名探偵コナン~選ばれた二人の物語~   作:雪夏

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短いです。
あと、GWは実家に帰るので、更新できないと思います。環境悪いので。

注意:原作既読推奨。所々端折ってます。

一言: 異次元の狙撃手見ました?


File03 提案

 

 

 

 

 

 ――パシュッ!

 

 病室に響き渡る乾いた音。それは、間違いなくコナンに向けられた銃から発せられた音である。そして、その銃身から発射されたモノは確実にコナンの額を射抜くのであった。

 

「へ……?」

 

 コナンの額には、おもちゃの矢(矢尻の代わりに吸盤)が。予想外の展開に驚くコナンであったが、頭の隅で以前にもこんなことがあったなと記憶を辿っていく。

 そして、その時の事を思い出したコナンは、黒服の人影に質問する。

 

「まさか……父さんなのか?」

 

 問われた人影はといえば、コナンの言葉に可笑しそうに肩を震わせるばかり。焦れたコナンが、再度問いかけようとしたその時、答えは第三者から告げられた。

 

「……もういいでしょうか、有希子さん」

 

「灰原!? それに、有希子さんって……コイツ母さんなのか!?」

 

 その第三者――哀――は、ゆっくりとコナンのベッドに近寄ると、コナンの額に刺さったままになっていた矢を引っ張り、矢を抜き取る。余程吸着力が強かったのか、コナンの額には吸盤の痕が残っていた。

 

「あらあら、カッコイイ顔が台無しね。で、状況は理解出来ているかしら?」

 

「そこで笑い転げてるのが、母さんらしいってことは理解した。……が、こんな悪趣味な真似した理由はさっぱり」

 

 コナンが指差す先には、変装を中途半端に解き、コナンのベッドに顔を埋め笑いを堪えている有希子の姿。彼女の予定では、格好良く正体を明かす筈であったが、おもちゃの矢を額に受けたコナンの姿がツボにハマったようである。

 

「はぁ~、苦しかった。新ちゃんったら、二回目なのに全く同じリアクションだし、矢をそのままにして会話続けるんだもの。あ~、可笑しかった」

 

「うっせぇ。こっちは、マジで灰原に何かあったのかと……。いや、そんなことよりわざわざ日本に戻ってまで、我が子をからかった理由は? また、父さんと喧嘩したのか? それとも、父さんもその辺にいるのか?」

 

「ハズレ。日本に来たのは、新ちゃんが撃たれたって聞いたから、そのお見舞い。優作は締め切りが近いから置いてきたわ。で、何でこんなことをしたかと言うと……」

 

「釘を刺しに来たのよ。正体をバラして楽になろうと考えてる誰かさんにね」

 

 その哀の言葉に、何故そのことをと驚きを顕にするコナン。

 

「何で分かったんだって顔ね。そんなのアナタの顔を見れば一目瞭然よ。私でも分かるんだから、彼女も当然気づいてるでしょうね」

 

「そんな訳で、組織の危険性を思い出させる為にひと芝居打ったのよ。最初は、哀ちゃんが組織に見つかり、脅されて新ちゃんを始末しにくるってストーリーだったんだけど……こっちの方が色々と分からせるにはいいかなって」

 

「……確かに、オレは自分が楽になることばかり考えていたみてぇだな」

 

 コナンは有希子たちの言葉に、ため息を吐き答える。蘭の張り詰めた様子をこのまま見続けるのが辛くて、正体を明かそうとした自分に言い聞かせるように。

 

 

 蘭に正体を明かす。そうすれば、蘭が工藤新一を心配することはなくなるし、心配する蘭を横目に知らぬ振りをする必要もなくなる。自分と蘭の精神的なストレスはかなり軽減されるだろう。

 

 だが、蘭に正体を明かしたからといって、江戸川コナンから工藤新一に戻れる訳ではない。ましてや、組織との関係が変わる訳でもない。結局、江戸川コナンが工藤新一であるということは、秘密にしなければならないままである。

 

 寧ろ、秘密についてはこれまで以上に気を配る必要があるかもしれない。蘭が自分から誰かに秘密を明かすことはないだろうが、蘭の態度から勘付くことはありえるし、何処かの誰かのように蘭がうっかり新一と呼びかける可能性は否定出来ない。それに、蘭は工藤新一に関しては感情的になるところがある。感情が昂ぶって、新一と呼ぶ可能性は高いのではないだろうか。

 

 もし、その場に組織の人間が居たら? その先に待っているのは、自分を含めた関係者全員の『死』である。ピスコの事件後、家族全員の失踪という前例がある以上、その可能性は否定できるものではない。少なくともコナンの正体を知っていると思われる人間は、対象となるであろう。

 

 勿論、隣りにいる少女も――

 

 

 

 

 コナンに見つめられた哀は、その意味が分からず首を傾げるが、コナンが正体を明かさないで済むようにと、ある作戦を提案し始める。

 

「要は、彼女に江戸川コナンと工藤新一が別人と思わせられればいいのよ」

 

「それが出来れば苦労はしねぇよ。まさか、オレに分身しろってか?」

 

「バカね。今のアナタが分身しても、江戸川コナンが二人に増えるだけじゃない」

 

 哀の言葉にあからさまに不機嫌になるコナン。そんなコナンの様子を哀は気にすることなく、話を続ける。

 

「ま、分身ってのは間違ってないわ。その為に、有希子さんに協力して貰うのだから。あまり気乗りはしないけど」

 

「そういう事。私の変装術で、新ちゃんを二人にしちゃいます!」

 

「変装術って言っても、喋り方とかでバレるだろ?」

 

「ええ、ただ変装しただけならね。そこで、これの出番」

 

 そう言って哀は、一つのカプセルをコナンに差し出す。

 

「カプセル……?」

 

「そう。あの事件の経験から作った“APTX4869”の解毒剤……の試作品よ」

 

「なんだと!?」

 

 

 

 哀が差し出したカプセル。

 

 その正体は、工藤新一が江戸川コナンとなった原因である毒薬“APTX4869”の解毒剤の試作品。

 

 コナンにとって、何よりも価値のある薬であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 原作は何処へ。次回は、帝丹祭。このままいくと、レストランの話はなくなりそう。

 有希子来日。
 これらは作中設定です。

 関連活動報告は【コナン】。
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