セレナの一回戦目、それをシノンはモニターで観ていた。
「あれだけ大口叩いたんだから、弱かったら許さないわよ」
と、呟きながらモニターを見るシノン。そこに、声が掛かった。
「あっ……シノン……」
振り返ると、キリトが立っている。
「チッ」
「あれ?今舌打ちした?………あっ、いや今はそれどころじゃないなー……」
「なによ。ウザいわねヘンタイ」
「いやー……なんでセレナが不機嫌だったか分かったんだよ……やっちゃったなーって思ってさー……どーしよっ、なんて謝ればいいかな……」
「あんたら本当に性別入れ替えたほうがいいんじゃない?」
「何言ってんだよこんな時に……」
「それよりこれからその彼女さんの試合始まるのよ」
「それはいいよ…どーせ勝つから」
「はぁ?そんなにBobは甘くな……」
と、言いかけた所で始まった。モニターではセレナはいきなり金属バットを取り出す。
「えっ……あの、本当に何やってるのあいつ」
「大丈夫だから」
「や、まず頭大丈夫なの?なんか呑気に素振りしてんだけど……」
「平気だから」
ヴン、ヴンと素振りしてると、予測線がセレナの頭を捉えた。そのすぐ後に弾丸が飛んでくる。その瞬間、セレナは金属バットで弾丸を打った。
「は…………?」
間抜けな声を出すシノン。だが、今度はセレナの攻撃だ。弾丸の飛んできた方を眼球だけで確認すると、ティーを地面に刺し、ゴルフボールを置いた。あ、いやオベイロンの玉じゃなくて。で、ドライバーを取り出す。
『…………300yardくらいか……』
そう呟くと、思いっきりフルショット。数秒後、試合が終わった。
「………ねぇ、あいつ何してんの?スポーツやってたら終わったんだけど」
「うわっ終わっちゃったよ……なんて謝ろうかなこれ……許してもらえんのかなこれ……」
「人の話聞いてる⁉︎」
そのまま戻ってくるセレナ。それをシノンは見つけると、キリトの背中をドンっと押した。
「早く謝ってきな」
「シノン………」
「勘違いしないでよね。そんな腑抜けた状態のあんたと戦っても全然勝った気しないだけよ」
「…………すまん」
キリトはセレナの前に行く。
「セレナ!」
声を掛けると、セレナはキリトの方を見る。だが、その間に割って入る影、
「⁉︎」
「お前は、本物、k……?」
「邪魔」
その影はセレナにそう聞こうとしたら、バットで殴られた。そのままぶっ倒れるのを踏み台にしてセレナはキリトの元へ。
「どしたキリト?」
「お前……ほんと怖いものなしな」
「はぁ?」
「いやなんでもない。まずは一回戦突破おめでとう」
「当たり前のことだろうが」
「それで……その、ごめん。シノンに声を掛けたのはナンパとか……そんなつもりじゃなかったんだ……」
「………………」
「でも、ごめんな……」
すると、セレナは顔を赤らめ、そっぽを向きながら言った。
「………別に、俺が一番、好きでいてくれるなら、いい……ケド……」
「セレナ……」
もじもじする2人。だが、セレナはキリトの頭をクラブで正面から割った。結果、鬼ごっこが始まった。