無駄よ」
「クソッタレ……」
俺はよろよろと立ち上がった。
「えっと…二人は知り合いなのかな?」
「あ、ごめんなさい。あたしはリズベッド。で、こいつは奴隷…もといバイトの……」
「あぁ、セレナは知ってるから。なんだかんだ一層からの付き合いだし」
「ふぅーん。じゃああなたも相当の苦労人ね……」
「そりゃもうな……」
「おい、人を手の掛かる子供みたいに言うんじゃねぇよ」
「「事実だろ」」
ひでぇ……だいたい俺はガキじゃない。
「で、何を探してるの?」
リズがキリトに聞く。
「あー…えっと、片手剣なんだけど、これに近い性能でお願い出来るか?」
言いながらキリトはエリュシデータを放って渡す。おぉっと、っと、体勢を崩すリズ。
「最近は重い武器が流行ってんの?」
「頼めるかな」
「うーん……」
言いながらリズは壁に掛かってる剣を取った。
「これでどう?うちで出せる最高級の剣よ」
持つと、キリトはその剣を振ってみせる。
「ちょっと…軽いかな……少し、試してみてもいい?」
「試す?何を?」
「耐久力をさ」
言いながらキリトは自分の剣の上にリズの剣を重ねる。
「ち、ちょっと!そんなことしたらあんたの剣が折れちゃうわよ⁉︎」
「折れるようじゃダメなんだ。その時はその時さ」
「んな……」
「HEY!折、れ、ろ!折、れ、ろ!」
「「お前は黙ってろ!」」
で、振るキリト。剣と剣がが交差した。そして、刀身が宙を舞った。リズの最高傑作の。
「うぎゃああああ‼︎」
リズはすぐに剣に飛び付くが、「修復、不可能……」のつぶやきと共に剣が消え去った。
「な……な……なにすんのよこのーっ‼︎あんたら揃いも揃ってー!」
「ご、ごめん!まさか、当てた方が折れるとは思わなくて……」
「それはつまり、あたしの剣が思ったよりヤワっちかったって意味⁉︎」
「いやいやいや、斬ったほうが折れてる時点でダメだろ」
「こっの………!」
俺が言うと、キッと睨むリズ。
「い、言っておきますけどね!材料さえあればあんたらの剣なんかポキポキ折れちゃうくらいのを幾らでも鍛えられるんですからね!」
「その材料を自分で調達出来ない時点でたかが知れてるわ」
「あんた……まじ腹立つわね!なら手伝いなさいよ!金属取りに行くの!」
「そりゃ構わないけどね。俺たちだけのほうがいいんじゃないのか?」
「お前が付いてきたって俺たちにとってはなんのプラスにもならねぇんだけど」
「バカにして……あたしこれでもマスターメイサー何ですからね⁉︎」
「だからそういうのいいから。帰れよマジで」
「ここがあたしの家よ!」
その後、5分ほどリズのクールダウンに時間が掛かり、ようやく本題に入る。
「で、お前の欲しがる金属ってのはどこにあんだよ」
「えっと……55層の西の山のドラゴンなんだけど、毎日水晶を餌として齧り、その腹で精製して貴重な金属を溜め込んでるっていう話なのよ」
「55層?ならさっさといこうぜ」
言うと、リズはため息をついてあきれた。
「そんな能天気っぷりでよく今まで生き残ってこれたわねあんたら。ゴブリン狩りに行くんじゃないのよ。それなりにパーティを揃えないと」
「いらねーよ。怖いんなら待ってろよ」
「あんた……本気で言ってるの?」
リズがジト目でこっちを見る。
「まぁ55層なら俺だけでも十分だな」
キリトが言うと、俺は当然の切り返しをする。
「じゃあ俺ここにいてもいいか?」
「ふざけんな。お前も手伝え」
「あんたら……本当にこの面子だけで行くの?」
「だから怖いならここにいろって。邪魔だし」
「こ、怖くないわよ!行くなら行きましょう!」
そんなわけで、金属狩りに出発だ。