名探偵コナン~選ばれた二人の物語~   作:雪夏

42 / 82
第四章に突入。四章はとばしていた七月、八月中旬までのお話。

ということで、七月編?です。



第4章 夏休みの2人
File01 回想 七月編


 

 

 

 

昼食を食べたコナンは、阿笠邸でくつろいでいた。コーヒーを飲みながら、優雅に読書を楽しんでいるようである。同じソファーには、哀の姿もあり彼女も読書中。阿笠の姿はなく、子供たちが訪れる予定もない。久方ぶりの静かな時間であった。

 

その時間を破ったのは、コナンの携帯にかかってきた一本の電話である。相手を確認したコナンは、表情を作り電話にでる。

 

「な~に?蘭ねぇーちゃん」

 

笑顔のコナンが甘える子供のような声で会話を進める。それを横で聞いていた哀は、コナンの演技力に感心する。感心するのだが、そんなコナンを可笑しく思う気持ちがあるのも事実である。哀はコナンに内心を悟られないように、努めて無表情を保つ。

 

だが、電話中のコナンには、哀の内心などお見通しのようでジト目を哀に向けている。しかし、その声は変わらず甘えた子供のようであった。

 

 

 

 

 

「うん、分かった。今日は園子姉ちゃんの家に泊まるんだね?おじさんも。博士の家に泊まれないか、聞いてみるね?ちょっと待ってて?」

 

コナンはそう言うと、携帯を少し遠ざけると大きめな声で話しだす。

 

「博士~。今日泊まってもいい?……うん、ありがとう。いいって。うん。分かった。また明日。……はぁ」

 

「お疲れ。あなたも大変ね」

「ああ。それで、今日泊まることになったから」

「また買い物行かなくちゃね」

「オレも行くよ。今日は博士いないし」

「それは当然よ。博士もいないことだし、お肉にしようかしら?何がいい?」

「そうだな~。ハンバーグ……かな?どうだ?」

「そうね……いいわ。それで」

「それじゃ、買い物に行くか」

「ええ」

 

コナンと哀は会話を終えると、帽子を被り玄関へ。そのまま、家から出るとスーパーへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

阿笠邸に戻って来たコナンと哀の手には買い物袋が。夕飯と朝食の買い出しに行っていたようである。

 

二人は買ったものをしまうと、再びソファーへ。読みかけの本を手に持ったところで、コナンが哀に問いかける。

 

「そういやさ」

 

「何?」

 

「夏休みももうすぐ終わっちまうよな」

 

「……そうね」

 

「七月なんて……?あれ?何したっけ?」

 

「いつもと大して変わらないわよ。海に行って事件。山に行って事件。公園に行っても事件。ああ、テニス大会に行って事件ってのも」

 

「こう考えると凄い気がするなぁ。おっちゃんなんて、目暮警部に死神でも憑いてるのかって言われてたからなぁ」

 

「それ、アナタじゃないの?」

 

哀が言うことは最もなことである。哀が研究者として組織にいた時も、日常的に事件が起きていることは知ってはいた。しかし、それは新聞などの媒体を通してのことである。それが、コナンと出会ってからは出かける先々で事件に遭遇しているのである。

 

非科学的ではあるが、それこそ死神に憑かれているか、事件に呼ばれでもしているかのように思えてしまうのも無理はない。

 

 

しかし、コナンは反論する。

 

「まさか。オレもそれなりに探偵として事件を解決してきたが……。事件発生後に依頼を受けて調査することの方が多かったぜ?おっちゃんみたいに、行く先々で殺人事件に遭遇なんて……」

 

そこまで言うと、コナンは黙り込む。確かに、幼児化する前――工藤新一――は調査依頼が主であった。調査報告や調査で依頼者の所に向かった先で事件に遭遇することもあったが、それは調査を受けている以上、いつ事件に発展してもおかしくない背景があったからだったりする。

 

それが、小五郎の元に転がり込んでからは、突発的に事件に遭遇する確率が上がって来ている。だからこそ、コナンは目暮の“小五郎は死神憑き”説を上手いこと言ったものだと感心したのだ。小五郎と行く先々で、事件に遭遇しているのは事実なのだから。

 

 

哀の言葉を聞いても、反論したのはこの事実があったからである。しかし、コナンは途中で気づいた。それは同時にある事実を指し示すのではないか、と。

 

 

小五郎のもとに転がり込んだ日に、コナンの身に起きた奇跡。幼児化。

 

 

言い換えれば、一度死にかけた自分――コナン――に死神が憑いたのではないだろうか。

 

 

コナンは、その馬鹿げた考えを紡ぐことはしなかった。それは、あまりにも突拍子のない考えであるし、哀がそれに何というかなど分かりきっている。

 

『あら、そんな非科学的なことを信じるの?ガキね』

 

こう言うに違いない。コナンには、哀が浮かべるであろう、呆れた時によく見せる表情まで想像することが出来た。

 

 

だから、この考えは言うわけにはいかない。

 

隣で急に口をつぐんだ自分に不思議そうに首をかしげる哀を見ながら、コナンは決意する。わざわざ、哀にバカにされるネタを提供してたまるか、と。

 

 

 

 

 

しかし、コナンは心の中ではわかっていた。それは建前なのだと。

何故、コナン自身もバカバカしいと思うこの考え――死神憑き――を、口にしないのか。その本当の理由。

 

 

両親を失い、姉も失った。そんな彼女に言う事は許されない。それは――

 

 

 

コナンは幼児化し、死神に憑かれた。

では、同じく幼児化した哀は……?彼女も死神に憑かれているのではないか……?

 

 

 

――灰原哀も死神憑き

 

 

 

そんな馬鹿げた考え。

 

 




回想スタート。七月はさらっと。
さらっと……?確かに、七月の出来事自体はさらっと流しましたが。

まぁ、いいです。やりたかったのは八月ですから。

あと、活動報告にお知らせ載せました。


ご意見・ご感想などをいただけると喜びます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。