「さてと、何が必要だろうか」
チルノ達と出会った翌日、朝日と共に目覚めた俺は昨日の考えを実行すべく準備を始めた。
小屋の中にある刃物は錆が浮いた物ばかりではあるが、無いよりマシと鉈を持つ。
鉈なら藪を払って進むにも、枝を落とすにも便利だろう。
どこまで切れ味があるかは不明だが。
鉈を右手に持ち、背には籠を背負う。
まるで何処かのハードボイルドみたいな元の服装である、革製のジャケットに帽子、ジーンズと言う格好には全く似合わないが致し方無い。
見た目より実用性が第一だ。
昨日チルノに貰った氷を煮沸した水を入れた水筒と、昼飯代わりの干し芋と干し肉を入れた袋を腰に提げる。
現状出来る準備は万端、さあ出発「ナナシー生きてるかー?」……邪魔が入ったらしい。
「おはようチルノ、どうしたこんな朝早くに」
「ナナシおはよ、生きてたかどっか行くの?」
質問に質問で返された気分だが、一応は心配して来てくれたと言う所だろうか。
「ああ、果物とか集めれたらと思ってな」
「わたしも一緒に行くわ!」
昨日の対応からすると、引かないで気付けば一緒に来るのが目に見えている。
なら、初めから戦力として連れていくのが一番だ。
「構わないぞ、戦えない子分だからな、しっかり守ってくれよ」
昨日と似た様なセリフを言いながら小屋の戸を閉める。
「任せといて!」
昨日に引き続き、全くちょろい妖精だこと。
一時間程だろうか、すぐに俺を置いて飛んで行こうとするチルノの先導で山の麓、林の奥の方面に来ていた。
この山が現在天狗が治め、守矢神社が現れる妖怪の山だろう。
これ以上は近付きたくは無い、天狗に襲われるのは勘弁だ。
「そこの人と妖精、これより先は妖怪の山立ち入る事は許さん」
そうそう上手い事いかない様だ、声が聞こえた方を見れば剣に盾、白い衣に黒い袴、山の哨戒白狼天狗犬走椛である。
対話でなんとかなる相手だろうか、原作に於いてはセリフが無いキャラなので全く判断が付かない。
ただ、判っているのは彼女は職務に忠実であると言う事が、こちらに向けられた刃から感じられる。
「チルノ、引き返そ「突然出て来て何言ってんのよ」……う」
こいついきなり喧嘩売りやがった。
「此処で争うのは得策じゃない、引き返して別の場所で探そう」
「何で? 向こうが先に…「子分を守ると思って頼むよ、チルノ」…わかったわ、覚えてなさい!」
睨み付けてくる椛をそのままに引き返す、余話であるが椛には犬耳と尻尾があった、もふもふしたいがさせてはくれないだろうな。
そんなこんなで日が中天に昇りきる頃には、なんだかんだで背負った籠が満載になるくらいには収穫があった。
梨や杏、無花果と言った果物から、胡瓜や茄子と言った野菜類。
山芋が掘れた時には感動したが、同時にスコップの様な物を作るべきだと感じた。
「チルノありがとうな」
「どういたしまして」
人里が見える所まで送って貰う代わりに、梨を二つ渡す。
もっと渡そうとしたのだが、これだけで良いと言われてしまったのだ。
大ちゃんと食べるらしい、他の妖精の分は良いのかとも思うが。
チルノを見送り、人里へと向かう。
買い取って貰えなければ単純に飯にしても良いし、物々交換でも構わない。
門番に珍しい目で見られたが、無事人里に入る事が出来た。
もみじもみもみ
椛はまた出てきます
が、取り敢えずは顔見せ程度