もし、俺がリンクスタートしたら   作:単品っすね

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過去

 

 

 

 

 

砂漠のどこぞの穴。そこでキリト、セレナ、シノンは身を隠す。

 

「よくここまで走れたな俺たち」

 

「人間その気になればなんだって出来るさ……」

 

「お前は黙ってろ……つーかお前よくもやってくれたなコラ」

 

「なに、やんの?さっきの決勝の二の舞になるかコラ」

 

「は?」

 

「あ?」

 

「やめなさいバカ二人」

 

シノンに怒れたので黙る2人。

 

「で、どうすんのこの後。いつまでも隠れてるわけにはいかんでしょ」

 

「そんな事よりセレナ。あなたは何処にいたの?」

 

「? どういう意味だよ」

 

「急にバズーカぶっ放したでしょ。どうして私のこと分かったの?」

 

「や、保健室で寝てたらキリトに起こされて外に出たら倒れてた」

 

「凄いテキトーな説明ね……でも大体わかったわ」

 

「あ、思い出したキリト」

 

「何が?」

 

「何から大事なこと忘れてたんだけど、死銃の正体だよ」

 

「はぁっ⁉︎」

 

キリトが俺の胸ぐらを掴む。が、その手を取って背負い投げした。

 

「お前は一々反撃しないと気がすまねぇのか!」

 

「うん。で、正体の話だけど、まずはこのゲームに死銃は2人参加してる」

 

「…………何?」

 

「俺がお前にぐっすり寝てる中、HPがかなり減る一撃で殺されてもおかしくないレベルの踵落としで起こされる前に死銃と戦ったのは言っただろ?」

 

「その細かい報告いらねぇから」

 

「その時の奴とさっき俺たちと鬼ごっこした奴は明らかに別人だった。銃の使い方とか見れば分かる。多分、総督府で俺に絡もうとしたのは鬼ごっこの方だろうな」

 

「で、誰なんだ?」

 

「トリックが暴けたわけじゃないから大した情報じゃないけど、俺と殴り合った方はクラディールだった」

 

「は…………?」

 

「いやマジでマジで。向こうからお面取って正体晒してくれたよ。あの下品な笑い声はあいつそのものだったし」

 

「あの野郎……!」

 

「それならくたばれ総隊長にも納得が行くだろ」

 

「ち、ちょっと。あんたら死銃と知り合いなの?」

 

シノンが口を挟む。

 

「あぁ。殺し合ったよ過去に」

 

「おいセレナ!なにあっさり答えて……」

 

「隠すような事じゃないだろ別に。特に俺もお前もクラディールには殺されかけてんだから」

 

「お前は演技だったけどな」

 

「何?殺されって……ゲーム内で?」

 

「おう。ゲームで死んだらリアルでもサヨウナラのソードアートオンラインだよ」

 

「じ、じゃあ……あなた達、SAO生還者なの?」

 

「うん。しかもセレナがラスボスを倒したんだ」

 

「えっ………?」

 

「そのゲームの中で俺もセレナも死銃二人と顔を合わせ、本当に殺し合ったんだ。ゲームの中で、剣を合わせた」

 

「そ、そうなんだ……ごめんなさい、嫌なこと聞いちゃったね」

 

「いや、あれはあれで楽しかったからなぁ……中々出来ない経験だったし」

 

「セレナ、縁起でもない事言うな。まぁ、そういう考えだからお前は強かったのかもな」

 

「今でも強いけどな」

 

「腹立つ!お前なんかムカつく!」

 

なんか重々しいのか軽いのか分からない空気だが、シノンもキリトも真面目な表情をしていた。あ、セレナだけハナクソほじってる。

 

「その中で、俺は二人殺した……俺には無力化する選択肢もあったんだ。それなのに、怒りや憎しみに任せて、殺したんだ……」

 

キリトが言うと、シノンも俯く。

 

「私も……5年前に、殺した、人を……」

 

「え?君も………?」

 

「銀行でお母さんと一緒にいたの。そしたら、銀行強盗が入ってきて……それで、銃を奪って、殺した……」

 

「え、お前何トムクルーズ?イーサンなの?」

 

「セレナ。黙ってろ」

 

「お前さ、最近黙れって言い過ぎじゃね?俺でも傷付くんだよ?」

 

「ねぇ、教えてキリト。どうやって、その記憶を乗り越えたの?私…弱いから……。あの時のことか……トラウマで……お願い、教えて」

 

シノンの目は真剣そのものだった。

 

「記憶喪失になればいいんじゃね?」

 

「乗り越えてなんかないよ」

 

「あれ?無視?」

 

セレナの言うことを遮ってキリトは言った。

 

「俺だって、たまに夢に見るし、眠れなくなる。でもな、それは正しいことなんだ。過去は消せない。だからこそ、それを自分の中に受け止めて、自分の中で戦うしかない……」

 

「そんな……こと、無理だよ……」

 

「無理じゃねーよ」

 

そう言ったのはセレナだった。

 

「俺だって……同じような過去はある」

 

「あなたも……?」

 

「まぁ言わないけど」

 

「ないんじゃない」

 

呆れるシノン。だが、それにキリトが言った。

 

「馬鹿言うな」

 

「えっ?」

 

「セレナの過去は誰よりも重いぞ…」

 

「ど、どういう事……?」

 

「ままま、その話は置いといて。そろそろ休憩も終わりでいいだろ。次のサテライトキャノンで決着付けようぜ」

 

セレナが立ち上がると、キリトも頷いた。

 

「ま、待ってよ。あなたは何と戦ってるって言うの⁉︎」

 

シノンが声を荒げる。すると、セレナは振り返って言った。

 

「孤独」

 

言うと、目を見開くシノン。

 

「ま、今はそこの奴のお陰でまだマシだけど」

 

そのまま二人は武器を取り出し、洞窟の外を見る。

 

「待って!」

 

シノンが言った。

 

「私も行く」

 

「大丈夫なのか?」

 

「今生きてるのは私たちを覗いてくたばれ総隊長、スティーブン、闇風の三人よ。闇風は私が相手をする」

 

その目は、戦う者の目だった。

 

「…………と、なると俺はクラディールだな。今度こそ、泣くまで鼻フックしてやる」

 

「俺は、残りの1人が……」

 

そのまま三人は拳を合わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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