ゴドフリーの「緊急時の対応を見たい」の発案で結晶アイテムを預けて、敵を倒しながら歩くことしばらく、
「では、一時休憩!食料を配布する」
ゴドフリーが男前にそう言い放った。で、配られる食料。
「硬ぇ……」
(なんでこんな堅焼きのパン食わなきゃいけねんだよ……自前の持って来ればよかった……)
キリトはそんなことを考えながらパンを齧る。だが、クラディールがニヤニヤしながらこっちを見てることに気づいた。
「待て!全員食うな!」
キリトが声を上げる。だが、ゴドフリーも食べてしまっているし、セレナのパンにも齧った跡がある。その瞬間、全員体が動かなくなり、倒れ込んだ。
「なにっ……」
「ヒャハハハハハッッ‼︎‼︎」
笑い声が聞こえた。クラディールがめっちゃ笑ってる。
「なっ……!」
「な、なんの真似だクラディール……これも、何かの訓練なのか……?」
ゴドフリーが苦し紛れに声を出す。
「ブァーーーカッ!」
そのままゴドフリーの腹に剣を差し込む。そしてHPバーはドンドン減っていき、ゴドフリーは消滅した。
「さて、総隊長様よ。死んでもらうぜェ。俺ァ、テメェを消すためにいろんな事して来たんだぜェ……」
そんな様子を横目で見ながらキリトは考える。この場を打開する方法を。
(セレナも何かしら案があるかもしれない。あいつはなんだかんだ言って弱点無しだしな……さて、どうする。指一本くらいなら動かせるからアスナにメッセージを……)
「ヤダァァァァァッッッ‼︎‼︎‼︎‼︎死にたくないよぉぉぉ‼︎‼︎」
「「ええええええええええッッッ‼︎‼︎‼︎‼︎」」
キリトだけじゃなくクラディールまでが声を上げた。
「うえええええええん‼︎」
「待てぇぇぇぇぇ‼︎‼︎‼︎お前この前までのサディストキャラはどこ行った⁉︎テンパりまくりじゃねぇかッ!」
クラディールが突っ込む。
「Sだからこそ打たれ弱いの!諦め早いの!自分の未来が死しか見えないとテンパりやすいの!パニックになるの早いの!」
「うるせえええええ!ピーピーはしゃぐな!なんかドンドン殺しづらくなんだろうが!」
「お母さああああああん‼︎」
「お前、歳いくつ⁉︎」
と、号泣するセレナ。だが、今ならクラディールから殺気が消えている。キリトは微かに動く指だけ動かしてアスナにメッセージを飛ばした。
「ったく…命の危機が迫ったらただのガキかよ総隊長……こんな奴に今まで従ってたと思うと自分が情けねぇぜ…」
言いながらクラディールは再び剣を抜いた。キリトは奥歯を噛んだ。
(アスナ……早く来てくれ……!)
そして、剣がセレナの背中に刺さる瞬間、
「ふぅー、間に合った」
「えっ」
「腹が、ガラ空きじゃあぁぁぁぁッッッ‼︎‼︎‼︎」
セレナは立ち上がってクラディールの腹を刀で抉った。
「えええええええッッ‼︎‼︎‼︎」
驚きと恐怖の悲鳴を上げながらクラディールは後ろに吹っ飛んだ。キリトも唖然としてる。
「ったく、情けねー声出させやがって」
セレナは首をコキコキ鳴らしながらクラディールに近付く。
「おまっ……麻痺毒は……っ⁉︎」
「そんなもんさっきの時間稼ぎで治ったわ。そもそも俺、そんなにガッツリパン食ってねぇし。つーかここに来る前にパフェ食ってたからお腹空いてなかったんだよね」
「なん、だと……⁉︎」
で、セレナは刀を抜いた。
「あーあ、さっさと俺を殺してりゃ良かったのになぁ。言っとくけど俺は半端なドSじゃないぜ」
「ひ、ひいぃぃッッ‼︎」
後ずさりするクラディール。そのクラディールの足をセレナは斬った。
「あーあ、これで動けなくなっちゃったなぁ〜」
「や、やめろぉ!俺が、俺が悪かったあああ!」
「別に許してやってもいいけど、お前ゴドフリー殺しちまったからさぁ……悪いけど、お前は助からない」
「……………ッッ‼︎‼︎‼︎」
「お前はもう、死んでいい」
で、剣を振り下ろそうとした時だ。そのセレナを後ろからキリトとアスナが止めた。
「ダメだセレナ。それ以上は」
「落ち着いてセレナくん。殺っちゃったら、そいつと同レベルになっちゃっうんだよ」
「………………」
すると、脱力したようにダランとして、セレナは回収された転移結晶を拾い上げ、クラディールに投げ渡した。
「おい2319(ブサイク)、これで牢獄まで飛べ。じゃないと次は本気で殺すぞ」
「わ、わわわ分かった!ひいいいいっっ‼︎‼︎」
そのままクラディールは消えた。そのまましばらく沈黙。キリトもアスナも驚き半分、恐れ半分の目でセレナを見ている。
「せ、セレナ……」
「悪いな……久々にキレたもんだから……先に帰るわ」
セレナはそれだけ言うと、帰った。キリトの部屋に。