ストライクウィッチーズ~月からやって来たウィッチ~   作:ダイダロス

1 / 3
艦これSSの執筆と推敲が捗らず、気分転換に作品を読んでいて思ったこと。
Fate/EXTRA(岸波白野♀)とストパンのクロスオーバーのSSってないの?と。
そう思った時、色々妄想が膨らんで一旦艦これSSを脇に置いてこっち執筆しちゃいました。




終わりと始まり

 月に存在する万能の願望器「聖杯」を求め、予選を突破して本戦に進んだ128人の魔術師(ウィザード)達がトーナメント形式の聖杯戦争を行った。

  キャスターのサーヴァントを従え、並み居る魔術師、サーヴァントを打ち倒し月の聖杯戦争を勝ち抜いて勝者となった魔術師の少女、岸波白野。

 熾天の玉座に到達し、聖杯に願いを入力した白野は今まさに消えようとしていた。

 ゆっくりと粒子状に体が溶けていくのを見ながら、白野は傍らに寄り添うサーヴァントの手を取った。

 

「キャスター、ここまで一緒に来てくれてありがとう」

「何をおっしゃいますか。私は貴女様に出会えたこと、貴女様と共に戦えたことを嬉しく思います」

「…そっか。うん、じゃあこのまま一緒にいてくれる?」

「はい。…このタマモ、最期までお供いたします」

 白野はキャスターの手を握り締める。キャスターも握り返す。

 そして2人はゆっくりと互いの体を抱きしめた。

 やがて少女の最期の時が来た。白野の意識も何もかも溶けて消えていく。

 目を閉じて、白野はギュッと大切なサーヴァントを抱きしめながらふと思った。

 

 〝離れたくないなぁ……〟

 

 そして、岸波白野は分解されて静かに消えていった。

 

 この時、ムーンセルにエラーが発生した。

 バグか奇跡か、分解された岸波白野のデータはキャスターと混ざり合い、一つの存在(データ)になる。

 ムーンセルはこのデータを不正なものと考え削除しようとした。しかし同時に新たに生まれた存在を、その可能性に興味をムーンセルは持った。

 だがサーヴァントと一体化した少女の存在をムーンセルは容認できないため、セラフにとどめておくことはできない。

 そこでムーンセルはこう考えた。

 〝存在するのがセラフでなければいい。セラフでない場所に送り出せばいい〟

 そしてムーンセルは岸波白野を受肉させたうえで、贈り物も添えてある世界に送り出す。

 

 

 その世界は、ネウロイという怪異と戦いを繰り広げる魔女たちがいる世界だった。

 

 ◇◇◇

 

 《ご……様!…主…ん様!目を開け…!》

 

 

 どこかから聞き覚えのある声がした。必死に呼びかける、誰かの声が。

 びゅうびゅう風が鳴っているのが聞こえる。

 浮遊感、というより奈落の底に落ちていくような感じ。

 

 うっすらと白野は目を開ける。

 

 

 

「………え?」

 

 岸波白野は、真っ逆さまに落ちていた。見渡す限りのあお、青、蒼。所々に白。そして眩しい光。

 状況を認識するまで5秒間。

 

「えっと…。どういうことだろ?」

 

 様々な体験をしたため肝が太くなったか、それとも単に現実逃避なのか、それとも両方か。空から落ちている少女は呑気にそう呟いた。

 

 

 《ご主人様!気がつきましたか!》

「えっと、その声は……キャスター?」

 周りを見渡しながら白野は聞いた。

 しかしどこにも狐の耳でピンク色の髪のキャスターがいない。

 声だけが白野の頭の中に響く。

 《はい!そうです、ご主人様!ってそんな場合じゃないです!飛んでくださいご主人様!》

「飛べって…そんな魔術あるの?」

 ムーンセルでは特に飛ぶ必要がなかったため、飛ぶ魔術を白野は知らない。

 知り合いの魔術師も特段空を飛ぶ魔術があるとは言ってなかった気がする。

 《んー、魔術ではないと思いますがそれに近いものですね。ご主人様が今足につけているものは、魔力で飛ぶことができる代物だそうです》

 キャスターに言われて少し首を下に向けると、確かに翼がついた妙な筒を履いていた。

 こんなので空を飛べるのか?いやしかしこのままだと海面に叩きつけられてしまう。

「ふっ…ふぬぬぬ!」

 白野はどうにかして飛ぼうとするが、落下している状態に変わりはない。

 気合を入れたり手足をばたつかせても、白野は空を飛べない。

 そうこうしている間に海面が近くなってきた。このままのスピードで落ちればどうなるか。考えたくもない。

 迫ってくる海面を睨みながら白野はそれでも何とか空を飛ぼうと諦めない。

 諦められるか!ここで今更私が諦められるはずがない!

 これぐらいの危機なら、ムーンセルで嫌と言うほど味わって乗り越えてきた!

 戦って切り捨ててしまった人の分も生きるためにも!諦めるわけにはいかない!

 一瞬筒が光を放つ。魔導エンジンが動き出し、白野は揚力を得る。

 海面近くまで落下した白野は何とか体を持ち直して直感の赴くままに動き、上昇する。

「と、飛んでる…」

 信じられない様子で白野は呟いた。

 《ふう、間一髪でございましたねご主人様》

 胸を撫で下ろしたキャスターの声が聞こえる。

 白野は空を飛ぶという初めての感覚に戸惑いながらも、暫し飛ぶことに心を奪われるのだった。

 

 ◇◇

 

 

 飛ぶのに慣れ、ようやく落ち着いた白野はふと思った。

「ところでキャスターはどこにいるの?霊体化してるの?」

 《あー…。そのー…。ご主人様?怒らないで聞いて下さいます?私もどうしてこうなったかわからないんです》

「?どういうこと?」

 《とりあえず、鏡でお顔を見てください》

 鏡って持ってたかなぁとぼんやり思っていると、目の前にキャスターの宝具の鏡が浮かんでいる。

 どうして?と思うより白野は思考停止する。

 いや待て、そんな馬鹿なと白野が否定するも“ソレ”は頭にあった。

 信じられない思いで頭に手を伸ばす。

 指がふわぁ、とした柔らかいものに当たる。

 それよりも強い感覚が体中を駆け巡り、白野はビクンと身震いした。

 背中を柔らかい何かがこすっている感覚もある。

「な、何これ?」

 《えぇっと。私も信じられねーっていうか、こんなこともあるもんだなーっていうか、本当にぶっちゃけ何でこうなったのか全然わかんないんですが…》

 キャスターも非常に困惑してるのかキャラがブレブレ。しかし白野にそれに突っ込む余裕はない。

 鏡に映っている困惑した岸波白野は、頭に“狐耳”を付けていた。

 《私たち一体化してしまったみたいですね………》

「………はあーーーっ!?」

 白野の驚きのあまり叫び声をあげた。狐の尾がピンと逆立った。

 

 

 ◇◇

 

 なぜキャスターと一体化したのか、ここはどこなのか、色々疑問は尽きないが、ひとまず脇に置いといて。

「キャスター、とりあえずどうする?」

 ここはムーンセルではないようだし、聖杯戦争があるか定かではない。

 しかし行動指針を決めずにこの世界を放浪するのはよくない気がする。

 《ご主人様の魔力も無限ではない以上、このまま飛び続けることはできません。ひとまずどこか休める場所を探すべきだと》

「そうだね。うん、そうしよう。しかし、どっちに行こうか…」

 四方八方見渡す限りの海。陸地はどこにも見えない。

 とりあえずあっちに行くかと方向を決めて白野は飛んだ。

 

 ◇

 

 

 ある日突然、ネウロイという異形の怪物が襲来した。

 これによって人類は連合軍を結成してウィッチを中心にネウロイと戦っていくことになる。

 

 1944年。第501統合戦闘航空団ストライクウィッチーズの活躍もあって人類はネウロイからガリアを解放することに成功した。

 ガリアを解放した人類は欧州全体をネウロイから解放するため、連合軍は上陸作戦を実行。ネウロイへの反撃が始まる。

 その後、1945年。欧州ヴェネツィア・ロマーニャ方面で事態が急変する。

 これを受けて一旦解散されたがロマーニャで第501統合戦闘航空団が再結成された。

 その501基地にやかましい警報音が鳴り響いた。

「警報!?」

 501の指揮官であるミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐が通信機で警戒部隊と連絡を取り合う。

「敵は中型ネウロイ1機、小型ネウロイ1機。こちらに真っすぐ向かっているようね」

 それを聞いた坂本美緒少佐が進言する。

「よし、では私とバルクホルン、ハルトマン、ペリーヌ、宮藤、リーネの6人で向かう。いいな?」

「わかったわ。他の人は待機していてください」

「では、行くぞ!」

『はっ!』

『はい!』

 出撃するウィッチ達は格納庫に向かい、ウィッチの翼であるストライカーを履く。

 魔導エンジン始動。そして滑走路へと向かい、6人のウィッチが次々と飛び立っていく。

 

 

 ◇

 

 

「キャアアアアアアアア!?」

 白野は今追われていた。

 追っているのは飛行機でも鳥でもない。大きなエイみたいな形の所々に赤がある黒い何かだ。

 陸地を探しながら飛んでいて偶然遭遇したのだが、いきなり赤い光線を撃ってきた。

 無機質な印象だが、意思を持って白野に襲いかかる。まるでアリーナにいるエネミーのようだ。

「何なのあれ!?」

 《妖魔の類ですかねぇ?しかしあんにゃろ、ご主人様に向かってあんな物騒なものぶっぱなすって一体どういう料簡してますかねぇ!?》

 白野の頭の中でキャスターの声が響き、意味がないのに思わず白野は耳を塞いだ。

 しかし、あれが何であるかはこの際どうでもいい。

 問題はあの黒いものは白野の敵だ。だがキャスターは今白野と一体化しているため、白野自身が何とかしなければならない。

 だが白野がムーンセルで使っていた魔術、コードキャストは礼装を全て失っているため使用不可能だ。

 攻撃手段はないように思え、おまけに白野が経験したこともない空戦だ。

 さすがの白野も冷や汗が流れる。そんな時にキャスターが真剣な様子で言った。

 《ご主人様。おそらく今の貴女様は私が聖杯戦争で使ったスキルを使えるはずです》

「…ひょっとして、キャスターと一体化したからキャスターの力を使えるってこと?」

 《はい。宝具に関しても真名解放を除いてはご主人様の自由に使えるはずです。真名解放には私の意思も必要ですが。つまり真名解放とはご主人様と私の愛の共同作業!》

 なんで最後まで真面目な状態が続かないんだろうか?

 キャスターの最後の戯言は無視して白野は試しに炎の呪術を使ってみる。

「えっと、呪相・炎天!」

 右手を黒いものに向けながら白野は叫んだ。爆発と共に炎に包まれる。

 やったと思う間もなく、煙の中から黒いものが現れる。黒いものは反撃の光線を白野に撃ってきた。

 かわしながら白野は険しい表情を浮かべる。

「効いていない?」

 《いえ、違います。よく見てください》

 目を凝らしてよく見ると、黒いのは煙を噴き出していて、体に大きな穴が開いている。穴の中には赤い塊が見えた。

 そして少しずつ穴が塞がっていくのが白野にはわかった。

 《自己修復も可能のようですね》

「…あれって生き物なのかな?」

 《さぁ?私としてはご主人様に手を出した時点でコロコロしちゃっていいと思います》

 物騒なことを言うな、と雑念が生じる白野。その隙に黒いのは光線を放つ。

 油断していた白野は避けきれない。とっさに鏡を盾にして白野は光線を防いだ。

「くっ、ぅ…」

 しばらくの間視界が赤く染まるが、鏡は見事耐えきった。ひび一つ入っていない。

 キャスターはこの宝具を頑丈だからといって対戦相手のサーヴァントやエネミーにぶつけてたりしてたが、これは光線も防げるものなんだと白野は改めて頑丈さに感心する。

 今度は白野のターンだ。

「呪相・氷天!」

 白野は氷の呪術で大きな氷柱を黒いものの穴や体の一部分に生じさせる。氷柱のおかげか、自己修復もうまくいかなくなったようだ。

 一気に白野は畳みかける。

「呪相・密天!」

 今度は風の呪術で黒いものを旋風が取り込み、動きを止める。

「炎天よ、奔れ!」

 動きが止まった黒いものに白野は魔力を最大まで注いで呪相・炎天を放つ。

 爆発は穴から内部深くまで到達し、コアを破壊する。

 コアが破壊されたことにより黒いもの――ネウロイはガラスのように砕け、飛散した欠片が塵になって消えていく。

 その様子を白野は呆然と見送った。

「終わった……?」

 《みたいですね。一体何だったのか…》

 ホッと息をつく白野。立て続けにスキルを使ったせいか、体が少しだるい。頭の狐耳もへんにゃりと垂れる。

 硬い声でキャスターが言った。

 《ご主人様、誰か来ます》

 誰かとキャスターが言ったことから、さっきの黒いのではなさそうだ。

 しかし警戒を解かずに白野は注意して周囲を確認する。

 6条の飛行機雲が描かれている方向に白野と同じように筒を履いた少女達が飛んでいる。

 少女達は皆銃器で武装しており、中には刀を腰にぶら下げている子もいる。

 《ご主人様、どうしますか?》

「……あの人達と話してみる」

 《大丈夫でしょうか?》

 今のキャスターには白野を守る術がない。白野の内側から見守るしかできないのだ。

 今の疲労した白野に、もし万が一のことがあったらとキャスターが心配する様子が白野に伝わってくる。

 白野はキャスターを心配させないよう、努めて穏やかな声音で言った。

「大丈夫だよ。もしヤバくなったら逃げるし」

 さて、鬼が出るか蛇が出るか。

 接近してくる6人の空飛ぶ少女を見つめながら白野はどうなることやらと思った。

 

 ◇◇

 

 

 ネウロイ迎撃に向かったウィッチ隊がネウロイともう間もなく接触する頃、基地に残ったミーナから無線で連絡があった。

『…美緒、聞こえる?レーダーが中型ネウロイの反応をロストしたわ。そちらの状況を伝えてもらえるかしら?』

「ロスト?いや、こちらはまだネウロイと接触していない。小型はまだ確認できるんだな?」

『ええ、そうよ』

 無線で上官達のやり取り聞きながらウィッチ達はあちこちに眼を光らせていた。

「…ん?あれは?」

 リネット・ビショップがまず最初に白野に気づいた。

 リネットの隣を飛行していた宮藤芳佳がリネットの様子に気づいて質問する。

「どうしたの?リーネちゃん」

「芳佳ちゃん、あそこに誰かいる」

 リーネの指の先をこの場にいる全員が追う。

「ウィッチ?まさか。この空域にいるわけが」

 ペリーヌ・クロステルマン中尉がありえないと言うが、そこには確かに見慣れぬ風体のウィッチらしき姿がいる。

「もしかして人型ネウロイ?」

「……いや。変わった身なりだがウィッチだな。しかしどこの所属だ?」

 固有魔法の魔眼で確認した坂本が宮藤の予想を否定する。

「少佐、どういたしましょう?」

 ペリーヌが坂本に指示を求めた。

 どうするも何も、坂本達の任務はネウロの迎撃だ。しかし美緒の能力をもってしてもネウロイが見つからない。

 ミーナかサーニャのどちらかを連れて来るのだったと坂本が後悔するも仕方がない。

 坂本は基地にいるミーナに小型ネウロイの位置を確認する。

「…ミーナ。小型は今どの辺にいるかわかるか?」

『……小型ネウロイは貴女たちの真正面にいるはずよ』

 ミーナの声を傍受していたエーリカ・ハルトマン中尉とゲルトルート・バルクホルン大尉が気が抜けた様子で言った。

「ねえ、あのさ。真正面ってさ…」

「あのウィッチしかいないな…」

 つまりウィッチを小型ネウロイと誤認したということだろうか。そう考えた坂本はミーナに報告する。

「…ミーナ、レーダーが探知しているのは小型ネウロイではなく所属不明のウィッチだ。中型ネウロイはそのウィッチが撃墜した可能性がある。とりあえずこれから彼女に接触するを試みるが、いいか」

『ウィッチ?……わかったわ。気を付けてね』

 坂本少佐以下5人のウィッチはネウロイの迎撃から所属不明のウィッチの確認に任務を切り替え、接触を試みる。

 

 

 

 

 

 それが岸波白野とガリアを解放した魔女達との出会いであり、後に「月下の魔術師」と呼ばれるようになる少女の新たな物語の始まりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




新たな物語の始まりーとか言うわりに続く可能性は低いと思います。ごめんなさい。

舞台設定としてはストライクウィッチーズのアニメ2期ですが、何分にわかなものでストパンアニメ2期見てないんです……。原作アニメ見ていないのに二次創作とか読んだぐらいで書けるとは思えないというのも、続きを書く可能性が低い理由の一つです。
もし続きを書くことになっても、日常的な話かオリジナルの戦闘などが多くなるかもしれません。

個人的に岸波白野(♀)は型月キャラの中で好きなキャラ上位に入っていて、今回キャスターの狐耳と尾を付けてCCCの制服を着た彼女がストライカーを履いて空を飛び回ったり戦ったりする風景を想像するのは楽しかったです。

凛や桜がウィッチになって空飛ぶのもいいですね~。
ラニは………。
あれ?ラニの場合ってどうなるんですかね?ストパンだとあれはパンツじゃないけど、CCCで主人公にあんなこと要求するわけですし。
うーん、あんまり考えないほうがいいような…。



さて、艦これSSの執筆も頑張らないと。
現状7割程度できあがってるんですが、まだ細かい作業が終わってないためまだ艦これSSの更新は先になるかと。
この場で謝罪させていただきます。

これを読んだ方が作者の手の及ばないはくのんとウィッチーズの物語を描いてくれること、他の人の刺激になってくれることに淡い期待を抱きながら筆を置かせていただきます。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。