もし、俺がリンクスタートしたら   作:単品っすね

80 / 95
番外編8

 

 

 

 

 

ようやく終わり、エレナ達はダイシーカフェでログアウトした。

 

「カンパーイ!」

 

と、クリスマス会である。

 

「なぁ、和人はどうした?」

 

「んー、なんか用事あるみたいだよ。お母さんに呼び出されたとかなんとか」

 

エレナが聞くと里香がそう答えた。

 

「いやーまさかセレナちゃんがサンタの味方するなんて思わなかったよー」

 

「本当ですよね。あたし、本気で頭膿んだのかと思いましたもん」

 

「私なんてもっとびっくりしたわよ。隣にいていきなり斬りかかって来るんだから」

 

と、明日奈、直葉、詩乃は言いたい放題言ってる。

 

「うるせーな……まさかゲームでサンタ殺すとリアルでご褒美くれるなんて知らなかったんだから」

 

言うと、三人はなぜか困ったように顔を背ける。

 

「………なんだよ」

 

「な、なんでもないよ!それよりほら、エギルさんが作ってくれた料理食べよ?」

 

「……まさか、嘘ついてるとかじゃないよな。嘘だったら肉体的にも精神的にも性的にもいじめんぞコラ」

 

「う、嘘じゃないと思うよ?私は和人の言うことはよくわかんないから……」

 

「し、シノのん……」

 

何これ……。これ、本当は………と、エレナが思ったその時だった。

カフェの入り口に赤い服を着た奴が入ってきた。白い髭、少し膨らんだお腹、なぜかものっそい汗をかいてる。これは……、

 

「め、メリークリスマース!」

 

明らかにキリタクロースだった。それを見てエレナは、

 

「サンタさんっ!」

 

その瞬間、周りから「ふぅーー………」と、安心したような大きなため息が聞こえた。

 

「? なんだよ」

 

「な、なんでもないですよ!」

 

珪子が首をヴンヴン振りながら答えた。

 

「さ、良い子のみんなにプレゼントをあげよう!」

 

「はぁ?ガキ扱いすんじゃねぇよ。もう大人料金払ってんだよ」

 

そうは言うものの、エレナは完全に少年の目で喜んでいる。

 

「じゃ、まずは最年少っぽい君から」

 

「えっ?」

 

和人は珪子の前に立った。ちなみにこのプレゼント、全部和人の自腹である。

 

「うわー!手袋だー!」

 

この辺はアドリヴである。

 

「では、次に……」

 

と、和人は直葉の前に立つ。渡されたのは竹刀だった。

 

「スゲーな!直葉が剣道やってることも知ってるなんて!」

 

目を輝かせてセレナは言った。

 

「ま、まぁサンタだからね?次は……」

 

次は当然、自分の番だろうとエレナはドキドキしていた。が、和人が立ったのは里香の前だ。

 

「えぇっ⁉︎」

 

ガタッと立ち上がるエレナ。だが、和人は平気な顔で里香にプレゼントを渡す。

 

「ち、ちょっと和人!どういうつもりよ(小声)」

 

「最後の方がいいだろ。一応、トリにする予定だ(小声)」

 

「ならいいけど……(小声)」

 

が、明らかに和人は楽しんでいる節がある。

 

「じゃあ次は……」

 

その瞬間、身を乗り出すエレナと苦笑いの明日奈。

 

「こっちの子」

 

「んなっ……⁉︎」

 

カビーンとでも音がしそうなほどガッカリするエレナ。

 

「はい」

 

「ありがとうございます」

 

ちゃんと敬語を使う辺り、流石明日奈だ。そして、最後に詩乃の所に行った。で、エレナを見ると、完全に拗ねている。

 

「では、最後に君だ」

 

「てめぇよ、歳下順に配ってたんじゃねぇのかよ。なんて俺が一番最後なんだこら」

 

「一番大人っぽく見えたから、かな?」

 

「な、なら許してやるよ……」

 

(チョロい………)

 

いつになくちょろかった。そのまま帰ろうとするキリタクロース。

 

「あ、おいサンタ」

 

その背中に声が掛かった。

 

「? 何かな?」

 

「和人の分も置いてけ」

 

「えっ」

 

もう袋の中には何もなかった。

 

「あるんだろ?あいつは元々、ここに来る予定だったんだから」

 

「………………」

 

ねぇよ。とは言えなかった。あとピンチなのにヤケに嬉しかった。

 

「あー…えっと……」

 

和人は周りに助けを求めるが、誰一人目を合わせてくれない。

 

「か、彼の分は……あれだ。後で渡す予定だから……」

 

「テメェ言ったな?嘘だったら来年来た時に八つ裂きにするかんな」

 

(来年は来るのやめよう)

 

そのまま和人は出て行った。

 

「ま、まぁ何はともあれよかったねエレナちゃん。プレゼントもらえて」

 

明日奈に言われて、思わず微笑むエレナ。だが、すぐに表情が曇った。

 

「でも…和人がいないと……」

 

「あー………」

 

和人はここに現れるわけにはいかない。一度、サンタとなった以上、その後に出てきてしまったらバレる可能性が高いからだ。明日奈がなんて返事しようか迷った時だ。

 

「ま、あいつもなんだかんだ忙しいからね。仕方ないわよエレナ」

 

里香に言われ、ションボリと頷いたその時だ。

 

「お待たせみんな」

 

和人が入ってきた。しかも私服である。

 

「いやー母さんの用事が案外早く終わってさ。今帰ってきたんだ」

 

「和人!」

 

「お待たせエレナ」

 

パアッと嬉しそうな顔をするエレナ。だが、すぐに返した。

 

「てめっおせーよ。500回殺すぞ」

 

「悪かったって」

 

そんな二人を他所に珪子が呟いた。

 

「ど、どういうこと……?」

 

それにはエギルが答えた。

 

「なぁに、さっき俺がメールしたんだ。で、裏口から入らせて着替えさせてまた正面から入ってきた」

 

「なるほど……」

 

で、エレナは和人に言った。

 

「あ、サンタからプレゼントもらえたか?」

 

その問いに女子達は固まる。下手したら来年のサンタは八つ裂きにされるからだ。だが、和人は平然と懐から箱を取り出した。

 

「もらえたよ。ほら」

 

「よかったー。来年、八つ裂きにしなくて済む……」

 

「? なんの話だよ」

 

「なんでもない」

 

そのプレゼントもエギルが用意したものだ。

 

「和人」

 

「なんだ?」

 

エレナは笑顔で言った。

 

「メリークリスマス」

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。