名探偵コナン~選ばれた二人の物語~   作:雪夏

19 / 82
家庭訪問編ようやく最後です。



File08 日常 家庭訪問編 その6

 

 

 

 

 

阿笠邸の食卓には阿笠待望のトンカツが並んでいる。

量は哀よりも少ないのだが、阿笠の顔には不満は微塵も浮かんでいない。

ただ、トンカツを食べれるという事実がうれしくてたまらないようだ。

 

「おいしそうじゃのぉ。もう食べてもいいかのぉ?」

 

「もう少し待ちなさい。はい、これ持って行って」

 

「ほら、これで最後だからもう少し待てよ、博士。それにしても美味そうだな」

 

「だから言っておったじゃろ?哀君の料理は絶品じゃと」

 

「ああ、そうみたいだな」

 

「褒めたってトンカツは増やさないわよ?博士」

 

「そんなつもりはなかったんじゃが……」

 

「ほら、食べましょ?」

 

「「いただきます!」」

 

コナンと阿笠の予想以上に大きな声に哀が驚くが、二人は気にせず箸を進める。

阿笠は言うまでもないことであるが、コナンも言わなかっただけで相当楽しみにしていたようだ。

 

 

「うまいのぉ~。うまいのぉ~」

 

「博士、涙流すなよ……。それにしても本当に美味いな。どこで料理習ったんだ?」

 

「レシピ本の通りに作ればみんなこんな味じゃないの?」

 

「いや、それが難しいんだけどな……」

 

哀の返答にコナンは冗談なのか本気なのか判断できない上に、エプロンでなく白衣を着てスポイトで調味料の分量を調整する姿を思い浮かべてしまい少し疲れた顔をする。すぐに料理の味に笑みを浮かべることになるのだが。

 

「新一、学校で哀君と仲がいいのはいいんじゃが授業はちゃんと聞かなきゃならんぞ?

 まぁ、君たちの場合は退屈じゃろうが哀君を巻き込んじゃいかん」

 

「い、いきなり何言ってんだよ!」

 

自分の食事を早々に終えた阿笠が口を開く。

どうやら先ほどの家庭訪問での話のようだがいきなりの注意に驚くコナン。

 

「大体、灰原の話を聞いてなんでオレの話がでんだよ」

 

「そうね、私の家庭訪問だったのになんで工藤君の話が出たのかしら?」

 

「それなら簡単な話じゃ。哀君の授業面に問題があるわけないからのぉ。

 生活面での話が中心になっての?」

 

「それで?」

 

「そうしたら探偵団の皆とも仲がよいが、一番は新一じゃと教えてくれてのぉ。

 授業中は注意するほどではないが、二人で話すことが多いとかでのぉ。

あとは、学芸会の出し物も決めるときは二人で話してばかりじゃったそうじゃないか」

 

「そりゃ、実年齢が上の俺たちが先導するわけにもいかねぇしな。黙ることが多くなるさ」

「ええ、成長の機会を奪うことはないもの」

 

 

「ワシはわかっておるが、ほどほどに参加せんと先生にマークされるぞ?

 それに本当は面倒なだけじゃないかのぉ」

 

 

「いや、実際ああいう場で子どもたちには流石に混じれねぇよ」

「そうね。仮面ヤイバーって言われてもね」

 

 

小林先生が普段の授業ならともかく、話し合いのときに自分たちに気を配っていたことに少し関心するコナン。いろいろ好き勝手に発言する子供たちの相手で精一杯だと思っていただけになおさらである。

 

 

「二人ともとてもいい子で助かってますとかも言っておったのぉ」

 

それから、如何に哀がいい子かを語ってくれたとか小林先生との話を上機嫌に話しだす。

そのテンションのあがりかたはトンカツのときと同レベルであった。

そんな博士をわき目に哀がコナンにコナンの家庭訪問はどうだったか問いかける。

 

 

「ハハハ……」

「あなたも似たようなこと言われたんじゃないの?」

 

「そうだな……。大体同じみたいだな。まぁ、オレん時は仲のいい子といつも一緒と言われたけど名前は出されなかったな……。

 ……てっきり、探偵団の奴らのことかと思ったんだが……。

 この分じゃアイツらじゃなくてお前のことだったみてぇだな」

 

どうやらコナンのときは、名前を出されなかったために探偵団の子どもたちのことだと思っていたらしい。小五郎にも蘭にも哀のことを話していないのだから、おそらく小五郎もそう思っているだろうということはコナンは黙っていた。

 

 

「博士、もういいわよ」

 

「なんじゃ?もういいのか?」

 

「ええ、十分よ……十分すぎるわ」

 

哀が阿笠の暴走じみた話を止める。まだまだ話し足りなそうな阿笠にコナンも哀も戦慄を覚える。その後も、たわいない話をしながら食後のコーヒーを楽しむコナン達。

そこで阿笠が今、思い出したというように学芸会のことについて話だす。

 

「そういえば、教えてくれてもよかったんじゃないかの、哀君?学芸会について」

 

「言う時間がなかっただけよ」

 

「いや~、当日はカメラを用意していかんとのぉ。

新一と哀君が主役とヒロインというじゃないか。おおそうじゃ、優作君にも教えないと」

 

「父さんたちには教えなくていいから。というか、絶対に教えんじゃねぇぞ。

面白がって仕事放って帰国したらどうすんだよ」

 

両親が帰国するところを想像したのか、げんなりした顔をするコナン。

そんなコナンをしり目に阿笠は一人学芸会に思いをはせている。

哀はそんな二人の様子を面白そうに眺めていた。

 

 

 

 

 

その日の阿笠邸はテンションの上がった阿笠の声が幾度となく響く日であった。

 

 

 

 

 




今年最後の更新は家庭訪問編の最終話です。
すべりこみました。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。