名探偵コナン~選ばれた二人の物語~   作:雪夏

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前話の続きから事件まで
※1/13あとがき修正


File11 日常 学芸会準備編 その3

 

 

 

「では、明日の二時に博士の家に集合ですからね。それからみんなで練習ということで」

 

「分かったよ。じゃ明日な」

 

「特にコナン君は主役なんですから、遅れないでくださいよ!」

 

「分かってるって。心配すんな。ほら、歩美たち先に行ってんぞ」

 

「あ、ちょっと待ってくださいよ~!いいですか、二時ですからね!ちょっと元太君~」

 

小学校からの帰り道、元太、歩美と学芸会のことで盛り上がっていた光彦が別れ道に差し掛かったところでコナンに明日の集合時間を伝える。了承の意を伝えるコナンに更に釘を指す光彦。仮面ヤイバーに興味のないコナンがヤイバーを演じることに特に不安があるようである。

 

 

「ったく、張り切りすぎだってーの。この分じゃ明日も大変そうだな~」

 

「……そうね」

 

走り去る光彦を見送っていたコナンの言葉に同意する哀。二人の脳裏に張り切る光彦に振り回される小林先生の姿が浮かんでいた。その時は、振り回される姿を面白く思っていたのだが、明日は我が身かと思うと苦笑いしかでない。

 

「やる気があるのはいいんだけどな……。あっ、ちょっと待ってくれ」

 

「……なんで?」

 

「ちょうど公衆電話があるからな。

おっちゃんから連絡があったか博士に聞こうと思ってよ」

 

「そう。じゃ、そうしなさい。

私は先に帰るから。夕飯の買い出しもあるし」

 

「何だよ、待ってくれてもいいじゃねぇか。買い物手伝うからよ」

 

「……40秒ですませなさい」

 

「無理だっての……。じゃ、少し待ってろよ」

 

コナンは急いで電話BOXに入ると阿笠へ電話をかける。

 

「あ、もしもし?博士?俺、新一」

 

『おおー、どうしたんじゃ?学校はもう終わったのかのぉ』

 

「ああ、終わったよ。で、おっちゃんから連絡あったか?」

 

『毛利くんから?おぉあったぞ。今日も帰れないから宜しくと言っておったぞ』

 

「そうか……まだかかりそうだって?」

 

『いや、先程調査を終えて報告に行ったら依頼者がお礼をしてくれるそうじゃ。

そのまま泊まるそうで帰りは明日の夕方と言っておったぞ』

 

「おいおい……。まぁ、無事に終わったみたいだからいいか」

 

『今日は馬刺しで一杯だとか言っておったぞ。あぁ、今夜の夕飯はなんじゃろうのぉ。

 また、お肉かのぉ?もしかしたら、デザートに生クリームたっぷりのケーキも……』

 

「あ~、はいはい、じゃ切るな(今日は魚だよ……)」

 

小五郎からの連絡内容を聞いたコナンは、電話の向こうで暴走しだした阿笠を無視し電話

を切る。電話BOXから出てきたコナンに哀が話しかける。

 

「で、どうだったの?」

 

「あ?ああ、今日も泊まることになったよ。依頼者のところに泊まるそうだ」

 

「そう。じゃ、アナタの分も買い物しなきゃいけないわけね。

 そうだ、お米もそろそろなくなりそうだったから……」

 

「おいおい……。米なんて俺は持てないぞ?」

 

「冗談よ。でも……荷物持ちはしてもらうわよ」

 

「ハハハ……」

 

哀の冗談に乾いた笑いしか出てこないコナン。哀と出会ってから二ヶ月ほど経過しているが、未だに哀の冗談はわかりにくいと思うコナンであった。

 

「で、このまま買い物に行くのか?」

 

「一度帰るわよ。買い物には早いし。それに掃除とかしたいし……」

 

「ん?博士がしてるんじゃねぇのか?」

 

「まぁ、私は小学校があるから平日は博士に任せているけど、時間があるときは私がしているわ。博士に任せるとね……」

 

「忘れてやってねぇとか?」

 

「それもあるけど、掃除とか雑なのよね……。部屋の角とかにゴミが溜まってたり。

洗濯物も取り込んでたたむところまでしてくれるのよ?でも……」

 

「結局、オメェがやり直してるってことか」

 

「そうなのよ」

 

それからも家事について話す哀とコナン。やはり、小学生が帰り道にする会話ではない。

阿笠邸に着くと早速掃除に取り掛かる哀。コナンは自分が使っている客室の掃除を始める。

一通りの掃除が終わったコナンがリビングに行くと、哀も終わっていたのか冷蔵庫の中身を確認しているところであった。

 

「もう掃除終わったのか?博士は?」

 

「博士は電話してるみたいよ。邪魔しちゃ悪いと思って掃除機はかけていないの。

 それに昼間博士がしてくれてたみたいだから、そんなに掃除するところもなかったしね」

 

「ふ~ん。洗濯ってもうしちまったか?まだなら俺のも一緒に……」

 

「そうだろうと思ってたわ。そこの洗濯カゴに入れて」

 

「了解。悪いな」

 

「なら、今度なんか奢りなさいよ。

それじゃ、洗濯機をまわしてるうちに買い物にいきましょうか」

 

「おう」

 

冷蔵庫の中を確認していた哀が振り返りながらコナンに言う。コナンは洗濯物を洗濯カゴに入れ返事を返す。

 

哀がカゴを洗濯機のところへ持っていくのを見送るコナン。哀は洗濯機の中に洗濯物と洗剤を入れタイマーを設定する。これで買い物から帰ってきた時には洗濯は終わっているという寸法である。

 

その後、未だに電話している阿笠に書置きを残した二人は買い物に出かける。

知り合いに会うこともなければ、事件に遭遇することもなく買い物を終えた二人が帰宅する。予想よりスムーズに買い物が終わったため、洗濯終了まで大分時間に余裕があるようだ。哀はソファーに座るコナンに問いかける。

 

「コーヒーでも飲む?」

 

「ああ、頼む。それにしても早く終わったな」

 

「混んでなかったから。それに、事前に買う物を決めていたもの」

 

「そんなもんか?俺なんかつい余分なものまで買っちまうぜ?」

 

「博士もそうなのよね……。ったく、男ってどうしてそうなのかしら……。

 はい、コーヒー」

 

「サンキュ。あとは洗濯物を干すだけか……他に何かすることあるか?」

 

コーヒーを淹れ終えた哀はコナンの向かいに腰掛け考える。

 

この後にしなければならないのは洗濯物、風呂、夕飯である。

 

まず、洗濯は却下だ。自分の服に触れられるのも気恥ずかしいが、何より下着もあるのだ。コナンに手伝わせる選択肢などあるはずがない。コナンが自分の下着に触れたりしたら、悲鳴をあげて平手打ちする自信がある。

 

浴槽の掃除は先程終わらせていたので、風呂の準備なんてボタン一つでできる。

夕飯の準備も一人で十分だしまだ時間もある。

 

哀は手伝わせるものが何一つないのを確認し終えるとコナンの問いかけに答える。

 

「別に。いいわよ、小説読んでて。夕飯できたら呼ぶから」

 

「よっしゃ!二回目を読みたかったんだよな」

 

「何で日を開けずに同じ小説を読むのかしら。それもミステリーを……

理解に苦しむわね」

 

「分かってねぇな。いいか、二回目は作者の仕掛けに全部気づいていたか。

見逃していた伏線はなかったか。その時、犯人はどうだったか……」

 

「前に聞いたわよ。つまり、探偵として見落としがなかったかを確認するんでしょ?」

 

「ああ。まぁ、単純に面白かったからもう一回読みてぇってのもあるけどな。

 それに、犯人視点で考えるのも結構面白いもんだぜ」

 

「まぁ、私は興味ないけど。それにしてもいつまで電話してるのかしら?」

 

「さぁ?発明自慢でもしてるんじゃねぇか?じゃ、部屋で小説読んでっから」

 

「ええ」

 

コーヒーを飲み終えたコナンが、待ちきれないといった様子で部屋へかけていく。

それを見送ると洗濯が終了するまでの暇つぶしにと、昨日買ったレシピ本を開く哀であった。

 

その後、夕飯の準備中にようやく受話器を戻した阿笠が、本日のメニューを聞いて落ち込んだりしたが、阿笠邸の時間は緩やかに過ぎていった。

 

「博士、もうすぐ夕飯できるから。部屋にいる彼を呼んできてちょうだい」

 

「分かったぞ、哀君。……しかし、いつ新一は帰ってきたんじゃ?

哀君も気づいたら帰っておったし」

 

首をかしげながらコナンを呼びに向かう阿笠。後半は小さく呟いたため哀に聞かれることはなかったが、もし聞かれていたら呆れた目を向けられていたであろう。

 

その後、夕飯を終え食後のひと時を楽しむ三人。その話題はやはり明日のことと学芸会のことであった。

 

「それじゃあ、明日は子供たちが此処にくるのじゃな?」

 

「ああ。学芸会の練習をすんだと」

 

「一足はやく見れるということじゃな。なんか得した気分じゃのぉ」

 

「台本をもらったのが今日だからな。明日はグダグダになんじゃねぇか?」

 

「台本もらった翌日から練習とは……。気合が入っておるようじゃの。

 君たちも台本を早く覚えないといかんのぉ」

 

「もう覚えたよ」

「私も」

 

「おお、流石じゃの。二人とも」

 

「まぁな(自分たちでセリフ修正したからな……そりゃ覚えるぜ)」

 

流石だとしきりに関心する阿笠に哀とコナンは何とも言えない表情を浮かべる。

それは何故か阿笠の姿に光彦を重ねてしまったからであった。

 

「じゃ、俺は部屋に戻るな。三回目を読むからさ。風呂は……空いたら教えてくれ」

 

「それじゃ、アナタが先に入りなさい。いいわよね、博士」

 

「ん?ああ、構わんよ」

 

「悪いな」

 

「悪いと思うなら「奢らないからな」……冗談よ」

 

こうして阿笠邸の穏やかな夜は過ぎていった。

 

 

 

 

「「「こんにちは~」」」

 

 

翌日の午後二時

 

阿笠邸に元気な声が響く。歩美、光彦、元太の三人である。

 

「いらっしゃい、皆」

 

「お邪魔します、博士。ところで灰原さんは?」

 

「ここよ」

「よぉ」

 

「あ、コナン君も。もう来てたんですね。関心、関心。主人公の自覚があるようですね」

 

「こんにちは。博士、コナン君、灰原さん」

「オッス、博士。コナンと灰原も」

 

阿笠に挨拶をするとすぐに哀の所在を尋ねる光彦。そんな光彦に哀とコナンがリビングから声をかける。二人の姿を見つけた三人はそれぞれ挨拶を交わす。

挨拶を終えると元太がコナンのくつろぐ姿に疑問の声をあげる。

 

「なぁ、コナンいつから「それで、今日は学芸会の練習をするんじゃろ?ワシも見てもいいかのぉ」いんだよ」

 

「ダメですよ。博士は学芸会の日に見に来てください」

 

「だから、コナンは「いや、でも此処で練習するんじゃろ?」んだよ」

 

「だ・か・ら、いつから「いえ、外に絶好の練習場所を見つけたので」……もういいよ、俺の話なんて誰も聞いてくれねぇんだ」

 

「げ、元太君、たまたまだよ!ね、元気出して!」

「あ、歩美~」

「ほら、泣かない!男の子でしょ!ね?」

「で、でも……「大きい体して小さいこと気にしないの!!」……は、はい!」

 

「そうか……残念じゃのぉ。まぁ楽しみは当日に取っておくかのぉ」

「ええ、当日は素晴らしい物をお見せすることを監督、円谷光彦の名に誓います!」

「期待しておるぞ、監督君!」

「ええ、期待してください!」

 

阿笠と光彦が盛り上がっている後ろで、何度も問いかけを遮られた元太が歩美に慰められている。そんな対照的な光景をコナンと哀はため息を吐きながら眺めていた。

 

「……なんだ、コレ?」

「……さぁ?」

「……先が思いやられるのは俺だけか?」

「……奇遇ね、私もよ」

 

「「ハァ……今日は大変な一日になりそう」」

 

まだ練習もしていないのにこの疲れ様なのだ。いざ練習が始まればどうなるのか。

顔を見合わせた二人は今日が大変な一日になると予感した。

 

 

 

結論から言えばこの予感は正しかった。

 

 

 

 

なぜならこの三時間後、練習場所に選んだ廃ビルで―――

 

「あなたを愛してしまったのよ……

 最初に出会った時から……気づいてなかったのね……」

 

「……仮面ヤイバーさん?」

 

「両手を上げて、その場から動くな!!!」

 

 

―――事件に巻き込まれたのだから

 

 




ここからの事件は飛ばします。変更が入らないので。

次話は学芸会後日談の予定。
なかなか更新できず申し訳ありません。次は早くお届けしたいとは思っています。

それはそれとしてアンケートを活動報告(アンケートその1)に投稿しています
期限は1/17までを予定しています。

ご協力のほど宜しくお願い致します。

これからもいくつかアンケートさせていただくこともあるかと思いますが、
ご協力いただけると嬉しいです。

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