木綿季の家の前。そこにエレナと木綿季は来た。ちなみに和人はその間、ジュース買いに行かされてる。
「ここ、か……」
白い壁と緑色の屋根の家を見上げ、思わず声を漏らすエレナ。
『うん。……もういちど、見られるとは思ってなかったよ……』
嬉しいのかシュンっとしてるのかよく分からない木綿季。そんな木綿季にエレナが言った。
「………ばーか」
『? なんでさ』
「お前、病気治すこと諦めてねぇか?」
『っ』
詰まったように何も言えなくなる木綿季。だが、すぐに暗い声を出した。
『それは……無理だよ。だって……もう、ずっとだもん。お姉ちゃん達だって……』
「バカヤロー。人生は長ぇんだぞ?そんな簡単に諦めんなよ」
『そうは、言うけどさ……』
「俺だって、諦めてたんだ。でもまた、俺が母さんと呼べる人が現れるなんて思ってもなかった」
『?』
どういう事?と、言った反応をする木綿季。
「俺もお前と一緒、ってわけでもないか。でも、俺も家族はいないんだ」
『エレナの家族も、死んじゃったの?』
「いや、俺の親は…死んだっつーか、俺は捨てられたんだ。親に」
『えっ………?』
「だから、一人ぼっちの苦しみはよく分かってる。孤児院でも孤立してたからな。でも、そんな俺でもまた家族が出来たんだ。さっきの黒パシリのお母様と妹が、俺を引き取ってくれた」
で、エレナは小型カメラに微笑んだ。
「だから、さ。もしかしたら、お前のその病気も誰かが引き取ってくれるかもよ?」
『それはそれで悪いよ』
「じゃ、なんか、こう……オカルトパワー的なあれで治るかもしんないだろ」
『うん、オカルトって時点で望みほとんど無いよね』
「や、だからそこは考え方改めようよ。なんつーのかな、要は治る可能性はゼロじゃないってことだ」
最終的に誤魔化すようにエレナは言った。すると、クスクスっと笑い声が聞こえた。
『ありがとね、エレナ。僕、もう少し頑張ってみるよ』
「うん。少しっつーかガッツリ頑張ってくれる?」
『そうだね!まだ、エレナに一回も勝ててないし』
「それはお前があと1000年生きるとしても無理だな」
『言ったなー?僕だってもっと練習して、もっと強くなるからね!』
「治ったら、勝負だな」
『うん!』
「負けたらパフェ奢りな」
『それは酷いよー!』
「勝てばいいんだよ。あと負けたら両手両足を縛ってうさぎ跳びで世界樹の周りを500周追加」
『趣旨変わってない⁉︎ていうかなにそれ⁉︎』
「後は……SMプレイとか……」
『増やさなくていいよ!ていうかただS行為したいだけでしょ⁉︎』
なんて言い合いながら二人は微笑み合った。その様子を和人は電柱の陰から見ていた。
「は、入りずれぇ………」
ちなみにこの後、エレナの「遅い」の一言で和人はドロップキックを喰らった。