二回目のボス攻略は俺達の役割振りと部隊リーダーの挨拶に終わった。その後、俺とアスナはスイッチだのポットだのよく分からん説明を受ける事になった。
「………で、説明って、どこでするの」
と、アスナの質問によってキリトはドヤ顔で、
「俺がこの町で借りてるのは、農家の二階で一晩八十コルだけど、二部屋あってミルク飲み放題のおまけ付き、ベッドもデカイし眺めもいいし、そのうえ風呂までついて……」
その瞬間、アスナが反応した。迫力だけならドズル以上の気迫。そのままキリトの胸ぐらを掴んだ。そんなわけで、今はキリトの家。
アスナが風呂に入ってる中、俺とキリトは部屋で待機。
「眠ぃ〜……」
俺はベッドの上でアスナに買いに行かせたパンとクリームを寝転がりながら食べる。
「お前なぁ……人の部屋で寛ぎすぎだろ」
「お前が寛いでていいっつったんだろ。それよりお前、なんかないの?ポテチかなんか」
「むしろふてぶてしい!」
「ねぇなら買って来いよ」
「お前もう出てけよ……」
「んだよケチだな」
言いながら俺はほじくった鼻くそをその辺に飛ばした。
「おい、ここ俺の部屋!お前御構い無しか!?」
チッ。潔癖な男だ。すると、なんか変なノックがした。
「……悪い客だ。ハナクソ拾っとけよ」
「おー」
テキトーに返事しておいた。すると、キリトは玄関で少し話した後、中に入れたようだ。
「珍しいな。あんたがわざわざ部屋にまで来るなんて」
「まあナ。クライアントが、どうしても今日中に返事を聞いて来いっていうもんだからサ………って、なっなななんでお前がここに!?」
アルゴだった。
「クソガキか」
ビュッとキリトの背中に隠れるアルゴ。
「どうかしたのかアルゴ?………あっ」
キリトも思い出したようだ。うん、昨日のボス攻略会議の途中で言ったからな。
「お前あれ本気で言ってたのかよ……」
「おー。で、鼠。どうだった?疲れた?」
「わ、分かってることを一々聞くな!」
標準語に戻ってしまうほど辛かったらしいな。うん、いい反応。
「で、キリトになんか用あるんじゃねぇのか?」
「うっ……で、でも情報屋だから……クライアントとか、その……話聞かれたりすると……」
アルゴが歯切れ悪く話す。ハッキリ言えハッキリ。なんか言おうと思ったらキリトが言った。
「あーほら、情報屋は信頼が命だからさ。話聞かれたりするのはちょっとあれなんだとよ」
なるほど。俺は無言で一時的に出て行った。
攻略の日、俺とキリトとアスナは一層ボス攻略御一行様の後ろに続く。さて、ようやくこのゲームも面白くなってきたな。
「おい」
声を掛けられた。見ると、この前のモヤットボールだ。名前は知らないし興味もない。
「ええか、今日はずっと後ろに引っ込んどれよ。ジブンらは、わいらのパーティのサポ役なんやからな」
「………………」
あ?それ俺に言ってんのか?
「おとなしく、わいらが狩り漏らした雑魚コボルドの相手だけしとれや」
そのままモヤットボールは自分たちのパーティへ引き返した。
「なにあいつ、後ろから斬られたいの?」
「本当よ。何、あれ」
アスナも俺と同意見のようだ。
「さ、さぁ…ソロは調子乗んなってことかな……」
「あいつも今すぐソロプレイヤーにしてやろうか。ボス前に討伐してソロで天国行かせてやろうか」
「落ち着けセレナ。やるなら責めてボス討伐後にしろ」
俺はケッと唾を地面に吐き捨てた。すると、ディアベルが俺たち全員を見て言った。
「みんな……もう、俺から言うことはたった一つだ!」
右手を左腰に走らせ、銀色の長剣を音高く抜き放ち、
「勝とうぜ!」
そう言った。その瞬間、そこにいるプレイヤーのほとんどが手を大きく挙げた。俺はハナクソほじりながら、「大物……」と、呟くと、モヤットボールの後頭部にピッと飛ばした。