聖女と黒ウサギのオズ   作:ヴァーリ

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パンドラハーツ、最初は何かごっちゃでよく分からなかったけど、今では本当に感動する話になりました(;_;)
読んだきっかけ?そりゃもう、不思議な国のアリスの大ファンですから( ̄+ー ̄)ニヤリ


episode3 罪人に贖いを

オレはイッセーと木場、そして小猫ちゃんと共に、アーシアが連れ去られたであろう捨てられた教会へと向かった。

 

各々の足取りは重い。しかし、彼らは友人を助けるという目的を持っていた。

 

「ここか」

 

たどり着いた先には、人の手が入っていない教会があった。まるで、自分がアヴィスに落とされたあの儀式の館の10年後を見ているようだ。

 

本当に、神にも見捨てられているようだった。

 

「結界が張られているね。ここからは敵のフィールドだ、準備はいいかい?」

 

「早く行くぞ、木場」

 

オレは大鎌で教会の扉を吹き飛ばす。そして、四人同時に中へと踏み入る。

 

「まぁってましたご悪魔一行サァーン!」

 

オレ達の目の前に、あのイカレ神父がいた。

 

「また会ったな」

 

「おやぁ?そちらのショタボーイさんは随分と雰囲気がきゃーわりましたね!あれですか?シスターちゃんを助けられなくて激怒したとか?」

 

「うるさいぞ、ゴミが」

 

一瞬で神父に間合いを詰めたオレは、血染めの黒ウサギから受け継いだ力を用いて、拳を振り上げる。オレの拳はイカレ神父の顎に命中し、空中へと吹き飛ばす。

 

「ぬぁ!?なかなかやりますねー!なら、これでどうです!?」

 

天井を蹴った勢いで、イカレ神父は剣を振り下ろしてくる。オレは大鎌で剣を払うと、イカレ神父の腹に蹴りを入れるが、これは防がれてしまう。

 

「しゃっはぁー!」

 

「させないよ」

 

オレに振り下ろされるはずだった剣は、木場の剣によって防がれる。

 

刃と刃が交差し、火花が散る。

 

「お邪魔ですよー優男ちゃあん!」

 

神父はもう片方に持っていた剣を振り下ろそうとする。

 

その動作を、小猫ちゃんが長椅子を投げつけて牽制する。

 

「オズくん!イッセーくん!ここは僕たちに任して先に行ってくれ!」

 

「そういうわけだ、木場たちに任せて俺たちはアーシアちゃんを助けに行こうぜ!」

 

「あぁ」

 

オレとイッセーは、神父の相手を木場と小猫ちゃんに任せて、教会の階段を降りる。

 

そこは、何か古風な空間だった。その中央、十字架の形をした装置に、アーシアが貼り付けられていた。

 

「アーシア!」

 

「オズさん?イッセーさん?」

 

「あら、随分遅かったわね。残念だけどショーは終幕よ?」

 

レイナーレの言葉を最後に、アーシアの体が光りだす。

 

「いやぁああーーーーー!!」

 

アーシアの胸から出てきたのは、緑の光。離れて様子を見ていたレイナーレが緑の光を掴むと、彼女の体が緑色の光に包まれる。

 

「アハハハハ!やっと手に入れたわ、聖母の微笑み!これこそ、私が欲していた力!」

 

そんなレイナーレを無視して、オレはアーシアの拘束具を外す。

 

「アーシア、大丈夫?」

 

「オズさん……」

 

長時間拘束されていたのか、アーシアはかなり衰弱している。

 

「どうだオズ?」

 

「……」

 

なんとも言えなかった。オレには分かる、おそらくアーシアの命はもう保たないと。

 

「無駄無駄!神器を抜かれた人間は死ぬから!」

 

「アーシア、今助けるからな」

 

そう言ってアーシアの胸の上に手を置こうとすると、アーシアがその手をぎゅっと掴む。

 

「オズさん……あなたと初めて会った時、あんなに優しくしてもらったこと、本当に嬉しかったです……」

 

「頼むよ。喋らないでくれ……」

 

一秒でも長く生きて欲しい。だから、もう喋らないで、心残りを無くすことなんてしないでくれ。

 

「シスターになってから、私、ずっと一人ぼっちでした……それでも、そんな私と一緒に居てくれたオズさんには、感謝してもしきれません……」

 

「頼む、どうか、どうか……」

 

「短い時間……迷惑かけて……すみませんでした。オズさん……今まで本当に……」

 

ありがとう、それが最後にアーシアから贈られた言葉だった。

 

目の前のアーシアは、心残りひとつない笑顔でその生を閉じた。

 

「アハハハハ!滑稽ね!」

 

レイナーレが見下したかのように笑う。

 

その時、俺の心の中の何かが外れた。

 

「おい……」

 

「アハハハハ、アハハ……ハ?」

 

オレを見たレイナーレは、唐突に笑うのを止める。

 

「覚悟はできたか?」

 

そう言った俺の背後には、漆黒の闇に包まれた巨大な黒ウサギがいた。体より大きい大鎌を持ち、背後の闇から鎖が解き放たれ、体の周りで渦を作る。

 

「ひ、ひぃ!?」

 

「お、オズ?」

 

笑っていたレイナーレも、隣にいたイッセーも、眼前のオレに恐怖し、言葉を失う。

 

「死ね」

 

そう言ってオレは、等身大の大鎌をレイナーレへと振り下ろす。あり得ない速度で振り下ろされた大鎌は、レイナーレの左半身にある腕や足を、全て体から切り落とす。

 

「ガハッ!」

 

切られた場所から血が噴き出し、レイナーレは地面へと倒れる。

 

しかし、傷は何秒経たないうちに再生されていた。

 

「これが、聖母の微笑みの力!素晴らしい!素晴らしすぎるわ!」

 

「煩いぞ」

 

オレはレイナーレの四肢を鎖で固定する。そして、壁へと結びつけた彼女に、大鎌を見せつけながら歩いていく。

 

「お前には、相当の罪を負ってもらう。俺の友達に手を出し、拐い、そして殺した。その罪、死んで償うにはまだ早い」

 

オレは、鎖をレイナーレの体全てに巻きつける。これで、レイナーレは鎖から脱出することはできなくなった。

 

「どんな傷でも回復するんだ。なら、何度でも傷付けてやる」

 

オレはレイナーレの左腕を拘束している鎖の締め付けを強くする。メキメキと腕の骨が悲鳴を上げ、限界を超えた骨は次第にボキッと言う音を立てて折れてしまう。

 

「ぎゃあぁぁあ!!」

 

次は右足を締め付け、折る。

 

「がは…………」

 

そして腰、助骨、あばら、体の骨という骨をへし折っていく。

 

「アゥ!アァガッ!ヤメッ、イダッ、ヒグァ!」

 

「止めないよ?」

 

オレは何度も同じことを繰り返す。しばらくして、堕天使を拘束を施したまま元の人の姿へ戻って、大鎌で体を切り裂く。アーシアから奪った神器のおかげでレイナーレの傷は元どおりになるが、そのおかげで何度も新鮮な痛みを感じている。

 

必死にオレの手を掴もうとするが、無慈悲に振り払う。

 

「ヤメテェェ!イタイ!イタイからモウヤメテェ!」

 

だから、やめないって。

 

「オズ。おいっ、オズってば!」

イッセーがオレの手を抑える。

 

「落ち着け、もういいよ。こんな事、アーシアちゃんは望んでいないはずだ」

 

「…………うん。ごめん、熱くなりすぎた……」

 

イッセーに落ちつかされたオレは、黒ウサギを鎮め、ゆっくりとその場へ座り込む。レイナーレは、オレに拘束されたまま、私服を着た少女へ姿を変えてイッセーに

 

「あ、ありがとうイッセーくん!」

 

「黙れよ、お前を助けたわけじゃない。俺は、オズを助けたんだ」

 

「その通りよ。そんな汚い姿で私の下僕に言い寄らないでちょうだい」

 

背後を振り返る。そこにいたのは、リアスさんと朱乃さんだった。

 

「死になさい」

 

「ま、待っがぁ!?」

 

リアスさんの右腕から撃ち出された光が、拘束されたままのレイナーレを文字通り消滅させる。

 

「…………」

 

「終わったのか……?」

 

「あぁ……」

 

「オズ」

 

リアスさんがオレの肩に手を添える。

 

「アーシアを、生き返らせることが出来るわ」

 

「………………えっ?」

 

少し予想外の言葉に反応が遅れる。

 

今リアスさんは、アーシア生き返らせることができると言った。

 

「まぁ、正確には悪魔に転生だけど」

 

「アーシアはそうすれば生き返るの?」

 

「もちろんよ」

 

「お願いできますか?」

 

「いいわ。けど、条件があるわ。私の下僕になりなさい?オズ=ベザリウス……いや、黒ウサギのオズ」

 

 

結局、オレはリアスさんから提示された条件を飲み、リアスさんの下僕になることによってアーシアを生き返らせることができた。

 

意外だったけど、アーシアは生き返ったことに大いに喜んでくれた。悪魔になったけど。

 

「オズ!早く行くぞ!」

 

「オズさぁーん!早く行きましょう!」

 

「は、はいはーい!」

 

今は、二人ともイッセーの家に居候している。イッセーの両親には、お互い留学生で姉弟という関係で一応受け入れられている。

 

オレとアーシアは、リアスさんからの計らいで駒王学園に通うことになった。そして、かねてリアスさんの下僕となり、オカルト研究部に入学した。

 

制服は特注だけどね。

 

「急げぇ!」

 

「学校に遅れちゃいますよ!」

 

「ごめんごめん!」

 

こっちの世界に来て、オレは後悔していない。

 

護ると決めたアーシア、オレを受け入れたイッセー、居場所を与えてくれたリアスさん、そしてオカルト研究部のみんな。

 

たとえここが、元いた世界と違っても、オレはオレ。

 

自分がやるべき事も決めれたことだし、どうせ元に戻れないなら、二度目の人生を満喫してやろうじゃないか。

 

「大好きよ、オズ」

 

「えっ?」

 

風に乗せられて、どこからか懐かしい声が聞こえてくる。

 

「お、オズ!」

 

「あわわ、ごめんよイッセー!」

 

少し部屋を見渡したオレは、慌てて家を飛び出す。

 

 

「ここは……どこだ?」

 

確か俺は、イスラ=ユラの屋敷の地下で……

 

「くっ、がはっ!?」

 

頭がかち割れるほど激しい頭痛が起こる。

 

「何があったんだ……?」

 

思い出そうとするが、先ほどの頭痛で何も思い出さない。

 

「ちくしょう。なんてこった、目が覚めたら変な森に倒れてるし……」

 

「にゃーん……」

 

「にゃ、にゃーんだと?」

 

俺が後ろを振り返ると、小さな黒猫がいた。俺は黒猫を抱きかかえると頭を撫でてやる。

 

仕方ないだろ。だって、猫派なんだからさ。

 

「にゃご〜」

 

「おぉ、よしよし。可愛いなぁ〜、本当に猫は大好きなんだよなぁ」

 

「にゃにゃ!?////」

 

「ん?どうして赤くなっているんだ?そうだ、こんなとこじゃなんだ、どこか落ち着けるところで続きをしないか?」

 

「にゃぁ!」

 

俺は黒猫を抱きかかえて森を進んでいく。

 

これが、まさかあんな事になるなんて、俺はまだこの時は知らなかった。

 

「はぁ、オズ。もし会えるなら、ちゃんと謝りたいぜ……」




も、もしや、あなたは!?
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