「だああああっ!負けた負けた!」
ノリが愉快そうにテッチの背中を叩いた。残りはセレナだけだが、おそらくもうすぐ戻って来るだろう。
「あとはセレナだけか」
ジュンが言うと、「セレナ」のワードにユウキがピクッとする。ボス戦の最初にユウキとセレナが斬り合ってる時に、降ってきたハンマーからユウキを助けたのはセレナだった。ユウキの初撃を躱して、蹴り飛ばして攻撃範囲から外すと、セレナは降ってくるハンマーを何とかガードする。
『な、なんで僕を……?』
『お前を倒すのは、俺だ……』
『………………』
『まぁ、もう一回勝ってるけどな』
最後の一言は少しイラっとしたケド。まぁそこはさておき、セレナはそんな事をした上に回復ポーション無しで最後まで残ったのだ。その事を思い出し、今までのセレナからは考えられない行動に、少し動揺しているユウキの後頭部にドロップキックが炸裂した。セレナがいつの間にか戻っていた。
「痛っ!な、なにすんのさ⁉︎」
「黙れ。おい、お前ら早く準備しろ」
「えっ?」
「ボス倒したいんならさっさと準備しろ。じゃないとボスの首取られんぞ」
「どういう事?」
アスナが聞いた。
「お前らが絶滅した後、ボスとタイマン張ってる時にたまたまちっこいトカゲが見えた。ありゃ闇魔法の盗み見だ。他のギルドの連中に俺たちの戦闘を見られてた可能性が高い」
「んなっ……!」
「そのトカゲ始末してたら殺されちまったんだが、まぁそこは置いといて、とにかくさっさとここを出てもう一回殴り込みに行くぞ。多分、あれは数に物を言わせてるギルド連盟の連中だ。準備にはある程度時間が掛かるはずだ。だからさっさとここを出れば間に合うかもしれない」
「………分かった!」
で、全員支度し、出発した。
移動しながら作戦会議をして、ようやく到着すると、回廊のラスト30mはおよそ20人ほどのプレイヤーでぎっしり埋まっていた。
「な……なんだい、これ……」
ノリが思わず呟いた。が、アスナは動じずにリーダーらしき男に声を掛けた。
「ごめんなさい、わたしたちボスに挑戦したいの。そこを通してくれる?」
「悪いな、ここはいま閉鎖中だ」
「閉鎖って……どういうこと?」
「これからうちらのギルドがボスに挑戦するんでね。いま、その準備中なんだ。しばらくそこで待っててくれ」
「しばらくって、どのくらい?」
「ま、一時間ってとこだな」
すると、アスナは息を呑んだ。それと共に、こいつらの意図を理解したのだった。それはセレナも一緒だった。で、セレナがその男の前に出る。
「おい、お前ここから退くつもりがあるか?」
「どういうつもりだ?」
「いいから答えろ。それ以外しゃべるな」
「…………ま、ぶっちゃけると無」
そこまで言った瞬間、セレナがその男の首を飛ばした。
「んなっ……⁉︎」
敵のギルド全体、アスナ達も全員がその行動に怯んだ。
「ちょっとセレナ⁉︎」
ノリが言うがセレナは平気な顔で言った。
「こいつら全員、俺がぶっ殺すから。お前ら先に行ってろ」
「だ、ダメだよ!」
ユウキが言った。
「セレナも一緒に戦わないと意味ないよ!」
「……………」
セレナは黙っている。
「おいおい、俺たちがそんな簡単にここを通すと思ってんのか?」
敵さんもそう言った。セレナはユウキに言った。
「後から必ず行くから。だから、先に行ってろ」
「セレナ………」
その瞬間、飛んでくる炎魔法。それをセレナは叩き斬った。
「早く行けッ!」
その声で全員飛ぶ。それと共にセレナVS20人ちょっとが始まった。