名探偵コナン~選ばれた二人の物語~   作:雪夏

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解決編です。冒頭の部分はアレです。
サブタイ前のアレ。そんな感じで


File09 本庁遠隔殺人事件 解決編

 

 

 

 

俺たち少年探偵団は博士とともに事件の事情聴取の為、警視庁を訪れていた。高木刑事に案内された部屋で捜査一課の女刑事、佐藤美和子警部補と出会った俺たちは十四時に強盗被害にあった銀行の支店長が夫婦で訪ねてくることを聞く。

 

先にやってきた夫の支店長がまだ来ていない奥さんに連絡すると、奥さんはまだ自宅におり、十四時の約束を知らないという……

 

その電話の最中に高木刑事が誤って電話のスピーカー機能を入れたしまったその瞬間!

 

スピーカーから女性の悲鳴が!!

 

悲鳴を聞いた佐藤、高木両刑事とともに俺と灰原は支店長の自宅へと向かう。

自宅に着いた俺たちはすぐさま奥さんの捜索を開始。間もなく奥さんは発見された。

 

床に倒れ、背中にナイフが刺さった変わり果てた姿で……

 

 

 

 

「救急が先に到着していても関係なかったみたいね。

もがいた様子がないし恐らく即死でしょうから。」

 

「それじゃあ、犯行が行われたのは僕たちが奥さんの悲鳴を聞いたあの時ってことになりますね。

 先程、確認したところ、僕たちが悲鳴を聞いてから此処に駆けつけるまでの間不審な音はしなかったそうですし、犯人は刺したあとすぐ逃げたのではないかと」

 

「不審な物音がしなかったことや犯行時刻のことがどうしてわかるんですか?」

 

呼び寄せた機捜、鑑識ともに初動捜査を行う佐藤と高木。

佐藤たちが現場まで来た経緯を知らない機捜の疑問に子機を指差しながら高木が答える。

 

「あぁ、そこに居られる被害者のご主人が警視庁から電話をかけていたんですよ。

ほら、被害者の傍に電話の子機が落ちているでしょう?で、その電話口から悲鳴が……」

 

「で、高木くんがふらついた時に電話のスピーカーを切替えたから私も聞いたのよ。

それで、不審な音がしなかったってのは本当なの?」

 

「えぇ。悲鳴のあと僕が呼びかけている間もしませんでした。

それに此処に来るまでの間も呼びかけ続けてもらっていましたが、

僕らが到着して奥さんを探す声が聞こえるまでは無音だったとのことです」

 

「ということは、状況から見て被害者は通話中に背後から襲われた可能性が高いわね。

 物取りって線もなくはないけど、殺害後にすぐ逃亡したということは狙いは最初から奥さんだった可能性の方が高いわね」

 

 

佐藤たちの初動捜査がはじまる少し前に哀を連れてリビングから出ていたコナンが戻ってくるなり口を開く。

 

「ただ電話してたわけじゃないと思うよ……

 きっとこの人これをこぎながら電話してたんだよ」

 

「エアロビバイク?」

 

「鑑識のおじさんに下駄箱を見てもらったけどジョギングシューズなんか無かったって。

 この人が汗かいてるってことは運動してたってことでしょ?」

 

「確かに……。ってあのコナン君?」

 

「それに人は死んだら新陳代謝機能が停止するから室温が上がっても汗はかかないし、

かいていた汗は長時間ひかないで残ったまま……。

ジョギングじゃないってことは殺害される直前までこいでたんだよ。

……死体の傍にあったこれを」

 

「聞いてくれよ、だいたい勝手に現場に入っちゃ……「へー、なかなかやるじゃない」って佐藤さん?」

 

現場に入ってきたコナンと哀を高木が注意しようと声をかけるが、佐藤がそれを遮る。

 

「そういえばまだ名前聞いてなかったわね。そっちのお嬢ちゃんも」

 

「……灰原哀。よろしく」

「ハハハ……。僕は江戸川コナン。探偵さ!」

 

「た、探偵?坊やが?」

「ほら、毛利探偵が預かっている子ですよ」

「そっか。……だからいろいろ知ってるのかしら」

 

自己紹介を終えるとコナンに刑事にならないかと誘う佐藤。

高木は佐藤に同調したあと、佐藤の”私たち”がやさしく面倒みてあげるからという言葉に何を想像しているのか少し頬を染めながら黙っている。そんな高木の様子に気づく様子もなく佐藤とコナンは会話を続ける。

 

「刑事はやりがいのある仕事よ。私の父も警察官だったのよ」

「(……だった?)でも、僕は探偵になりたいんだ。ホームズのような名探偵にね。

 だから小五郎のおじさんのところでいろいろ勉強してるんだ」

「そうなの、残念ね……」

 

そんな彼らに目撃者の有無の聞き込みに行くと告げる機捜隊員。そこに佐藤は念のため家の中の調査を行うように指示する。

 

 

「探偵になりたいから勉強中なんて上手く誤魔化したわね」

「勉強中なのは事実だしな。まぁ、おっちゃんに学んでるわけじゃないけどな」

「そうね。アナタが教えてる方だものね」

 

 

コナンと哀が会話している間に新しくリビングに入ってきた刑事がいた。

彼の名は白鳥任三郎。今日付けで警部に昇進した所謂キャリア組の刑事である。

彼は状況から見て奥さんを殺害したのは強盗犯であり、奥さんが襲撃時に人質に取った際に自分たちの顔を見たもしくは特徴を悟ったと思ったが為に口封じしたのだと語る。

すると奥さんが昨夜外国人がどうとか言っていたと支店長が口を開く。それを聞いた白鳥は奥さんが知らせたかったのは強盗犯が外国人だということであると断じ、すぐさま特捜本部へ連絡しようとする。

 

 

「でも、おかしくなーい?」

「へ?」

 

 

コナンが疑問を告げる。なぜエアロビバイクの背後から犯人は襲ったのかと。

エアロビバイクの後には、ドアなどないのにと。

それに白鳥はエアロビバイクの真後ろにある本棚の棚板を二枚程外し隠れ機会をうかがっていたところ、刑事と通話していた奥さんに焦って殺害したのだと答えた。

 

また、支店長の話では、支店長は出勤するために朝に家を出るが、奥さんは昼過ぎまで起きてこないことが多く、昼の二時からエアロビバイクをこぐのが日課であるらしいことから、犯人は事前に調査をしていたに違いないと断定する。

 

そこに家の中を調査した結果、財布や貴金属類は手つかずだったことが報告される。

その報告にますます自分の推理に自信を得た白鳥は、事前調査を犯人が行った可能性が非常に高いと目撃者を探すよう指示する。

 

 

その推理に大きな穴があることに気づいていたコナンが、それを指摘しなければと焦り口を開きかける。

その時、高木が待ったをかける。その推理の通りだとすると犯人は犯行後に棚板を戻し、本棚のカーテンまで閉めたことになる、それは電話が警察につながっていることを知っているにしては悠長すぎると。それに佐藤も同意し、横の本棚にはぎっちり本が詰まっており、他にエアロビバイクの後に隠れられる場所もない事を指摘する。

 

白鳥は指摘される度に自分の推理が苦しくなってくるのを感じるが、それ以外の殺害方法が思い当たらない。状況から見ても背後から刺されたことは明らか。被害者が逃げたりした様子もないことから犯人がドアから入ってきたことも考えられない。

 

白鳥は警部として捜査指揮を取る立場になった。その立場になったからには他の刑事に捜査の方向性を提示する必要があるのだ。間違えた方向性を提示する訳にもいかない。かといって、いつまでも迷っていられないのだ。犯人逃亡済のこの状況下では捜査の遅れがそのまま逃亡確率の上昇に繋がるのだから……

 

「白鳥警部!」

「今度は何だい……?」

「被害者の部屋で妙なアルバムを発見しました。

写真の所々に丸が書き込まれているんです」

 

 

それを見た支店長が慌てた様子でただのイタズラだと言ってアルバムを閉じ、別の刑事に渡す。支店長は汗を拭いたり、歩き回っており落ち着きが次第になくなっていく。

奥さんを亡くし、ジッとしているのがツライようにも思えるが、コナンの目には計画が予想もしていない方向に向かっていくのに焦っている犯人に思えてならなかった。

 

 

支店長が殺害する動機は推測できた。怪しい行動もとっている。しかし、殺害の方法がわからなかった。遺体の状況からみても犯行時刻は警視庁で電話をしていた時で間違いない。その時点では支店長が直接奥さんを殺害することは不可能。それを証言する人に自分も含まれているという完璧なアリバイが……

 

 

「っ痛!」

 

 

ハンカチをポケットに戻そうとしていた支店長が、慌てて手を引っ張り出す。

その姿に疑問を覚えるコナン。そこに哀が声をかけ呼び寄せる。

 

「ねぇ。江戸川君ちょっと」

「なんだよ、何か見つけでもしたのか?」

「関係ないかもしれないけどね。ここ見てタコ糸が絡みついてるわ」

 

哀が指差したのはエアロビバイクの胴体部分。一見しただけでは気づきにくいが、

ペダルと胴体の接続部にタコ糸が巻きついており、先が輪っかになっている。

 

「そうか!ってことは彼処に“アレ”があるかも!」

「えっ?あれって?」

 

 

コナンは哀の疑問に答えずにエアロビバイクの背後の本棚に登っていく。

 

「何だってのよ……」

 

哀が呟いていると、コナンは高木刑事に抱えられ本棚から降ろされるところだった。

その顔は、笑みを隠そうとして隠しきれていないような、自慢する前の子供のような顔。

いや、どや顔といった方がいいのかもしれない。

 

(何よ、あの顔。何て憎らしいのかしら。どや顔っていうの?凄くムカつくんだけど)

 

そんなことを哀が思っているなど露程も知らず、鑑識の人から紙を受け取り何かを織り出すコナン。

 

そこから先は哀にとっては見ものだった。刑事たちはコナンに所々誘導されながら真相を突き止め、誘導する際のコナンの声色は必要以上に甘え媚びが含まれた声で笑いを耐えるのに必死だった。必死に子供っぽさをアピールするコナンに、終始真剣な顔の刑事たち。

コナンが途中で声をかけなければ哀は耐えられなかったかもしれない。

 

「おい、灰原」

「っ何?」

「彼処に置いてあるアルバムを佐藤刑事たちに見えるように開いててくれ」

「自分ですればいいでしょ?丸がついたページを見せるくらい」

「出来るだけ自分たちで気づいてもらわないとダメなんだよ。

いくら探偵の勉強中だといってもあまり気づきすぎると不審に思われる。

特に佐藤刑事とは初対面だからな。少々鋭いくらいじゃねぇと」

「はいはい」

 

コナンは哀が了承すると刑事たちの方に向かい、また誘導し始める。

哀はそれを横目で見つつ、鑑識に尋ねる。

 

「おじさん、私暇だからコレ見ててもいい?おとなしくしてるから」

「う~ん、部屋から持って行ったり、汚したりしたらダメだよ?守れるかい?」

「うん、分かった。ありがとうおじさん」

 

首尾よくアルバムを見る許可をもらう哀。

佐藤刑事たちに自分の肩ごしに中が見えるようアルバムを持ち床に座る。

 

(子供のふりは疲れるわね。彼は疲れないのかしら?

むしろいきいきしているように見えるのは気のせい?)

 

 

 

「……そう言えば、高木刑事。奥さんは間違い探しをしてたのかな?

僕この前小五郎のオジサンに間違い探しの答えを教えてもらう時にね、

なかなか分からなかったから間違ってるところに丸書いてもらったんだ」

 

「そういうこと……。だから奥さんはアルバムに丸を付けていたのね。

写真を持っていった時に分かりやすくするために。……この人たちが犯人ですって。

つまり、友人の犯行……、いいえ共犯者をバラされそうになったからその前に口を封じたってところかしら」

 

 

哀が子供のふりについて思考していたら、そんな会話が聞こえてきた。

いつの間にかアルバムの件は終わっているようだ。

 

(これ私がアルバムを開く必要無かったんじゃないかしら?私の子供の振りが無駄?

 ……ふふっ、キーケースは冗談だったのだけどホントに買わせましょう。それも二個)

 

哀がコナンにキーケースを二個買わせることを密かに決意したその時、

支店長の自供も終わっていた。

 

強盗犯の二人も捕まるのは時間の問題だろう。

これにて殺人事件と強盗事件、二つの事件は一気に解決したのだった。

 

 

 

 

「ねぇ、高木刑事。そういえば古城の事件の事情聴取ってどうなってるの?」

「あぁ、元々簡単に事実関係の確認だけだったから本庁で別の人がやって……」

「……僕たちは?」

「……大丈夫、大丈夫。戻ってすぐやるよ。二人だけなら十五分くらいでできるよ」

「……今日の事件の聴取は?」

「古城と合わせて後日出来ないか確認してみるよ……」

 

 

 

 

 

 

 

「なんか機嫌わるくねぇか?灰原」

「……秋が楽しみね。江戸川君?」

「え?」

 

 

 

 

 




解決編です。後半の推理披露の場面は全面カットしました。
原作の展開と差があまりにも生じないためです。

若干コナンが自重しているかなって差でしかありませんでした。
なのでバッサリと行きました。

次話はこの事件のエピローグ的な話です。
それで1章終了の予定です。

その後は短い話を二、三話挟んで二章へと行く予定です。
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