都市廃墟。そこでセレナと合流したシノンはぽかーんとしていた。倒壊したビルを見て。
「ね、ねぇ……何があったの?」
「いや、俺もやり過ぎたとは思うよ。でもほら、一人につき1人相手がいる感じでなんか漫画っぽくてカッコいいじゃん。だから、ちょっとはしゃいじゃったっていうか……」
「あ、あなた……本当に何者?」
「世界一の大剣豪になる男だ」
「ロロノア⁉︎ていうかあんた女でしょ!」
「で、お前はダークウィンドウは倒せたのかよ」
「闇風でしょ……倒せたわよ。ギリギリだったけどね」
「さて、後はキリトだけか……」
セレナがそう言うと、心配そうな顔になるシノン。
「どうかしたのか?」
「な、なんでもないわ……それより……」
と、言いかけたシノンを赤い予測線が貫いた。
「あぶねぇ!」
セレナはガバッと庇う。セレナの肩を掠める銃弾。そのまま容赦なく発砲してきて、セレナはなんとか弾いた。見ると、砂漠の方から死銃が歩いてきていた。
「なんでテメーがここにいんだ」
「そんなの、わかったこと、だろう。黒の、剣士を、俺が、殺したから、だ」
死銃は落ち着いた口調で言った。
「キリトがテメーに負けるわけねぇだろ」
「ふっふっふっ、信じ、られないのは、分かるが、これを見ろ」
言いながら死銃が取り出したのは光剣のグリップだった。
「! あれは…!」
思わず声を出すシノン。
「にしても、あいつは、本当に、黒の剣士、か? 平和ボケ、し過ぎたのか、手応えの、欠片も……」
と、言いかけた所でギィンッ!と鋭い音が響いた。セレナが斬りかかり、死銃のライフルをぶった斬ったのだ。
「おい、てめっ何度も同じこと言わせんじゃねーよ。キリトはテメェみてぇな雑魚に殺られるわけねぇっつってんだよ」
「ふっふっふっ、それは、どうかな?確かに、SAOなら、それも、そうだったが、今は、銃の世界だ」
言いながら取り出したのは拳銃だった。
「トドメは、こいつで、刺させて、もらう。あいつと、同じ様に、な」
「おい、人の話聞けねーのか」
さらに斬りかかるセレナ。死銃が躱し、その後ろに止められていたバイクが爆発炎上した。振り返ると、目の前に剣が迫っている。それを躱すセレナ。死銃も剣を持っていた。
「今度は、この剣で、お前を、抉る」
「…………やってみろコラ」
そのままお互いに斬りかかった。
「ッ‼︎」
「ッ‼︎」
「ッ‼︎」
「ッ‼︎」
「ッッ‼︎‼︎」
「ッッ‼︎‼︎」
「ッッ‼︎‼︎」
まったく声のない殺し合いだが、一瞬の隙もない斬り合いだった。
ALO内で、クリスハイトが新しく加わり、6人で見ている。
「マジかよ……キリトが、殺られた……」
クラインは暗い表情で言う。
「大丈夫だよ。彼と瀬田さんの身体は病院にあるし、問題もないそうだ。どうやら、死銃のトリックは別にあるみたいだ」
クリスハイトはそう言いながらモニターを見る。そのモニターでは、今セレナと死銃が黙々と斬り合っている
「セレナちゃん……」
アスナが心配そうに呟いた。
「ていうか、セレナさ。相当キレてない?」
リズが言った。
「た、確かに……ていうか、モニター越しなのに怖いです……」
シリカもビビって言う。
「確かにすごいね……なんでだろ……お兄ちゃんが殺られたからかな。でも、SAOの世界じゃあるまいし、死んでも帰って来るのにね。やっぱゲームでも恋人が殺られたら怒るものなのかな……」
「どうだろうね……でも、キレ方が尋常じゃな……あっ」
「どうしたのアスナ?」
「もしかして、セレナちゃん。キリトくんが本当に死んじゃったと思ってるんじゃ……」
「…………あっ」
「で、あのボロマントの男に本当に殺したとかなんとか言われて……」
「じ、じゃあ…あのボロマントヤバくね?」
『………………』
そんな空気のALOとは違い、試合は続いた。