もし、俺がリンクスタートしたら   作:単品っすね

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打ち上げ

 

 

 

 

 

ようやく終わり、俺達は28層のアクティベートを終え、とりあえずその場で挨拶した。

 

「お疲れ様、みんな!」

 

ユウキが全員に微笑みかける。すると、全員でイエーイ!的な反応、ま、俺はここまでかな。

 

「じゃ、俺はお役御免だな。帰るわ。で、キリトにマッサージしてもらって来るわ」

 

「待ってよセレナ」

 

「あ?」

 

ユウキに止められ、俺は思わず荒げた声を出してしまった。

 

「これから打ち上げだよ!どーんと盛大にやろう!」

 

「なんせ予算はたっぷりあるしな!」

 

ユウキに続いてジュンも言った。

 

「どこかのレストランを貸し切ろうか」

 

「そういう事なら私の家に来ない?」

 

アスナが言った。確かにこいつの家は馬鹿みたいにデカイ。毎度お馴染みの連中で階層クリアした時は大抵、こいつの家に集まる。だが、その瞬間、少し困った表情をするスリーピングナイツの面子。

 

「別に打ち上げなんてどこでもいいだろ。酒が飲めれば俺はなんでもいい」

 

俺が言った。実際俺はそう思ったし、何より、せっかくの打ち上げで今の雰囲気が続くのは嫌だ。

 

「でも、セレナちゃんお酒弱いじゃん。リアルでもこっちでも」

 

「や、違うからね?俺本当は強いからね?あれ振りだからね?」

 

「ふぅーん。じゃ、今度ダイシーカフェでウォッカでも飲んでみる?」

 

「ウォッカなんてあんのあの店⁉︎」

 

ちなみに、少し前の打ち上げでクラインに飲まされた焼酎一杯で俺は和人と不純異性交遊しかけた。全員の前で。流石に危なかった。

 

「で、どうしよっか?」

 

アスナが仕切り直すように聞いた。これで、アスナの家なんて意見はリセットされたはず……と、思ったらシウネーが言った。

 

「分かりました。ではお邪魔します」

 

いいのか?まぁ本人がいいって言うならいいんだろうな。それに続いてノリとタルケンが言う。

 

「そうと決まったら、まず酒だな!樽で買おう、樽で!」

 

「ここには、ノリの好きな芋焼酎はないですよ」

 

「なんだとコラ、いつあたしが芋焼酎好きなんて言ったか!あたしが好きなのは泡盛の古酒なんだぞ!」

 

「色気のなさじゃ一緒じゃんかよ」

 

なんて話しながら22層の森の中へ。そこにアスナのホームがある。

 

「あ、あそこ⁉︎」

 

ユウキのはしゃぎ声にアスナは頷いた。

 

「そうだよー……あっ」

 

アスナが答えるが否や、加速するユウキ。それを見ながらシウネーは「まったく…」と微笑みながら呆れた。

 

「へえー、ふうーん、ここがアスナのおうちかあ!」

 

ユウキは嬉しそうに家を見るが、「ん?」と声を漏らした。見ると、壁にアスナの写真が貼ってある藁人形が壁に刺さっていた。あっやべっ。

 

「セレナちゃん?」

 

それを見るなり、にっこり微笑むアスナ。俺は慌てて目を逸らしたが、肩に指が減り込むほど強く掴まれた。

 

「ごめんねみんな。わたし、ちょっとこのヒトとお話あるから、先に中に入っててくれる?」

 

言うと、アスナはとても女とは思えない馬鹿力で俺を引き摺り、森の奥へ進んだ。そこから先は何があったのか覚えていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ら、ほら、起きて下さい」

 

「シウネー、起きない?」

 

「駄目ですね……」

 

「僕に任せてよ」

 

その瞬間、セルがベジータに喰らわせた肘打ちをまんまセレナに喰らわすユウキ。

 

「起きろォーッ‼︎」

 

「ガハァッ‼︎」

 

セレナが目を覚ますと、ユウキが悪戯っ子の顔でセレナを見ていた。

 

「出掛けるよセレナ」

 

「そうかそうか。じゃあお前は天国に旅立ちやがれ」

 

そのまま殴り合いが始まる。枕で。その二人の頭にまたかよ…ってほどのゲンコツ。こいつら殴られ過ぎだろ。

 

「いい加減にしなさい!……って、これ何回目?」

 

「知らねーよ!」

「知らないよ!」

 

バカ2人のデュエット。

 

「……で、打ち上げは?」

 

セレナが机の上を見ると、料理から飲み物まで全部食い尽くされていた。

 

「さ、行くよ」

 

「ね、ねえ。まさか俺が寝てる間に全部終わったの?」

 

「一層の剣士の碑見に行くよ!」

 

「誰も起こしてくれなかったの?」

 

「写真撮ろう写真!」

 

「………帰ったらキリトに泣きつこう」

 

そんなわけで一層に飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……あった」

 

ユウキが呟いた。そこには【Braevs of 27th floor】の一文の下に、アルファベットで8人の名前が書かれていた。

 

「あった……僕たちの、名前だ……」

 

「ハナクソ付けとこうぜ」

 

セレナがいつものようにハナクソを擦り付けようとした時だ。その手をユウキが強く握った。その目は今までの嫌がらせの時とは違う、本気の拒絶があった。

 

「………………」

 

何かあるな………、と思いつつセレナは潔く引いた。

 

「おーい、写真撮るぞー」

 

テッチが声を上げた。それに反応し、全員が碑の前に並んだ。そして、スクリーンショットクリスタルでパシャッと撮った。

 

「よし、オッケー」

 

すると、ユウキはセレナと向かい合う。

 

「なんだよ」

 

すると、ユウキの体が光り出した。ログアウトのエフェクトだ。

 

「なっ……」

 

「ありがとねセレナ!セレナがいなかったら、多分勝ててなかったよ!」

 

「はぁ?」

 

唐突にお礼を言われたセレナはいまいち意図が掴めなかった。だが、ユウキの涙だけは見逃さなかった。そのままユウキは消えて行った。

 

その日からユウキはALOから姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

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