名探偵コナン~選ばれた二人の物語~   作:雪夏

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回想八月編その3

一言:コナン映画に欠かせないシーンと言えば?


File04 回想 八月編その3

 

 

「落ち着いたかい?」

 

優作が車を走らせながら哀に問いかける。涙を堪えることが出来なかった哀を気遣うように、静かに走り出していた車は既に目的地まで残り僅かの地点まで来ていた。

 

「あ……はい。すみませんでした。急に……」

 

「そんなこと気にしないで。それにしても、新ちゃんの言った通りだったわね~」

 

「え?」

 

有希子の言葉に顔をあげる哀。コナンが何を言っていたのかが気になるようだ。

 

「哀ちゃんはとってもいい娘だって」

 

「彼の勘違いです。私はそんな存在では……」

 

「“素直じゃねぇーけどな”とも言ってたわね」

 

「あぅ……」

 

「やーん、可愛い!! 持って帰りたーい」

 

俯く哀に刺激されたのか有希子が哀を抱きしめる。抱きしめられた哀は為すがままである。その光景は、車が駐車場に停車するまで続くのであった。

 

 

 

 

 

「さて、お店に着いたわけだけど……。まずは携帯ね」

 

工藤夫妻と哀が訪れたのは、杯戸町にあるとある百貨店。米花町内では知合いに遭遇する可能性が高い為、隣町へ来たらしい。隣町でも遭遇する可能性はあるのだが、最も警戒しなければならない少年探偵団の面々が、田舎の親族の元へ遊びに行ったり、家族と小旅行へ出かけている為、隣町となったようである。

 

「携帯ですか……? 既に持ってますよね?」

 

「ん? ああ、私たちのじゃないわよ。新ちゃんとアナタの。連絡を取りやすくなるし、探偵団バッジ? だっけ。それで通信が出来ない距離でも安心でしょ?」

 

「はぁ……って、私もですか? 私、お金が……これ以上、博士に負担をかけることも」

 

「やーね。子供に払わせたりしないわよ。勿論、博士にもね。私と優作の安心の為に買うんだから、機種代も月々の支払いも私たちが持つわよ」

 

あっけらかんとした態度で語る有希子に呆気に取られる哀であったが、そのまま携帯ショップに向かう有希子を慌てて追いかける。

 

「ちょっと待ってください。そこまでお世話になるわけには……。それに安心ってどういうことですか?」

 

「う~ん、昔からなんだけどね? 新ちゃんって自分から連絡しないのよ。それでも、以前は自宅に電話すれば捕まったんだけど……今は、ね? それで、携帯を持たせようって。メールもすぐ見てくれるだろうしね」

 

「それは分かりますが……。私の分はどういうことですか?」

 

「簡単に言うと保険かな。新ちゃんに連絡が取れない時は、哀ちゃんに連絡取ればいいかなって。哀ちゃん経由で状況を把握出来るかもしれないしね。それに携帯があれば、新ちゃんの様子を隠し撮りして送ってもらえるかなぁって。前に約束したでしょ? 普段の様子を教えてって」

 

「え、ええ。まぁ、そう言った理由なら……(本当にいいのかしら?)」

 

一応納得した哀であったが、隠し撮りについては本当にいいのだろうかと悩みだす。そんな哀を促しながら、有希子は店内へと入るのであった。

 

(ま、安全に関して言えばアナタにも言えるんだけどね? 万が一、組織と接触して囚われてしまった場合、連絡手段や発信機の類を一番に始末する筈。携帯を持っていれば、それを始末したことに安心してそれ以上何もしないかもしれない。そうすれば、探偵バッジという連絡手段と発信機の両方を維持できる可能性が……ま、希望的観測だけど、可能性は少しでもあった方がいい。……全部、優作の受け売りだけど)

 

有希子が背後を振り返ると、ゆっくりと歩いてくる優作の姿が目に入った。有希子の視線に気づいたのか、片手をあげる姿が様になっていて、我が旦那ながらキザなやつと思う有希子であった。

 

 

 

 

 

携帯ショップの店内に入った有希子は、早速哀に機種を選ばせる。哀は店内を一通り見渡すと、一番料金が安い機種が展示されているスペースへと向かう。そこには、スマートフォンの台頭で料金が安くなっていたフィーチャーフォンが展示されていた。

 

「あら、スマフォじゃなくていいの?」

 

「あ、はい。こちらの方が安いみたいですし、携帯自体持つことが初めてなので……」

 

「遠慮しなくてもいいのに……。ま、いいわ。ついでに新ちゃんのも選んで頂戴。私が選ぶと文句言うのよ、あの子。全く……」

 

「ハハハ、そう言ってやるな。私たちにとっては可愛い息子だが、アイツも背伸びをしたい年頃。母親が選んだものなんて、恥ずかしいのさ」

 

「そういうものなのかしら……。あ、哀ちゃんが選んだものに文句は言わせないから。心配しなくていいわよ?それじゃ、私たちは向こうで待ってるから。好きなのを選びなさい」

 

「え、あ、ちょ……」

 

言いたい事は言ったとばかりに去っていく有希子と優作。残された哀は、しばし悩んだあと携帯を選ぶのであった。

 

 

 

 

 

「あら?お揃い?」

 

哀が選んだ携帯を有希子に伝えると、有希子はそう発言した。哀が選んだ二つの携帯が、同一機種だったからである。

 

「色違いです。これで好きな方を彼に選ばせれば彼も文句は言わないかと。……色違いなので、彼は嫌がるかもしれませんが」

 

「あら、新ちゃんのことは気にしなくていいのよ? アナタが良いと思うものを選びなさい」

 

「大丈夫です。他の携帯は私の手ではちょっと。彼もその点は同じでしょうし。これ以外となると……キッズ携帯になってしまいます。それは流石に……」

 

「まぁ、スマフォが台頭して来たからね。そっちのタイプは数も少ないから、新ちゃんも色違いでも文句は言わないでしょう。それで、哀ちゃんはどの色がいいの?」

 

「戻ってから彼に決めてもらいます。まぁ、どれを選ぶかは分かっていますが……」

 

有希子の質問に哀がコナンに選択させると答える。しかし、質問した方もされた方も、コナンが選ぶであろう色は分かっていた。

 

「まぁ、確かにピンクとホワイトじゃねぇ。哀ちゃんはこっちのピンクでもいいの?」

 

「……ピンク嫌いじゃないんで」

 

「良かったー。流石に新ちゃんもピンクはね……。じゃ、買ってくるわね。料金プランとかは私に任せて。あなた達は料金なんて気にせず使ってね?」

 

「流石にそれは……」

 

「いいの、いいの。私のわがままで持たせるんだし。それに定額プランってのがあるしね。この後は洋服を買いに行きましょうね?」

 

そう告げると有希子は契約しにカウンターへと向かうのであった。残された哀は、今日はこういう展開が多いなと思いながら佇むのであった。

 

 

因みに優作は、有希子に哀のことを任せて他の店に向かっており、有希子たちの買い物が終わった頃に合流予定である。

 

 

あとがき

 




八月編その3。前回と打って変わってほのぼの系です。

まえがきに書きましたが、コナン映画と言えば何のシーンでしょうか?
私の個人的な答えは爆発シーンだと思っています。それと、エンディングの終わりにあるコナンの目のアップ。

コナンと哀の携帯の機種は原作とは違います。後々スマフォへ移行するので遊びました。
どうせ壊す予定ですし。

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