控え室。キリトが試合中で暇なので俺は寝転がって音楽を聴いていた。することねーもん。
「ふわああぁぁぁ……」
大きく欠伸し、俺はとりあえず控室を出る。余りにもすることないので総督府内を探検しようと思ったからだ。
「あー……肩と腰がダルい……ふわあぁぁぁぁ………」
しかし、死銃ねぇ……ハッキリ言って95%偶然だと思うんだよなぁ。だってゲーム世界でリアルの人間抹殺ってお前……まぁこの前のSAOの事があるから一概にないとは言えないけど、あれはナーヴギアだから出来たことだし…。
「ま、俺がそんな事考えてても仕方ないか……」
そう呟いてしばらく歩いてると、キリトが座ってるのが見えた。なんだ、もう終わったのか。俺はここから硬式ボールを思いっきり投げ付けた。
「だっ!」
「おーい、だーいじょーぶ?キリトー」
「おまっ…!何すんだよ!」
「いやだから、そこにキリトがいたから……」
「登山家⁉︎………ってツッコミ、二回目なんだけど!」
「おっ、キリトがいる。あれ?体が勝手に……」
「バットを振るなー!危ないから!」
で、仕切り直してお話。
「もう終わったのか?」
「あ、あぁ……なぁセレナ。さっきお前の前にヌッと現れたマントのプレイヤーいただろ?」
「え?いた?」
「さっきお前がバットで殴り飛ばした奴」
「一々殴った奴のことなんか覚えてられっかよ」
「おい、常習犯かお前」
「3年前から一緒にいて何言ってんの?」
「…………それもそうだったな。って、そんなことじゃなくて、お前ラフコフ覚えてるか?」
「あーあのイカレポンチ共だろ?」
「討伐には参加しなかったんだっけお前」
「その時、クレープ屋に並んでたら遅刻しちゃってさ。もうどうでもよくなっちゃったからサボった。で、そのラフコフがどうした」
「そのエンブレムを着けた奴が、お前のさっきのマントのプレイヤーだったんだ」
「へぇー…………。えっ?」
「お前は本物かと聞かれた……多分、ラフコフのうちの誰かなんだが、思い出せない」
なるほどね。まだあいつらいたんだ。やっぱ殺しとけばよかった。
「ま、平気だろ。キリトは俺が守……」
言いかけた所で抱き着かれた。その顔には抑えられない恐怖が漏れ出している。
「おい、キリト……」
「ごめん…もう少し、このままで……」
震えている。キリトが。俺はフッと笑い、抱き返した。そして、
「よっと」
バックドロップした。頭が床に突き刺さるキリト。
「…………ッ」
周りの人が唖然としてこっちを見る。
「おまっ……何しやがる!」
「うるせーよ。甘ったれんな。お前は俺が絶対守るって言ってんだろ」
「ッ!」
「だからビビんな」
それだけ言うと俺はキリトの頭を撫でながらパンナコッタを買いに行った。
「あ、それ私も頂戴」
シノンもいつの間にか隣にいる。
「やだよテメーで買え」
「ケチ。……そういえばあんたのあの相方はどうしたの?」
「ビビってんの。まぁ、理由は分かるけどさ……」
「情けないわね。一回戦でビビってたら……」
「あー……そうじゃないんだ。まぁ事情は色々あるんだけど……」
「? 何よ?」
「なんでもねーよ」
なんて話してると、1人の男が寄って来た。
「やぁ、シノン」
「こんにちは、シュピーゲル。あれ、でも……あなたは出場しないんじゃなかったの?」
「いやあ、迷惑かもと思ったんだ、シノンの応援に来たんだ。ここなら試合も大画面で中継されるしさ」
………なんか友達っぽいな。
「それでシノン。そこの方は?」
「あぁ、セレナよ」
「あ……ど、どうも、はじめまして。あの…失礼ですが、シノンとは…どういう関係で?」
「どういうって……なぁ、シノン。俺とお前、どういう関係?」
「知らないわよ」
「なんつーのかな、チュートリアルの教官的な?」
「殺すわよ。ただ色々と武器の事とか教えてあげただけよ。あ、言っとくけどそいつ女だから」
「えっ⁉︎じ、女性の方ですか…?」
「おう。女だ。リアルでも。彼氏もいる」
「そ、そうですか…あ、僕はシュピーゲルです」
「え?ゲルマン忍術の方?」
「は?」
「あっ、いやなんでもない」
知らないのか。まぁなんでもいいや。
「じゃあシノン、セレナさん。頑張ってね」
「え?あーうん…」
「ど、ども……」
そのままシュバルツは去って行った。
「え、何しに来たのあいつ?」
「あなたがいるから気を使ってくれたんじゃないかしら?」
「ふぅん……」
そのまま試合は進み、とうとう俺VSキリトとなった。