名探偵コナン~選ばれた二人の物語~   作:雪夏

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隠されたエッグを発見したコナンたち。それは世にも珍しい二個で一個のエッグだった。
更に、エッグにはその名前に相応しい仕掛けが施されているのであった……


注意:映画を視聴済であること前提で、所々省略しています。
未視聴の方には厳しいかもしれません。また、独自設定も含まれています。
   独自設定はFile00 独自設定を参照ください。史実との矛盾点なども含まれます。


File12 決着

 

 

 

思い出。それこそが、メモリーズ・エッグに施された仕掛け。

 

壁面に写し出される写真。皇帝一家の写真。それは、何気ない日常を切り取ったもの。惨殺されることになるとは、想像すらしていなかった幸せな日々。

 

 

 

――世紀末の魔術師からの贈り物

 

 

 

その光景を言葉少なに見つめる一同。コナンと哀も例外ではなく、写し出された写真の一枚一枚を見ていく。そのうち、哀が一枚の写真を見た時に感じた違和感をコナンに話す。

 

「ねぇ、ちょっと」

 

「どした?灰原」

 

「あの写真……」

 

哀が指差した写真は、椅子に腰掛ける男性と女性の写真。

 

「女性は、他の写真にも写ってるけど……。ラスプーチンではないわよね?誰かしら」

 

「誰って……あの人が夏美さんの曽祖父、“世紀末の魔術師“香坂喜市さ」

 

「そうなの。皇帝一家と仲良かったのね」

 

哀はそう言うと興味を失ったのか、他の写真を見て回る。しかし、コナンにはある考えが浮かんでいた。喜市と写っている女性。その姿は、哀の言ったように他の写真にも写っている。皇帝の娘のうちの誰か……おそらく、三女のマリア。これだけならば、哀の言うように仲が良かったということなのかもしれない。

 

 

コナンが気にしているのは、そこではない。似ているのだ。彼女に……香坂夏美に。

 

 

コナンにはある考えが浮かんでいた。

 

――夏美が話した喜市の経歴、写真に写る彼女、ドイツ風の城、双頭の鷲。

 

これらの事実から導き出される答え。それがどのような事態を招くのか。

 

考え込むコナンに気づいた蘭が話しかける。

 

「どうかしたの?コナン君」

 

「え?……あの写真」

 

コナンは例の写真を指差す。それは、反射に近い行動であった。今までの積み重ねと言ってもいい。考え事の最中に話しかけられた時、咄嗟にとってしまった行動。

 

コナンは内心焦った。夏美の人生を変えてしまうかもしれない、と。此処で悪戯に真実を伝えることは出来ない。それほどのことなのに、写真を指差してしまった。

 

コナンの焦りなど知らない蘭は、すぐさま夏美に喜市が写っていると知らせてしまう。そして、沢部が腰掛けている椅子から、この城で撮影したのだろうと語る。それを聞いたコナンは自分の考えの確度を高める。同時に、焦りを強めていた。

 

 

夏美は、曾祖母の顔をやっと見られたと喜んでいるが、このままでは自分以外にも勘付くものがいてもおかしくはない。ロシア外交官のセルゲイ、ロマノフ王朝研究家の青蘭がいるこの場で明らかにすべきことなのか。夏美が平穏を望むのなら、明らかにすべきではないのではないか。

 

幸い、喜市の写真に注目しているものは僅かである。今、エッグを台座から外せば……。そう考えたコナンが振り向くと、そこにはエッグに手を伸ばす白鳥が。彼はそのまま、台座からエッグを取り外すと一同に向かい口を開く。

 

「さて、と。そろそろ帰りませんか?」

 

「そうですね。エッグも見つかったことですし。あ、でもそのエッグどうしましょうか?」

 

そう疑問の声をあげる夏美に、セルゲイが声をかける。そのエッグは日本の宝だと。ロシアは中のエッグ共々所有権を放棄する、夏美がもつことが一番だと。その言葉に、小五郎が中のエッグについては、鈴木会長に相談するがおそらく夏美に所有権を譲るだろう、と。

 

そのやり取りを見た白鳥は、夏美にエッグを手渡す。

 

 

 

その光景を見ながら、コナンは台座から懐中電灯を取り出す。そして、真っ先に商談を持ちかけてくる筈の人物がいないことに気づくと、あたりを見回す。

 

「乾さんがいない……?そう言えば、エッグを見つけた時もいなかったんじゃ……」

 

そこに、哀が話しかける。

 

「結局なかったわね。ラスプーチンの写真。皇帝一家と仲良かったんでしょ?」

 

「ん?ああ、喜市さんの書斎にもあったしな。サイン……も……」

 

コナンの脳裏に浮かぶ喜市とラスプーチンの写真。そこに書かれたラスプーチンのサインを思い出した時、コナンはスコーピオンの正体に辿り着く。

 

「どうしたの?」

 

急に固まったコナンを不審に思う哀であったが、コナンは答えずに何かを探す様に周囲を見回す。そして、その視線がある人物で固定される。その人物とは、小五郎。

 

 

 

小五郎の右目に向かい移動する赤い光――ターゲットポインタ――を見つけたからだ。

 

 

 

「あぶない!!」

 

コナンは声をあげると同時に、手に持っていたライトを小五郎に投げつける。コナンが投げたライトを避ける為に、小五郎が体勢を崩すと同時に乾いた音がする。

 

その音に気づいたのは、コナン以外にはいないようで、突然のコナンの暴挙に呆然としている。小五郎が怒鳴ろうとするが、コナンは既に小五郎を気にしていない。彼の視線の先には、今にもライトを拾い上げようとする蘭の姿が。

 

「拾うな!!」

 

コナンの忠告も虚しく、蘭はライトを拾い上げてしまう。蘭は気づいていないが、ライトの光を目印に、その体にポインタを当てられていた。コナンは蘭に駆け寄ると、蘭へ飛びつく。

 

「伏せろ!!」

 

蘭はコナンの勢いに負け、その場で倒れるとライトを放り出す。これで、狙いをつけることが難しくなったと判断したコナンは、大声で指示を出す。

 

「みんな伏せろ!!狙われてるぞ!!」

 

 

 

 

 

コナンの行動、言葉からそれが真実だと感じた一同はパニックになる。逃げ惑う少年探偵団がそれに拍車を掛けていた。哀は子供たちに向かい叫ぶが、彼らは走ることを辞めない。やがて、元太が事態について行けず、呆然としていた夏美に衝突する。その拍子に手からエッグがこぼれ落ちる。

 

「ああっ!エ、エッグが……!!」

 

エッグが転がる音がした後、何者かが出口の方向に走り去る音が……。

 

 

「逃がすかよ……!!」

 

「待ちなさい!!」

 

「毛利さん、後を頼みます!!」

 

腕時計型麻酔銃のライトを点けたコナンは、哀の静止の声を無視し犯人を追いかける。蘭が放り出したライトを拾い上げた白鳥は、小五郎に後を任せコナンを追う。

 

 

 

 

先まで騒然としていたのが嘘のように、部屋には静寂が訪れていた。呆然と部屋の出口を見つめる彼らが、行動を開始するのはしばらく経った後である。

 

そんな彼らの中で、様子が違う人物が二人。

 

哀と蘭である。

 

蘭はコナンが飛びついた時から、何かを考え込んでいるのか全く反応を示さない。コナンが犯人を追って走り出した時も、一言も喋らなかった。

 

哀はコナンを静止しようと声をあげたが、それを無視してコナンが走りだした後から黙っている。その瞳には、心配の色が浮かんでいた。眼鏡を頼りにコナンが無茶をするのではないか。哀には、その考えを否定することが出来なかった。

 

 

 

 

 

一方、犯人を追いかけるコナンは閉じた入口を前にして立ち往生していた。

 

「くそっ!!ここまできて……。いや、中からも開けるスイッチか何かがあるはず……」

 

コナンはここに辿り着くまでに、犯人が仕掛けた爆薬で閉じ込められそうになったり、途中で右目を撃ち抜かれ、変わり果てた姿になった乾を発見していた。それでも追跡を続け、後一歩で城の中というところで、入口を閉められたのだ。

 

「他の皆は……大丈夫。灰原たちと合流した通路までは、問題なく来れる筈。それなら、灰原がもう一つの入口に案内してくれる……」

 

スイッチを探すコナン。やがて、一箇所だけ形が違う模様を見つける。それを強く押し込むと、閉ざされていた入口が音を立てて開き始める。

 

「よし!逃がさないぜ……スコーピオン!!」

 

 

 

 

 

騎士の間。騎士甲冑が並ぶ玄関へと通じる唯一の部屋。そこに、城中に灯油をまき、今まさに火をつける人物の姿があった。その人物は、火がついたことを確認するとその場を立ち去ろうと走り出す。そこに、背後から声が――

 

「ちょっと待った!!テメェだけ逃げようたって、そうは問屋が下ろさないぜ!!」

 

それは小五郎の声。続いて白鳥の声が部屋に響く。

 

「アナタの正体は分かっている。中国人の振りをしているが、実はロシア人――

 

――そう、怪僧ラスプーチンの末裔」

 

 

 

「青蘭さん」

 

 

 

その言葉を聞き、通路の中央へと人物――青蘭――は姿を現す。その顔は不敵に微笑んでいた。

 

 

 

青蘭が中央へと足を進めると、背後から走り去る音が……。振り向きざま発砲する青蘭に、今度は殺したはずの寒川の声が聞こえてくる。

 

「最初は気づかなかったよ。アンタの名前を並び替えると、“ラスプーチン”になるなんてな(二発)」

 

驚愕する青蘭の背後で、甲冑が炎に巻かれ倒れる。その音に反応した青蘭が発砲している間に、また走る音が。その方向に発砲する青蘭は、正体に見えない相手に焦っていた。

 

 

「何なんだお前は!!……寒川は私が!!」

 

 

そこに、再び白鳥の声が。

 

「ロマノフ王朝の財宝は、本来先祖のもの……そう考えたアナタはロマノフ王朝の財宝の強奪を始めた(これで五発)」

 

「執拗に右目を狙うのは……惨殺された先祖、ラスプーチンの恨みを晴らすためだ」

 

 

「……乾」

 

 

 

動揺を隠せない青蘭の前に、人影が姿を現す。その人影に銃を向ける青蘭は、驚愕する。

 

 

そこに居たのは、小さな子供――コナン――であったのだから。

 

 

コナンは、ゆっくりと歩きながら説明を始める。

 

「寒川さんを殺害したのは、彼にラスプーチンの写真を撮られたから(甲冑は彼処か……)」

 

コナンは床に転がっている甲冑の頭部の位置を確認すると、その歩みを止める。

 

「園子には、恋人だなんて誤魔化したが、アレはラスプーチンの写真だ。寒川さんは部屋を回っては撮影してたからな。その時、撮られたんだろ?裏返し忘れた写真を」

 

「何でそれがラスプーチンの写真だと?」

 

「あの写真立てには、英語でGrigorii(グリゴリー)と書いてあった。ロシア語じゃなかったから、すぐには繋がらなかったけどな。それだけが理由なら殺しはしなかったかもしれねぇが……マリアの指輪のことがあったから強引にことを進めたってところか」

 

コナンの堂々とした様子に興味を抱いたのか、銃を手にしている余裕からか青蘭は大人しくコナンの推理を聞いている。

 

「乾さんは……サイレンサーをつけるとこでも見られたってところか?怪僧ラスプーチンの末裔……スコーピオン」

 

「正解だよ、坊や。全く……。まるで、見てきたかのように言うんだねえ。一体、何者なんだい?」

 

その言葉にコナンは不敵な笑みを作ると、告げる。

 

 

「江戸川コナン……探偵さ」

 

 

「探偵ねぇ……」

 

 

「小五郎のおっちゃんを狙ったのは、ラスプーチンを馬鹿にしたから。それと、混乱を起こし逃走しやすくする為。蘭はライトを手に持っていたから……だな」

 

「さぁ、どうだろうね。おしゃべりもそのぐらいにしな。アンタも此処で死んでもらうよ」

 

「その銃……ワルサーPPKSだね。マガジン装填数は八発。乾さん、おっちゃん、蘭で三発。それにここで五発。弾はもうないよ」

 

その言葉を聞いても青蘭は余裕を崩さない。そのまま、冥土の土産とばかりにいう。

 

「いいことを教えてあげる……。装填した状態でマガジンを込めれば……全部で九発発砲できる。つまり、あと一発撃てるのさ」

 

青蘭が余裕であった理由。相手が子供であること、唯一の出口を背にしていること。そして、残弾数。これが、青蘭が終始余裕な態度を崩さなかった理由であった。

 

 

それに対しコナンも態度を崩さない。まだ発砲できるのだと聞いたにも関わらず、だ。それどころか、撃てと挑発までしてくる。

 

その態度を青蘭は不審に思うも、コナンに向けて発砲する。撃たれたコナンは後ろへと弾き飛ばされ、動かない。そこまで、確認した青蘭はコナンに背を向け一言呟いた。

 

「……バカな子」

 

 

 

 

 

一方、未だ城の地下にいる小五郎たちは、岩で塞がれた通路を見て愕然としていた。

 

「くそっ!!これじゃ、出られねぇじゃないか!!青蘭さんも、乾さんもいねぇし。一体、どうなってんだ!!」

 

岩を前に怒鳴り散らす小五郎。そんな小五郎……というより、一同に哀が話しかける。

 

「こっちよ。ついてきて」

 

「こんな時に、どこ行こうってんだ!!」

 

 

「いいから、ついてきなさい!!ここから出たいんでしょ!!」

 

 

「「「「……はい」」」」

 

 

哀の言葉に、怒鳴られた小五郎だけでなく、全員が返事をする。それだけ、今の哀は貫禄があった。この時、一同は同じことを思っていた。

 

((((お母さんだ……。お母さんがいる……))))

 

 

一同にその様なことを思われているとは知らない哀は、一人言い知れぬ不安を押し隠していた。

 

(無茶はしないでよね……工藤君)

 

 

 

 

 

青蘭がゆっくりと城から出ようと歩き出す。その背後で、起き上がる影が一つ。その影から、カチカチッと音が響く。そして、その影――コナン――はゆっくりと右足を振りかぶりながら、去りゆく青蘭に声をかける。その声は、小さくそれでいて不思議と部屋に響いた。

 

「待てよ」

 

「どうして!!」

 

驚き振り向いた青蘭は、コナンの姿を見るなり驚愕の声をあげる。そんな状況でも、青蘭の手は確実にマガジンを交換し、コナンに狙いをつける。そして、発砲しようと引き金に指をかけようとした時、背後から飛来してきた何かに銃を弾かれる。

 

 

そして、そのまま青蘭はコナンが蹴り飛ばした甲冑をその身に受け、意識を手放すのであった。

 

 

「生憎だったなぁ、スコーピオン。この眼鏡は特別性の硬質ガラスに変えてあったんだ。ま、聞こえてないか」

 

コナンは最後に青蘭――スコーピオン――があげた疑問の声に答える。

 

そのすぐあと、白鳥が現れコナンの無事を確かめると青蘭を抱き上げ、脱出を促す。返事のないコナンに白鳥が強く呼びかけると、コナンは視線をある物から外し返事をするのであった。

 

(トランプ……か)

 

「コナン君!!早く!!」

 

 

 

 

 

炎に巻かれた城から辛くも脱出したコナンは、青蘭を連行すると言う白鳥と挨拶を交わしていた。

 

「じゃ、僕はスコーピオンを連行するから……。消防車も呼んだから」

 

「うん。ありがとう(一応、礼を言っておくぜ?)」

 

「そうだ!エッグは君から渡しておいてくれないかな?」

 

「いいぜ。夏美さんに……だろ?」

 

「ああ。そういうことだ」

 

そのコナンの言葉使いに、白鳥は苦笑すると青蘭を連れて去っていく。コナンは阿笠のビートルにその身を預けると、燃えゆく城を眺めるのであった。

 

 

 

 

 

「お城が……!!お城が燃えています!!」

 

哀に案内された一同が、阿笠が用意した縄梯子で地上に戻るなり目撃したのは、燃え上がる城であった。

 

急いで城の正面に向かうも、既に炎の勢いは凄まじく中に人がいるとしても、到底助かるとは思えなかった。

 

「コナン君!!」「コナーン!!」

 

歩美、元太、光彦は口々にコナンの名を呼び、夏美と沢部は呆然としている。小五郎は中へ向かおうとして、セルゲイに止められている。

 

 

それを何処か他人ごとの様に眺める蘭と哀。

 

 

蘭は頭の中で、ただただ新一の名を呼ぶ。そこには、感情の色はない。ただ、呼ぶだけ。地下でも考え込んでいるようで、反応が鈍かったが、今は茫然自失と言った状態である。

 

 

哀もその顔に感情は見えない。ただ、小さく一言呟くだけであった。

 

「バカ」

 

 

 

 

 

「誰がバカだ」

 

 

「……え?」

 

一同が背後を振り向く。そこには、所々ススで黒く汚したコナンがその手にエッグをもって立っていた。

 

「皆ひどいよ。僕がここにいるのに気づかないで通り過ぎるなんて」

 

どうやら、コナンは走ってきた一同を安心させようと近づいたようだが、燃えるお城に気を取られていた為、一同に気づいて貰えなかったようだ。

 

不満を言うコナンの姿に、安心した一同は口々に彼の名を呼ぶ。そんな彼に小五郎は心配させるなと殴ろうとするが、それを察したコナンが先に口を開く。

 

「エッグは白鳥警部がスコーピオンから取り返してくれたよ」

 

「白鳥が……?それで、スコーピオンはどうした?」

 

タイミングを外された小五郎は、スコーピオンについて問いかける。

 

「連行していったよ。スコーピオンである青蘭さんをね。……それと、乾さんは地下で殺害されてたよ」

 

「それも……青蘭さんが?」

 

「うん」

 

次々にコナンの口から明かされる事実に、一同は戸惑う。一緒に居た青蘭がスコーピオンで、乾も殺されていたのだから当然である。

 

「あと、エッグは夏美さんに渡してくれって。消防車も呼んでるよ」

 

 

 

 

遠くからサイレンの音が聞こえて来る中、一同は燃え落ちていく城を眺めていた。

 

そんな中、小五郎が夏美に城が燃えてしまう事態になったことを謝罪する。

 

「そんな。毛利さんが悪いわけじゃありませんし。確かに、お城は燃えてしまいましたが……ここで過ごした思い出はなくなりません。それに、曽祖父が残したエッグがあります。地下室も無事でしょうから……。落ち着いたら、曾祖母の遺骨を曽祖父の墓に収めようと思っています」

 

「それがよろしいかと。喜市様も喜ばれることでしょう」

 

 

その会話を聞きながら、コナンはあることを決めるのであった。

 

 

 

「それにしても、結局キッドの奴は来なかったな」

 

「死んじゃったのかな?」「まさか……」「怪盗はつえーから大丈夫だよ」

 

小五郎の一言から、キッドについて語りだす歩美たち。それに、コナンが口を開こうとすると、目の前にハンカチが差し出される。差出人を見ると、哀が微かに笑みを浮かべていた。

 

「顔、汚れているわ。いい男が台無しよ?」

 

「バーカ」

 

「ねぇ。本当にキッドは来なかったの?」

 

「いや、奴は来てたよ」

 

「そうなの?」

 

「ああ。あ、それと明日お前用事あるか?」

 

「……ないけど」

 

「話したいことがある。後で連絡すっから、空けとけよ。勿論、アイツらには秘密な」

 

「了解」

 

 

 

 

 

かくして、エッグに端を発した一連の事件は此処に解決を見たのである。

 

 

――ある少女に、疑念の心を植え付けて

 

 

 




残すはエピローグのみとなります。ようやくですね。
その内File00 独自設定も仕上げますので。

蘭と哀は比較して書いています。蘭が茫然自失といった感じ、哀は心配、不安。
これは、映画本編でのキャラの様子からこうしました。
実際、蘭はスコーピオンに撃たれた後はコナンを引き止める時以外、全くしゃべりません。燃えるお城を前にしても、新一と思うだけです。これは、普段の蘭らしからぬ行動です。なので、茫然自失なのではと。
対して、哀は小五郎を怒鳴り、小さくですが、バカと言います。これをコ哀脳で考えると、不安、心配の現れになる訳です。

最後に、此処で改めて言うことでもありませんが、マリアと皇太子の遺体が見つかっていなかったのは、映画公開当時の話です。今は、皇帝一家と共に暗殺されていたことが分かっており、歴史的事実とは異なりますので、その点はご了承ください。

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