注意:『第5章 蘇る探偵』は原作既読推奨です。所々端折ってます。
一言: お待たせしました。
有希子たちが工藤邸へと向かっている頃、衣装から着替えた蘭の元に和葉と園子の二人が集まっていた。
「このあと、帝丹祭どうなると思う? 中止だよね?」
「だと思うよ。最低でもここは使えないと思う」
「だよね~。犯人も自供したし、証拠も揃ってて現場保存の必要はないとは言っても……ね」
園子の言う通り、警察は現場保存の為に張っていた規制線を解除する為に作業しており、あと数時間もしない内に使用可能となるであろう。使用する生徒たちの気持ちを考えなければではあるが。
実際、帝丹高校では事件を目撃した生徒のケアや、保護者への説明、今後の授業計画になどについて会議中であり、現状は事件現場への立ち入りの禁止と明日の臨時休校がほぼ決まっている。
不謹慎な考えだとは分かっているが、園子は自分たちの劇で事件を起こさなくてもと考えてしまうのであった。
そんな考えを振り払うように、園子は和葉に話しかける。
「平次君は、流石西の高校生探偵って感じだったね。新一君より凄いんじゃない?」
「アカンよ、園子ちゃん。平次は褒めるとすぐ調子に乗るんやから。大体、工藤君の方が上やって。な、蘭ちゃん。 ……蘭ちゃん?」
「蘭? どうしたの? じーっと携帯見て」
「え? あぁ、コナン君からメールが。何か、お母さんと一緒に新一の家に泊まるんだって」
園子と和葉に注目された蘭が答えると、園子たちは顔を見合わせる。コナンとその母親が何故工藤邸に宿泊するのか、疑問に思っているようである。
「あ、コナン君と新一って遠い親戚なのよ。かなり仲が良くて、新一ってば色々コナン君に教えてたみたいよ。だから、家を提供したんだと思うよ」
「そう言えばそんな話してたわね。すっかり忘れていたけど」
「分かった!」
蘭と園子が会話していると、和葉が突如声をあげる。突然のことに驚いた二人であったが、和葉は構うことなく閃いたことを二人に伝える。
「平次がコナン君のこと工藤、工藤言う訳が今の蘭ちゃんの言葉聞いて分かったわ。リトル工藤なんよ、平次ん中でコナン君は」
「小さな新一君?」
「そうや。コナン君は大人びとると言うか、ホンマに小学生なんかって思うくらい色んなこと知っとるやん? きっと工藤君仕込みなんやろうけど、それが平次には小さい工藤君みたいやと思わせとるんとちゃうかな。で、いつもコナン君が来ると嬉しそうなんは、単純に構いたいっていうのもあるんやろうけど、コナン君は工藤君仕込みの推理力とか知識があるから話をしとっておもろいんとちゃうかな?」
和葉の言葉に顔を見合わせる園子と蘭。平次とコナンが居る場に居合わせたことが少ない園子はピンと来ていなかったが、蘭には幾つか思い当たることがあった。
「まぁ、確かにガキンチョは色んなこと知ってるけど……」
「じゃあ、服部君が今まで苦労の聞き間違いだとか言っていたのは?」
「そりゃ……ついコナン君のことを工藤って間違えて呼んでしまうのが恥ずかしいんやない? それで誤魔化しとるんよ」
「まぁ、確かに恥ずかしいわね。それに男ってのは、自分の間違いってのを認めたがらないもんだしね」
男について訳知り顔で語る園子を他所に、蘭は江戸川文代について考えていた。
(本当にコナン君の母親なの……? 確かに、前にもあってるけど……じゃあ、コナン君は新一じゃない? 確かめないと……)
未だ疑いを捨てきれていない蘭は、コナンへ返信をすると帰りに工藤邸に寄ることを決めたのであった。
一方、工藤邸へと到着した有希子たちは思わぬ人物と遭遇していた。その男は、気を失っている新一を、男と一緒に有希子たちの帰りを待っていた阿笠と協力して部屋へと運ぶ。その後、男はソファーに座ると、物言いたげな有希子に視線を向ける。
「な・ん・で・ここにいるわけ!?」
「おいおい、愛しの旦那様に向かって随分な言い方じゃないかい? それに、君たちだけでは気を失ったままの新一を運ぶことは出来なかったのだから、結果的には良かったのではないかい?」
「それは、そうだけど……。大体、今回は〆切が危ないからパスするって言っていたじゃない」
「ああ、あれは嘘だ。有希子たちの驚く顔を見たくてな。流石に新一が気を失って帰ってくるとは思わなかったが」
そう言うと男――優作――は、新一が眠っている部屋の方へと一度顔を向け、本日の出来事について有希子へと尋ねるのであった。
「ふむ。哀君の推測通りだとすると、あと一時間もかからず目を覚ますということか。まぁ、新一のことについては哀君に任せるしかないな。今もずっと、看病してくれているようだしね」
「……そう言えば、優作が来てたのに哀ちゃん驚いてなかったわね。今もそのまま新ちゃんの看病しているし……もしかして、哀ちゃんには来ること教えてたのかしら?」
ジト目を向けてくる有希子に、優作は苦笑しながら答える。
「おいおい、そんなに睨むな。こっちに来ることは誰にも教えてなかったさ。博士にもな。彼はいい反応をしてくれたよ」
博士の驚いた姿を思い出したのか、楽しそうに笑う優作。そんな優作に納得していないのか、更に問い詰める有希子。
「じゃ、何で哀ちゃんは驚いてなかったのよ?」
「私は哀君ではないからな。こうだろうという推測はしているが、それが正しいかどうかは保証できん。それでも聞くか?」
「ええ。優作の推理が合っているかどうか、後で哀ちゃんに確認しないといけないしね」
「ま、推理というほどのものでもない。あの時の哀君には、私より関心を向けている対象があったということだ。単純だろ?」
「つまりは哀ちゃんにとって、優作よりも新ちゃんの方が何倍も大事ってことね……」
「否定はしないが、言い方に刺があるぞ? まぁ、その関心が責任感から来ているのか、愛情から来ているのか、はたまた別の何かに起因するものなのかは分からんがね。まぁ、有希子なら……」
「当然、新ちゃんに対する愛! ……って、言いたい所だけど……薬の開発者としての責任感が大半でしょうね。新ちゃんへの愛もあるとは思うけど、本人は認めないでしょうね
」
何処か楽しそうな表情で言う有希子。それを同じく楽しそうに眺める優作。今も部屋で苦しげに眠っている新一を他所に楽しげに過ごす姿は、薄情にも思える。無論、全く心配していないということはないのだが、哀を信頼し任せているのだ。
きっと、哀本人がそのことを聞けば、何故信頼してくれるのだろうかと問うだろう。
そして、優作たちは彼女に伝えるのである。
――新一を心配そうに見つめる眼差しだけで、信頼するには十分だ――と
繋ぎ回。ますます原作と乖離していきます。
事件翌日帝丹高校が臨時休校となる。
これらは作中設定です。
関連活動報告は【コナン】。
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作中に登場する人物、企業、建物、団体はフィクションです。