「………………」
「ほらシリカちゃん。あと1ページくらい頑張ろう?」
「いや…分かってるんですけど……」
「冬休みもあと3日しかないんだよ。宿題頑張らないと」
「そうは言われてもですね……」
アスナに言われて、シリカはチラッと部屋の奥を見た。そこでは、
「おいセレナ。お前みかんはお互い二つずつって言ったよな?なんで三つも食ってんだ?」
「いや食ってねぇから。てかなんでいきなり俺のせい?あの辺の女子達かもしんねーだろおい」
「お前以外誰が人のもの食うんだよ」
「俺じゃねぇって。実はさっき、どっかのなんかよくわからん奴が目にも止まらぬ速さでみかんを奪い去っていったんだよ」
「お前の目の前にみかんの皮三枚転がってんだろうが」
「これはあれだよ。玉ねぎの皮だよ」
「こんな分厚くてオレンジな玉ねぎの皮があるかああああッッッ‼︎‼︎‼︎」
そのままバトり始めるキリトとセレナがいた。が、その2人に当然、拳が降り注ぐ。
「あなた達ねぇ!勉強してる人がいるのに暴れるバカがいますか⁉︎」
「「ここにいるけど?」」
で、また拳が下される。そんな様子を見ながらリーファ呟いた。
「………なんかお兄ちゃん、セレナに似てきたよね」
「あー…分かるわ少し」
「ていうかアスナさんママみたい……」
リズ、シリカも続く。ピナでさえキリトとセレナを半眼で睨んでいた。そんな三人と一匹を捨て置いて向こうの説教は進む。
「大体ね、キリトくんもみかん一つくらいでそんなに怒らないの!彼氏だったら彼女のそのくらいの我儘聞いてあげなさい!」
「あれ?俺が悪いみたいになって……あ、いやごめんなさい。殴らないで殴らないで」
「それとセレナちゃんも!みかんくらいで一々チョッカイかけないの!」
「YO!SAY!夏が、胸を刺激す……あ、いやごめんなさい。リニらないでリニらないで」
シリカの耳がピクッと動いた。
「『リニる』って、なんですか?」
「多分、『リニアーする』の略じゃないかなぁ……」
リニアーとは初歩的なソードスキルの一つだ。出すのが簡単な上、自分の剣速が加わるので、アスナはよく制裁の時(ていうかセレナの制裁の時)にはよく使う。
「そもそも、チョッカイなんて小さい子がやる事だからね⁉︎セレナちゃんがキリトくんのこと好きなのも分かるけどもっと大人になりなさい!いい⁉︎」
「そ、そんな……す、好きじゃねぇし!大好きだし!」
言いながらセレナはキリトの腕に飛びつく。
「俺だってセレナの事は大好きだぜ」
「「でへへへへへぇ〜〜」」
その瞬間、ブチィッ‼︎と何かが振り切れる音がアスナから聞こえた。
男と精神的に男が気絶する中、アスナは勉強の輪に戻った。
「まったく……あのバカ二人は……」
「マ……アスナさん。お疲れ様です」
「今、ママって言いかけた?私、そんな歳じゃないよ?」
シリカに言われてため息をつくアスナ。
「でも確かに家族だったら立ち位置的にママですよね。一番年長者だし」
「そ、そんなやめてよリーファちゃん」
「私にとってはママですよ?」
「ユイちゃんまで……」
「で、パパはやっぱり……」
「「「いないわね」」」
リズ、リーファ、アスナがキッパリと言い切り、項垂れるユイ。
「とりあえずキリトとセレナは双子ね。なんつーのかな……メチャクチャ強い双子的な……」
リズがそこまで言ったところで、思い出したように「あっ」と声を上げた。
「メチャクチャ強いといえば……アスナはもう知ってる?絶剣の話」
「ゼッケン……?」