もし、俺がリンクスタートしたら   作:単品っすね

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コーヒー

 

 

 

 

 

日曜日。

 

「ほらエレナ。起きなよー」

 

「ん……やー……」

 

直葉が体を揺さぶって来るが、エレナは布団から出ない。

 

「ほら朝だよー。今日は何か予定があるんじゃ……きゃあっ!」

 

と、言いかけた直葉の腕をエレナは引っ張って布団の中に引きずり込んだ。

 

「ち、ちょっと…何よ……」

 

エレナは寝ぼけてるのか、そのまま直葉にギューっと抱き着く。

 

「ち、ちょっとエレナ⁉︎」

 

顔を真っ赤にして抵抗するが、エレナの力は強く離れない。直葉の胸に顔をうずめる。

 

「ちょっと……何して……」

 

本気で引き剥がそうとする直葉。だが、

 

「ママ………」

 

という呟きにハッとする。

 

(そっか……捨てられちゃったんだっけ……)

 

そう思い直すと、直葉は微笑みながらエレナの頭を撫でる。だが、

 

「よくも……捨てやがったな……」

 

「よしよし……………えっ?」

 

「殺してやる………絞め殺す………」

 

「ち、ちょっと待って待って!あたしママじゃな……」

 

「死ぃねぇぇぇぇっッッ‼︎‼︎」

 

「あががががっ‼︎ギャアァァァッッ‼︎」

 

朝一番で悲鳴が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食の席。

 

「うぅ……腰がぁ……」

 

「大丈夫かスグ?」

 

ソファーで和人にマッサージされてる直葉を見ながら俺はコーヒーを啜る。

 

「エレナもうなされてたのか?」

 

「お前にはカンケーねーよ」

 

あのクソババァの夢を見てただけだ。和人達と暮らすようになってからよく見るようになった。余りいい夢じゃなかいし、思い出したくもない。

 

「関係ないことないだろ。一応、ここにいる以上は家族みたいなもんなんだから」

 

「いいから。ほっとけよ」

 

「お前がそう言うならそうするけど……でも辛かったら言えよ?」

 

「ほっとけっつってんだろ!」

 

気が付けばつい怒鳴ってしまった。シーンと静まり返るリビング。

 

「…………悪い」

 

「お、おう……」

 

「先に行くわ」

 

それだけ言うと、俺は家を出た。

 

「ごめん。財布忘れた」

 

一度戻って来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和人と直葉は一緒に飯を食う。エレナが出て行ってから二人は会話をしていない。

 

「ごちそうさま」

 

和人はそれだけ言うと、食器を下げる。

 

「エレナ…大丈夫かな……」

 

直葉が声を漏らした。

 

「……………」

 

「どうだろうな……忘れてたけど……あいつ、今まで一人ぼっちだったんだもんね……」

 

「そう、だな………」

 

学校から帰ってきたらいつもいるはずの家族がいなかった。この恐怖は和人や直葉には分からない。

 

「ま、俺に任せろ。彼女の事くらい、彼氏がどうにかしてやる」

 

「…………うん」

 

そのまま和人は家を出ようとする。

 

「お兄ちゃん」

 

声が掛かり、振り返った。

 

「エレナのこと、よろしくね」

 

「……………あぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和人は病院に到着した。そして、病室に入る。

 

「エレナ、話があ……」

 

「安岐さん!この今川焼きで美味いっすね!」

 

「でしょ?私の家の近くに売ってたんだー。でもいいの?桐ヶ谷くんの分まで食べちゃって」

 

「大丈夫ですよ。バレなきゃ……あっ」

 

平気な顔して今川焼き食ってた。

 

「エレナ………」

 

「おう。別に和人の分の今川焼きなんて食べてないけど?」

 

「てめっ……」

 

さすがに文句言ってやろうと和人はエレナに詰め寄ろうとしたが、目が真っ赤に腫れてるのに気付いた。すると、安岐さんが和人に耳打ちする。

 

「元気なかったみたいだからとりあえず励ましてあげたけど、彼氏だったら君がちゃんと面倒見てあげなきゃダメだぞー?」

 

「すいません……」

 

「すごく泣いてて大変だったんだからね」

 

ちょっと泣き顔見たかったとは言えなかった。そりゃそうか。

 

「じゃ、行くぞエレナ」

 

「おう」

 

二人は再び寝転がる。

 

「エレナ」

 

「なに」

 

「悪かったな……」

 

「? 何が?」

 

「なんでもない。リンクスタート!」

 

「………? リンクスタート」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総督府。

 

「さて、どうしようか」

 

キリトがおれに声を掛ける。

 

「………なぁキリト。死銃の正体はラフコフの奴ってことでいいんだよな?」

 

「あぁ。間違いない」

 

「Bobは一年に一回しかないんだったな」

 

「あぁ。なんだよさっきから」

 

「やっぱり偏差値70キープは伊達じゃないな。絞れるぞ、奴の正体」

 

「本当か?」

 

「あぁ。なんせ偏差値70だからな」

 

「自慢はいいから。どうやって分かったんだよ」

 

「………絶対教えねー」

 

「めんどくせ!マジでめんどくせ!」

 

「どーせお前は偏差値18くらいだろうが」

 

「どういう意味⁉︎それある意味ギネス記録だろ!」

 

「俺からしたらお前の偏差値なんて無も同然なんだよバカ」

 

「お前本当にむかつくな!」

 

「頭のいい奴の特権だ」

 

「な、何故か否定出来ない……!」

 

なんてやってると、足音が近付いて来た。

 

「相変わらずの馬鹿騒ぎね」

 

「あ、シノのん」

 

「なにその気持ち悪い呼び方⁉︎」

 

俺が言うとシノンが反応する。っと、ちょうどよかった。

 

「なぁシノのん。今回の決勝の出場者にお前の知らない名前、いくつある?」

 

「次のその呼び方したらビンタするから。……えーっとね。あんたら抜いて四人、かな」

 

「マジで?どれ?」

 

「えーっと、銃士Xとこれは……す、ステ…スティーブン?と、ペイルライダーとくたばれ総隊長」

 

「え?最後の何?」

 

「いやよく分かんないけど……で、これがなんなのよ」

 

「なんでもない。気にするな」

 

「なによ。気になるじゃない」

 

「見たことのない木ですから?」

 

「おちょくってるわけ?」

 

「まぁ5割ほど」

 

「半分も⁉︎」

 

で、キリトが仕切り直したように言った。

 

「じゃ、俺たちは用事あるからこれで……」

 

「まぁ立ち話もアレだから。そこら辺の店行こう」

 

「あぁ。じゃあなシノ……」

 

と、俺とキリトが去ろうとした時だ。

 

「待ちなさい」

 

ビクッと俺とキリトの肩が震え上がる。

 

「そこまで露骨に隠されると余計に気になるわ。私も付いていく」

 

なんでこうなるの……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、サイゼ。なぜ総督府にサイゼがあるのかとか気にするな。

 

「さて、じゃあ話を聞かせてもらうわよ」

 

「あ、何飲む?俺取ってくるよ」

 

俺が聞く。

 

「俺は……コーラで」

 

「私はコーヒー。で、話を聞かせてもらうけど……」

 

「コーヒー、ミルクいる?」

 

「入れるわ。で、話を聞かせて……」

 

「コーヒーガムシロ入れる?」

 

「入れる。てか一変に聞きなさいよそれくらい。で、話を聞かせ……」

 

「ミルク、ガムシロ何個ずつ?」

 

「2、3で。で、話を聞かせ……」

 

「ミルク=2ですかガムシロ=2ですか?」

 

「ミルク=2よ。で、話を……」

 

「ミルク兄、何飲む?」

 

その瞬間、机を両手でバンッ!と叩いて立ち上がるシノン。

 

「誰がミルク兄よッッ‼︎どんなアダ名の付けられ方⁉︎ていうかウザい‼︎さっさと飲み物取って来なさいよ!」

 

「股間からミルク溢れてる兄さんだったんじゃねぇの?」

 

「な、なに言ってんのよあんた!本当に女⁉︎」

 

「にしてもガムシロ三つは多いよなセレナ?」

 

「ケラケラケラwww」

 

「あー腹立つ!あんたらホンットに腹立つ!もういいわよ!試合であんたらの頭吹き飛ばしてやるんだから‼︎」

 

そのままのっしのっしと出て行くシノン。

 

「お前、スゲェな……よく追い出せたな」

 

「これが人心掌握術だ」

 

「いや違うと思うけど。つーかシノン、一杯も飲まずに出てったよ」

 

「それはあいつが悪い。さて、じゃあ死銃対策でも始めるか」

 

ようやく、本戦の始まりだ。

 

 

 

 

 

 

 

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