「だからさ、これじゃジャイロが敏感過ぎるんだって。視線追随性を優先しようと思ったら、ここんとこのパラメータにも少し遊びがないと……」
「でもそれじゃあ、急な挙動があった時にラグるんじゃないか?」
「そのへんは最適化プログラムの学習効果に期待するしかねぇよ、カズ」
メカトロニクスコースの三人が頭を捻る。
「もう諦めたらどうだ?」
と、1人が言うと、その男の腕にエレナが飛び付いた。
「そんなこと言わないでよ…わたしの、友達のお願いなんだよ?」
「任せろ。おいてめぇら頭を絞れ」
涙目+上目遣いの瞬間、その男子生徒はキリッとする。もう一人の男子生徒もやる気出したが、和人だけチッと舌打ちした。
「俺にはため息ついただけでケツバットしてくる癖に……」
思わずグスッとしゃくり上げた。が、その和人にも容赦なくエレナは後ろから背中をなぞったり、裾を引っ張ったりした。
「ねぇかずとおー。まぁーだぁー?」
「うるせぇな。少し黙って待って…」
「「やるぞカズ」」
「何やる気出してんのお前ら⁉︎」
「そうだ。早くやれカス」
「お前だけなんか違うんだけど⁉︎」
で、ようやく終わったようで和人は声を上げた。
「とりあえず初期設定はこれでOKとしとこう。えーと、ユウキさん、聞こえますか?」
『はーい、よく聞こえてるよー』
「よし、じゃあ、これからレンズ周りを初期設定しますんで、視界がクリアになったところで声を出してください」
『はい、了解』
エレナの方に半球形のメカが乗った。そこにユウキがいる。
「じゃ、行くぞ。サンキューな和人」
「おう」
「それと、先輩方も。ありがとうございます♪」
素敵スマイル全開のエレナ。それにほわあああ……となる男子生徒二人と、再び舌打ちする和人だった。エレナは自分の教室に向かう。
「……じゃ、教室戻るぞ。時間ねぇから授業見学だけでいいか?」
『うん!授業見学、かあ……楽しみだなぁ』
「そんな楽しいもんでもねぇよ。っと、その前に先生ん所行かねぇと」
で、職員室の前。
『うわあ……僕、職員室って昔から苦手なんだよね……』
「そうかい」
それを鮮やかに無視してエレナは職員室に入った。無言で。
『……あれ?失礼しますって言わないの?』
「え?言うの?」
『うん、なんかもうなんでもない…』
5限目は現代文だ。その先生の元へエレナは向かった。
「おい、原田」
「瀬田か。お前はいい加減敬語を覚えろ。で、なんだ?珍しいなお前が職員室なんて」
で、エレナは事情を説明した。
「そういうことなら構わんよ。ええと、君、名前は?」
『あ、はい……紺野木綿季です』
「コンノさん、よかったからこれからも授業を受けに来たまえ」
『は、はい、ありがとうございます』
「気が聞くじゃねぇか原田。授業中にしつこく起こしてくる癖に」
「先生を付けろ。ていうか寝られたら起こすのは当たり前だ」
そんな事を話すと、エレナと木綿季は職員室を出た。