次の日の朝。目が覚めると目の前で直葉が着替えていた。
「あ、起きた。おはよー」
「…………zzz」
「いやいや、目開いてたの見たから」
「…………おはよ」
「うん」
「朝練?」
「うん。これからね」
「精々頑張って」
「どういう意味⁉︎」
俺はハナクソをほじりながら、もう一度布団の中に潜る。
「だからそれやめなさいよ。一応女の子でしょ?」
言われつつも、俺はハナクソを直葉に飛ばした。
「ちょっ!汚いなー!」
「俺からの手向けだ……」
「竹刀でぶっ叩くよ?」
おっかない女だ。そのまま出掛けた。
「ふわあぁぁぁ………」
大きく欠伸をして、寝間着姿のまま部屋を出る。すると、和人とばったり出会した。
「って……エレナ!なんて格好してんだズボン履け!」
「あー…悪い。いつもこの格好で寝てるもんだから……」
「お前なぁ……女の子なんだから恥じらいくらい持っとけよ……」
で、俺は着替えて再び部屋を出た。
「相変わらず男前な格好だな……」
俺の服装はジーパンにTシャツにパーカーというラフな格好。しかも着痩せするタイプなので、側から見たら男にしか見えないだろう。
「あ、それよりエレナ。今日暇か?」
「暇じゃないと思うのか?」
「だよな。なら、エギルの店に行かないか?」
「? なんでまた……」
「少し、大事なことだ」
そんなわけで、ダイシーカフェ。中に入るとエギルがいた。
「おっ、セレナじゃないか。久し振り」
「お前、現実でも店やってたのか」
「あぁ。まぁ大分休業してたけどな」
「さて、じゃあ椅子の強度でも試……」
「リズの武具店の二の舞にしたらお前の命は保証出来ない」
言いながらエギルは指を鳴らす。俺は大人しく引き下がった。別にビビってないけど。
「で、どういうことなんだエギル」
いつの間にか和人の目は真剣そのものだった。
「これを見てくれ」
エギルのパソコンに写真が映る。そこにはアスナっぽい奴が檻の中に入っていた。
「アスナ、だよな……」
「あぁ、おそらくな。それに、SAO生還者は何人か戻ってきてない奴がいる」
「間違いなく、アスナもその1人だな」
俺が言った。
「これ、なんてゲームなんだ?」
「ALOだ。アルヴヘイムオンライン」
あぁ、直葉がやってたやつか。一緒にとか誘われたっけ。
「これが偉いハードだ」
「どういう意味だよ」
「どスキル制。プレイヤースキル重視。PK推奨。最後はセレナ的には得かな」
「なるほど……」
「いわゆるレベルは存在しないらしいな。各種スキルが反復使用で上昇するだけで、育ってもヒットポイントは大して上がらないそうだ。戦闘もプレイヤーの運動能力依存で、剣技なし、魔法ありのSAOってとこだな。それと、飛べるんだ」
「飛べる……?」
「アルヴヘイム、妖精の国だ。妖精だから羽がある。フライト・エンジンとやらを搭載してて、慣れるとコントローラなしで自由に飛び回れる」
すげぇな……。俺もキリトも素直に感心した。
「で、さっきの写真のアスナっぽいのだが、このゲームの中にいる」
「なに……?」
「プレイヤーが写真を撮ったんだ。その中に写り込んでいたらしい」
「…………」
どうする。確認だけでもしに行くか……。俺が迷ってると、和人が言った。
「エギル、これもらっていいか?」
「………行くのか?」
「あぁ。セレナと一緒にな」
「え?俺も?」
「それなら安心だ。SAO最強のプレイヤーが2人だからな」
「おい待て。俺は行くなんて……」
「セレナ。まだSAOから帰還してないプレイヤーは何人もいるんだ。こいつらを助け出すまで俺たちの事件は終わらない」
「行くのはいいが、電気代にALO代が掛かるだろ!お母様にこれ以上迷惑は……」
「いいから。そういうのいいから。やるぞ」
「ダメだ!」
「よし分かった!ALOは俺が買ってやる!電気はうちはエネファームだから問題ない!」
「やろう!」
そんなわけで、俺たちは新たな世界に踏み出した。