倉橋さんと少し話した後、俺と明日奈はガラス越しにユウキ……木綿季を見ていた。マジで病気じゃんコイツ……。もう長くは保たないのか……。何を言えばいいのか分からず、ただ呆然と眺めている。ふと横を見ると、明日奈の頬に涙が流れていた。
『泣かないで、アスナ』
声がした。おそらく木綿季の声だろう。ふとそっちを見ると、モニタパネルに【User Talking】という一文が浮かんでいた。
「ユウキ……?そこに、いるの?」
明日奈が声を漏らす。俺も思わず寝ている木綿季を凝視してしまった。
『うん。レンズ越しだけど、見えてるよ、アスナ。それとセレナかな?二人とも向こう側と、ほんとにそっくりなんだね。ありがと……来てくれて』
「ユウキ……わたし……わたし」
その様子を俺は黙って見ていた。
『先生、2人に隣の部屋を使わせてあげてください』
「え……」
倉橋さんは厳しい顔で考え事をする。が、すぐに向き直った。
「いいでしょう。でも、どちらか片方にしてもらえますか?色々と手続きを省略しているので」
おれはどうする?みたいな視線を明日奈に向けた。
「エレナちゃん、行ってきたら?」
「いいのかよ」
「一番ユウキと仲良かったのはエレナちゃんだもん。知ってるよ?昨日、寝ないでずっとユウキを探してたもんね。わたしは大丈夫だから」
「………悪いな」
で、俺は面接室に置いてあるアミュスフィアを装着した。
ALO内。セレナの目の前にはユウキがいる。
「よっす」
「うん、よっす」
セレナの口調を丸々真似たようにユウキは挨拶した。
「ごめんね」
「謝るくらいなら最初から言え」
「……うん。まさか、ここまでしつこいとは思わなくて」
「悪かったな」
「でも、来てくれて嬉しかったよ」
正面から言われ、言葉が詰まるセレナ。そして、ふと目を逸らした。
「悪かったな。喧嘩ばっか売って」
「? どしたの、急に?」
「まさか、そんな事になってるとは思わなくてな……」
「……少し驚いたな。セレナがそんなこと言うなんて」
「俺もだ。多分、三年くらい前なら有り得なかっただろうな」
「でも、気にしないで。弟と喧嘩してるみたいで楽しかったから」
「いやいや、何言ってんの?俺が兄貴だから。あ、間違った。姉貴だから」
「いや僕がお姉さんだから」
「は?」
「あ?」
そのまま睨み合う二人。だが、すぐに二人とも「ぷっ」と吹き出す。
「やっぱ、こうなるね」
「……なぁ」
「ん?」
「お前は、このままでいいのかよ」
「どういうこと?」
「死んじゃっていいのか?いや、死ぬまでに何かしたいことはないのか?」
「ううん。大丈夫、最後に最高の思い出、出来たからさ」
「そうだけど……でも、さ。何かしたい事は他にもあるだろ?鼻フックとか、鞭とかロウソクとか」
「うん。少なくともその中には何もないかな」
で、ユウキは微笑んだ。
「そうだなあ…学校に、行ってみたいかな……」
「OK。学校だな?」
「へ?」