「エレナ、朝だぞ起きろ」
「んっ………」
和人が起こすもエレナは寝返りをうって枕を抱き締める。
「かず……とぉ………」
「えっ………」
抱き枕しながら和人の名前を呟いた。ドキッとする和人。だが、その瞬間、エレナは枕相手にバックドロップ。
「…………次触ったら殺すから」
い、一体なんの夢を見てるんだ……と、思わずにいられない和人だった。
エレナと和人が付き合い始めて数ヶ月経っていた。エレナが女だと分かった時は明日奈も里香も珪子も大層驚いた。三人揃って噴出すほど。それと付き合ってることがバレるとさらに吹き出した。そんな事を思い出しながら和人はシャコシャコと歯磨き。
で、水を口の中に含むとクチュクチュしてぺっと吐き出す。うがいでいいだろ。鞄を持つと、言った。
「エレナ、もう学校いくぞー」
「俺、ウンコしたいから先行ってろよ」
「待ってるよ。ていうか女の子がウンコとか言うなよ」
「他人に言動をダメ出しされるいわれはねーよ」
言いながらエレナはトイレに入る。数分後、バシャアァァッと音がして、濡れた手をぷらぷらさせながらエレナはトイレから出る。そして、和人の服でゴシゴシと拭うと、
「行こうぜ」
と言った。
「おい待て、何当たり前のように人をタオル代わりにしてんだ」
「あぁ?そんなもんそこに立ってたお前の自業自得だろうが。いいから行くぞ」
「まったく当然のごとく被害者に罪を擦りつけたよ」
で、二人で登校する。今日は雨が降るというので傘を持って。
「ひうっ⁉︎」
和人が声を上げた。エレナが傘の取っ手の部分で股間を掬ったからだ。
「てめっ!エレナ!」
「釣れた釣れた。小物だけど」
「や、喧しい!ほらもう着いたぞ!」
エレナは一つ下なので昇降口でお別れ。和人は自分の教室に着くとため息をついた。
(変わってねぇー‼︎付き合う前と付き合った後!まったく俺たちの関係変わってねーよ‼︎)
向こうがいじり、こっちが突っ込む。別に弄るのをやめて欲しくて告白したわけじゃないが、やっぱり少しくらい治ると思ったが、まったく治らなかった。
「まぁ、そういう所も、なんだけどさ………」
帰り道。俺と和人は二人で帰宅。
「なぁ、どっかよってかないか?」
「いいよ別に。どこ?ソープ?」
「………お前行きたいの?」
「どっちでもいい。ただ行くって行ったらドン引きする」
「引くのはこっちだ!いいからほら、どっかカフェとかゲーセンとか……」
「うーん……あ、じゃあまた服屋行きたい、かも……」
「なんで?」
「少しだけ、女の子ッポイ服……欲しいから………」
「………………」
「おい、その真顔なんだ腹立つ殺すぞ」
「いいよ。じゃあ行くか」
「殺していいの?逝く?」
「ちげぇよ!」
そんなわけで服屋。
「で、どんな服が着たいの?」
「知らね」
「あれ?君が来るって言ったんだよね?」
「し、仕方ないだろ。今まで、その……どんなのがいいとか、分からなかったんだから……」
「ったく……」
「あれ?エレナちゃんと、和人くん?」
振り返ると明日奈が立っていた。
「どうしたのこんな所で」
「いやエレナが女の子らしい服を……」
と、言いかけた所で俺は和人をジャーマンスプレックス。
「いっだ!いだだだ!お前何してくれてんの⁉︎」
「余計なこと言うな。殺すぞ」
「ふぅーん……」
いたずらっぽい目で見てくる明日奈。くっ……これだから女は……。
「あ、そういえば今度、ユイちゃんがクジラ見たいって言うからあるクエストに参加するの覚えてる?」
明日奈が思い出したように言う。
「あぁ。それで?」
「今、決まってるメンバーは私と和人くんと直葉ちゃんだけなんだけど……今度、直葉ちゃんが泳げないっていうからみんなで特訓することになったの」
「へぇ、で?」
「だから、水着選んじゃおっか?」
「ブフッ!」
思わず吹き出してしまった。
「な、何言ってんのお前⁉︎そんな…いきなり……!」
「だから和人くんは帰って?」
「ひでぇ!」
和人が悲痛な声を上げる。
「ほら、お楽しみの方がいいでしょ?」
「わ、分かったよ……」
ガッカリと肩を落として和人は帰っていった。
「よし、じゃあとびっきり可愛いの選んだげるね!」
「あんま露出高いのは…ちょっと……」
「そんなとんでもない爆弾二つ抱えて何言ってんのよ!」
「おまっ!殺すぞ揉むなー!」