暫く何も思いつかなくうだうだしていましたが久々に書けましたわ。
とそんなことを言いたいのですがこの話はリクエストの話からの伏線を少しばかりかじっていくことになりますので大体の予想はできると思いますわ。
後数話で完結させて銀IFとリクエストを消化していきますのでもう少しお付き合いください。
「それでは次のための作戦会議を始めるぞ」
そう言った暁人君を私は疑いの目を持ちながら見つめる。
なぜ、私がこんな気持ちになってしまったのかは大怪我をして入院した時だった。
病室でじっとしてられなく廊下を歩いている時だった。
「高嶋友奈さん、病室から抜け出るのはダメじゃないんですか?」
そんな少年の声を聴いて振り返ると小学生ぐらいの男の子が立っていた。
「なんで君は私の名前を知っているの?」
少年は不思議そうな顔をしながら言った。
「そんなの簡単なことですよ……僕が上里暁人だからですよ」
「可笑しいな、私の知っている暁人君はもっと大きいよ」
暁人と名乗った少年は微笑みながら言った。
「この時代の上里暁人はそうですね」
その言葉で少し理解した。
この暁人君は別の上里暁人だと。
「分かっていただけましたか? 上里暁人は死んでも別の時代に生まれ変わる」
輪廻転生だということだ。
「この世界の歪みのせいで世界に罰が与えられる時に上里家には男子が産まれる、それは君たちが守っている神樹様の呪いなんだよ」
それならば今の暁人君はその呪いを受けていない。
「なら、今の時期に暁人君が死んだら呪いは受けないのかな?」
暁人君はクスリと笑いながら言った。
「それは無理だよ、上里暁人が産まれた瞬間にこの呪いは永遠に続くよ」
「僕が産まれた瞬間にこの世界は別の世界線に切り替わる、これがこの世界の仕組みだよ」
だとしたら彼は何回も絶望する世界を見ているのだろうか。
「そうだなぁ、この時代が最大の絶望かな? 他の時代の僕は幸せになったり更に呪いを受けた者もいる」
「なんでそんな話を私にするのかな?」
「だって君が最初で永遠の僕の初恋の相手になるからじゃないのかな?」
暁人君が私に恋をしている? それも初恋、それはおかしい。
「この時代の僕は誰かと付き合っていると言われたのかな? まぁ、ひなたが言ったと思うけどあれは嘘だよ」
「だってひなたは兄である上里暁人を異性として好意を持っているから他の者に奪われたくないために嘘をついている」
だからひなたちゃんは私にあんな目をするのか。
「でも私にそんな話をしてもいいの?」
「いいのさこの恋は決して実ることない恋だから」
その言葉に私はどう返せばいいのか分からない。
「だからさ君は普通に過ごしたらいいよ」
暁人君は黒い笑みを浮かべながら言った。
「叶わぬ恋を頑張って実らせてみなよ、僕は期待も希望もしてないからさ」
そう言って不気味に笑いながら消えた暁人君を私は探した。
だけどどこにも見当たらずに私は普段の生活に戻った。
「高嶋、聞いてるか?」
この前の事に意識しすぎて話を聞いていなかった。
黒板の前には暁人君と郡ちゃんが立っていた。
「千景、後で高嶋に今回の作戦をザっと説明しといてくれるか」
暁人君のその言葉に郡ちゃんは少し頬を緩ませながらうなづいた。
「えぇ、私でいいのなら」
郡ちゃんと暁人君は趣味のゲームのお陰で仲がいいのは知っているがここまでの中だとは思わなかった。
でも、暁人君は私が好きなんだよねと頭の中で少年姿の暁人君の言葉を思い出す。
「あとそれから切り札の使用は禁止だからな、時と場合によって杏には使用してもらうが」
そう言った暁人君の顔は少し前に見たよりも凛々しく見えた。
あぁ、私は本当に彼が好きなんだと再確認してしまった。