一月。俺は竹刀を振る直葉を見ていた。
「剣道ってそんな感じなんだ……」
自分で作ったパフェを食べながら。
「あ、エレナ見てたの?声掛けてくれればいいのに」
「もっちゃもっちゃ……お前に声掛ける……もっちゃもっちゃ……くらいならパフェ食ってた方が……もっちゃマシだ……やむちゃ」
「食べながら話すな!つーか最後ヤムチャって言った⁉︎」
「そんなことより竹刀貸してくれよ。ちょっと、持ってみたい」
「いいけど……」
で、俺はクレープを無理矢理口に頬張ると竹刀を受け取った。
「軽っ」
「え?これ真竹だからけっこう重いよ?カーボンの奴と比べると50グラムくらい違うけど……」
と、説明する直葉の前で俺は片手で振り回す。SAO時代によくやってた技だ。
「うーん……よっと、」
そのまま思いっきり振り下ろす。すると、小さな斬撃が出て、庭の木の枝を三本折った。
「…………やっぱSAOとは違うな……」
「あの……本当になんなのかなキミは?」
直葉のコメントを無視して俺はいった。
「ねぇ、俺試合やってみたいんだけど……」
「へ……?それって、ちゃんと防具着けて……?」
「あーいや直葉とはやらないよ。怪我させたらアレだし。無理矢理和人でも連れて来て……」
と、言いかけた時だ。
「へぇ?全中ベストエイトのあたしに向かって言ってるのかな?」
「SAOベストワンの俺とやり合う気か?」
「………なぜだろう。ゲーム世界の話と分かってても勝てる気がしない……」
そんなわけで、寝てる和人を俺は竹刀で叩き起こして試合である。
剣道場。
「じゃ、あたしが審判するけど……」
直葉は戸惑った。無理はない。和人は左足を前に半身に構え、腰を落とし、右手に握った竹刀の先はほとんど床板に接するほどに下げられている。
対するエレナは棒立ちで、ただ竹刀を握っていた。
「あの…二人とも剣道って何か知ってるかな?ググってきたら?」
直葉は言うが二人は無視。
「テメェ……俺の安眠を邪魔した罪は重ぇぞ……」
「うるせーよ。泣くまでボコボコにしてやる」
……なんか穏やかじゃない雰囲気に直葉は若干引いていた。だが、二人ともやけに様になっている。
「は、はじめっ!」
そのまま二人の竹刀が交わる。しばらくつばぜり合いになるが、エレナは和人の胴を蹴り飛ばし、竹刀で追い討ちを掛ける。
「ちょっとエレナ!それは反そ……」
だが、和人は後ろに転がって竹刀を回避すると、エレナに向かって突きを放った。それを足の裏でガードするエレナ。
「いっだっ!」
「そりゃそうだろ。馬鹿だろお前」
足と竹刀で押し合う。と、思ったらエレナは踏んでる足で竹刀を踏み台にし、ジャンプ。斬りかかるが、和人は前転して回避。
後ろから和人はエレナに斬りかかるが、エレナは竹刀でガードする。
「やるなお前……」
「SAOで変な戦闘癖が着いたからな」
「俺は鈍ったよ……」
そのまましばらく打ち合いになったが、最後はエレナのケツバットが全てを決めた。
試合が終わり、汗を拭うエレナとケツを摩る和人に直葉が言った。
「あの、二人とも男塾とか通ってた?」