帝丹小学校1年B組の教室からは今日も元気な声が聞こえていた。
担任の小林先生が出した黒板に書いた問題をみんなが我先に答えようと大声を出しているのだ。
黒板に書かれている問題は3+2
今は算数の授業時間。
周りが正解をだしたときにもらえるシールを手に入れるため元気に声を出している中そんなご褒美に興味を示さない生徒が2人。
ある薬の影響で幼児化してしまった元高校生探偵と元化学者である。
「なぁ」
「なに」
「オメエはシールいらねぇの」
「もらえない子がいないように当てているもの。あとで当てられた時で十分だわ」
「まぁな。そこらへんは気をつけてるだろうよ。小林先生も」
「それだけ?なら邪魔しないでくれるかしら」
「邪魔って‥‥‥何してんだ?」
「まだ読んでなかったのよ。コレ」
「小学生がサイエンス誌を読むなよ‥‥‥」
その会話を最後に灰原は話しかけても無視するようになった。よほど続きを読みたいのか、会話したくないのか。
コレで暇を潰せなくなった。小学生の授業ってなんて退屈なんだろう。特に算数。
もしかしたら音楽より辛いかもしれない。
俺と灰原には簡単すぎる問題ばかり。まぁ当然だよな。片や高校生、片や化学者。
これで小学1年生の算数の問題を間違えるなんてありえない。
国語や社会、理科はまだいいのだ。
国語や社会は10年の間に記載内容が変わっていた。過去と今で違いを探していけば暇つぶしになるし、何より変わってない所は懐かしく感じる。
理科はまだ小学1年生なので実験はしないけど植物の観察などで校庭にでたりすることがある。
体育は運動だし何よりサッカーもある。むしろ楽しみだ。図工は上手くなりすぎないように気を使うが暇ではない。音楽は歌以外はこの機会に勉強しなおすか。
でも算数はダメだ。教科書が変わっていようが、問題が変わっていようが関係ない。決まっている答えを導くだけ。
答えが一つなところは推理と似ているが、それだけだ。
綿密に計算されたトリックも、複雑な人間関係もそんなものは何一つない。
って何考えてんだ?俺。算数の時間がいくら暇でも算数と推理の違いを考えるとか……
灰原を見るとサイエンス誌は読み終えたのか、前をジッと見つめている。
問題を見ているわけではなく小林先生を見ているようだ。なんか気になることでもあるのだろうか?
コイツも謎のままだよな。ホントは84歳だといったり18歳だといったり。まぁ明美さんの妹なのだから18歳なのだろう。
たまに視線を感じるからどうしたか問えば、
「別に。ただ観察していただけよ」
とか
「気にしないで。興味深いと思っただけよ」
なんて本音か冗談か解りにくいことをいうだけ。研究者としては幼児化した俺なんか格好の観察対象だろうが本人も幼児化している。それだけで見ているわけではないだろう。
そう思わないとサンプルとしての価値しかないってことになる。それは流石に嫌だ。
わかっているのは薬の開発者だったこと、本当は18歳だということ、俺を観察しているっぽいとこ、あとは髪の色と顔立ちから外国の血が入ってるだろうということか。まぁ髪は染めている可能性もあるが。
そして推理力もあるということ。
初めて会った日、子供たちを家に返して一人犯人を追う俺に気づきついて来た。
俺を観察し切符を券売機で買う姿から切符を特定したのは灰原だと子供たちは言っていた。
それにあの古城での事件。血の状態をみたり、俺を探しに入った城の地下で発見した遺体の特徴から犯人を瞬時に見抜いたらしいし。
コイツのことを分かる日はくるのだろうか。未だに名前も知らねぇし。わかってることなんてほとんど推測だし
「じゃこれをコナン君に答えてもらおうかな~」
げっ 聞いてなかった。
「全く君はやる気というものが感じられませんね。元太君だってシール2つ貰っているというのに」
「おい。どういう意味だよ光彦」
「コナン君また授業聞いてなかったの?ダメだよ。ちゃんと聞いてないと」
「そうね。吉田さんの言うとおりよ。ちゃんと授業は聞きましょうね?江・戸・川君?」
「うっせーな」
日常 小学校の授業風景編でした。
きっとコナン君は灰原登場後は暇な授業時間は灰原について考えると思います。
次はこのときの灰原さん視点での話になります。
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