安全エリア。俺はアスナにゲンコツされた。
「ってぇ!」
「何考えてるのよあんた!一人でボスに勝てるつもりだったの⁉︎」
「いやだって初めて一番にボス部屋見つけたから。つい喧嘩売りたくなったんだよ。そもそも喧嘩ってのは初見でするもんだろ」
「これは喧嘩じゃないわよ!相手は化け物よ⁉︎」
「るっせーな。もう分かったよ」
俺は頬をぽりぽりと掻きながら立ち上がる。すると、キリトが言った。
「頼むセレナ。もうそういうのはやめてくれ……」
珍しく真面目な顔。
「なんだよ急に」
「いいから。頼む」
「お前は俺のオカンか」
なんか、最近のキリトは変だ。まぁどうでもいいけどね。
「でもセレナ強ぇな。よく一人であそこまで……」
「俺はリアルでもよく喧嘩してたからな」
「お前なぁ……一応、女……」
その瞬間、俺のスラントがキリトを斬り裂いた。ギリギリ避けるキリト。
「おまっ!殺す気か!」
「何言ってやがんだ。俺はいつでも殺る気まんまんだ」
「腹立つ!お前やっぱ腹立つ!」
と、ピーピー叫ぶキリトと俺の肩を掴み、アスナは自分に向けた。
「あなた達、何か隠してるでしょ?」
「「は、はぁ⁉︎」」
ハモった。
「だって、なんかキリトくん様子変だし、セレナくんも普段からは考えられない激しい攻撃してたし」
「き、気のせいだろ。な?セレナ」
「うん。気のせい。つーかアスナ。お前こそなんか様子変だぞ」
「えうっ⁉︎」
思ってもないことを口にした。
「なんか初恋してる女の子みたいによそよそし……」
「だ、誰がセレナくんなんかに恋するもんですか!」
「いや誰もそんなこと言ってないけど」
俺は困った顔をする。こいつ何言ってんだ……。チラッと見ると、キリトは焦った顔をしている。え、なんなのこいつ……。
「と、とにかく!お昼にしましょう!わたし、お弁当作ってきたんだ」
で、アスナはストレージからサンドイッチを取り出す。
「はい、セレナくん」
ニコッと俺にサンドイッチを渡してくれるアスナ。俺はありがたく頂戴した。
「それと、キリトくんも」
「おぉ、サンキュー」
で、もっさもっさと食べる。
「うめぇ……」
「ほ、本当に⁉︎」
「自分で作ったほうが美味いけどな」
「そういうの、余計って言うんだよ!」
なんて言いながら食事。食べ終わって、俺は軽く伸びをする。
「さて、帰るか……」
「そだね。団長にボス部屋のこと報告しないといけないし」
と、思ったのだが、
「待てよセレナ。もう少し二人で狩りしないか?」
「は?」
キリトはヤケに2人で、を強調した。なんなのこいつ前からマジで。と、思ったらアスナが俺の腕に飛び付く。
「残念。セレナくんはこれからわたしと二人で団長に報告するの」
「は?」
さっきから俺、「は?」しか言ってないんですけど……。
「いやいや、セレナは基本自由なんだろ?だったらレベル上げしてたほうがいいよな?」
「セレナくんは一応、ボスと手合わせしてたわ。そのデータが必要だから報告に行くの」
「おい待てお前ら。何勝手に……」
「「あなた(お前)は黙ってて!」」
ほほう、ちょっとイラっとしちゃったゾ☆
「殺すぞお前ら」
「セレナは俺と狩りするんだ!」
「いいえ!私と報告に行きます!」
「聞けよ話」
「おーい、キリト!」
声がした。振り返ると、バンダナの人が立っている。周りには数人の男。
「まだ生きてたか、クライン」
「相変わらず愛想のねぇ野郎だ。珍しく連れがいるの……か……」
なんかどんどん元気が失せてくなこいつ……。
「あーっと、ボス戦で顔は合わせてるだろうけど、一応紹介するよ。こいつはギルド『風林火山』のクライン。で、こっちは血盟騎士団副団長アスナと総隊長セレナ」
だが、固まるクラインって人。
「おい、何とか言え。ラグってんのか?」
「て、てんめぇ!両手に花とはどういうつも……」
と、言い掛けたクラインの口を俺は廻し蹴り。ズシャアァァァッッ‼︎‼︎と後ろに跳ぶクライン。
「てんめぇ、何しやがる!」
「いやいや、今のはリーダーが悪ぃよ」
「そうだぜ。両手にって……片方男じゃねぇか」
ナイスサポート周りの風林火山。すると、クラインはパチパチと瞬きして、顔をしかめると言った。
「そ、そうか、悪かったなセレナ」
言いながら俺の肩を組んでくる。
「お前さんは隠してるつもりかもしんねーけどお前俺の股間センサーは騙されねぇよ?まぁ暴露するつもりもねぇけどな」
「な、なんでわかった……?」
「だぁから、俺の股間センサーがだな……」
「やっぱききたくない。失せろ」
言いながら俺は背負い投げした。そして、キリトの横に行く。
「なぁ、あいつ何者?」
「あーあれは俺がSAOを始めて、最初に話した奴だ。レクチャーまでしてやった」
「ふーん……」
「どうかしたか?」
「いや、あいつが二人目なんだ。俺を一目見て女だと分かったのは」
「二人目は誰だ?」
「団長だ」
「…………ふーん」
なんて話してると、アスナが俺達をジト目で睨んでるのが見えた。慌てて目を逸らすと、軍が目に入った。こっちに向かって歩いて来ている。