名探偵コナン~選ばれた二人の物語~   作:雪夏

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続。


File02 日常 クリスマス その2

 

 

 

 

 

 

「「「メリー・クリスマス!!」」」

 

 

 

 阿笠邸には子供たちの楽しげな声が響いていた。

 

 

「ほ~れ、お楽しみのクリスマスプレゼントじゃ!」

 

「わー! 歩美楽しみ」

 

「うな重あるかな」

 

「それで喜ぶのは元太くんだけですよ……」

 

 

 メンバーは少年探偵団の面々に阿笠博士。そして……

 

「は~、折角のクリスマスをガキンチョどもと過ごすことになるとは……」

 

「仕方ないよ、園子。京極さんは海外遠征中なんだし。プレゼントは貰ったんでしょ?」

 

 蘭と園子の二人も呼ばれていた。彼女たちは夜に行われる鈴木財閥のパーティーの前に、阿笠邸でのクリスマスパーティーを楽しんでいた。

 

「それはそうだけどさ~。そういや、蘭はどうすんの? 何か新一君に怒ってたじゃない。デリカシーの欠片もないとか」

 

「一応……ね。今何処にいるかも分かんないし、会って顔見たら殴っちゃいそうだから博士に郵送頼んどいた」

 

「おー、怖っ。ま、新一君のことだからクリスマス関係なく事件追ってそうだよね。そうなると、プレゼント貰えるかも分からないか。あ、でも、真さんみたいに郵送してるかもよ?」

 

「そうかなぁ。あの推理オタクがそんな気の利いたことするとは思えないけど……」

 

 そのまま、新一への愚痴を連ねていく蘭。話を振った園子は、ここ数日何度となく聞かされた内容にうんざりしている。

 そんな二人の傍から黙って離れるコナン。無論、自分のことが話題にあがっているのもあるが、蘭の機嫌が未だ悪いことが原因である。

 結局、コナンは騒いでいる子供たちの所も避けて一人静かに過ごしている哀の所にやってきた。

 

「あら、彼女の傍にいなくていいの?」

 

「あー、蘭はまだ……な? プレゼントの方もまだ届いてないみたいだし」

 

「時間指定にしなかったの?」

 

「この時期は配達物が多いとかで、断られたんだよ。まぁ、ギリギリに出したオレも悪いんだけどさ」

 

 ブツブツと呟きながら隣りの椅子に腰掛けてきたコナンに、眉をひそめた哀は黙って席を立つ。そのまま暫く独り言をつぶやいていたコナンは、淹れたての紅茶の香りに顔をあげる。そこには、哀が用意したであろうティーカップが一つ。そこに、哀が紅茶を注いでいく。

 

「これでも飲んで気を落ち着けたら?」

 

「わりぃ。……うん、たまには紅茶も中々……。そういや、お前は博士に何貰ったんだ?」

 

「秘密。そう言うアナタは何を貰ったのよ」

 

「オレ? 今年は物じゃなくて……ま、気にすんな」

 

 そう言って紅茶を飲むコナンに、語る気がないのだと感じた哀はそれ以上追求することはしない。元々、そこまで興味があった訳でもないからである。

 暫くそのまま紅茶を楽しんでいた二人だったが、プレゼントの興奮から覚めた子供たちに引きづられ、その輪の中に入っていくのであった。

 

 

 

 

 

「それじゃ博士、コナン君のことお願いね? コナン君も幾ら冬休みだからって明日はちゃんと帰ってくるのよ?」

 

 阿笠邸でのパーティーも終わり、子供たちがそれぞれの家へと帰り蘭たちが次のパーティーに向かう為に阿笠邸の玄関へと向かう。その際、蘭は本日も泊まることになっているコナンに声をかけていく。

 

「うん」

 

「心配せんでいいぞ、蘭君。コナン君はしっかりしとるしのぉ。もう二三日居ってもいいくらいじゃよ」

 

 軽口を言う阿笠に苦笑しながら、もう一度コナンのことを頼むと告げると蘭は阿笠邸を後にする。

 その姿を見送ったコナンと阿笠は、一度顔を見合わせると苦笑を浮かべ家の中へと入って行くのであった。

 

 

 

 

 

 それから数時間後。クリスマスと言う事でいつもより少し肉が多い料理に阿笠が感涙したり、明日からの粗食を言い渡され涙したりと小さな出来事はあったが、概ね穏やかな時間を過ごしていた。

 そんな中、先に休んだ阿笠を起こさぬよう静かに移動する影があった。その影――コナン――は、地下室へと足を進めると中に居るであろう人物へと声をかける。

 

「入るぞ、灰原」

 

「あら、こんな夜中に何の用かしら」

 

「ああ、ちょっとな」

 

 そう言うと無言で手招きするコナンに、哀は首を傾げながらも近づいていく。

 

「本当に何の用なの?」

 

 すぐ近くまで寄ってきた哀に、コナンは隠し持っていた袋を差し出す。そのコナンの行動に驚き戸惑っているのか、哀は中々受け取ろうとしない。やがて、焦れたコナンが口を開く。

 

「やる。」

 

「え?」

 

「だから、やる。クリスマスプレゼント! お前には色々世話になってるし、約束もしたしな」

 

「約束……?」

 

 コナンの言葉にようやく事態を飲み込んだ哀が、プレゼントの包みを受け取る。しかし、彼女にはコナンの言う約束が何を指すのか見当がついていなかった。

 そんな彼女の様子にコナンが、プレゼントの中身について説明する。

 

「前に約束したろ。フサエブランドのキーケースともう一つって……。博士に頼んで買ってきて貰ったんだ。おかげで、今年のプレゼントはなしだぜ」

 

 おどけて言うコナンに、哀は未だ信じられないと言いたげな表情だったが、我に返るとコナンに少し待つように言う。そして、机へと向かうとその引き出しの奥の方から袋を取り出す。

 

「これ、アナタにあげるわ」

 

「クリスマスプレゼント?」

 

「……まぁ、そうなるわね。中身はブックカバーと栞。アナタ外でもミステリーを読んで目立っていたから、それで隠しなさい」

 

 気恥かしいのか、最後はやや早口で告げそっぽを向く哀。そんな哀の様子に、何故か込み上げてくる笑いたい気持ちを必死に押しとどめるコナン。奇妙な沈黙は数秒続くのであった。

 

 

 

「じゃ、オレ寝るから。お前も早めに寝ろよ?」

 

「ええ」

 

 どうにか吹き出すことを抑えたコナン。哀もようやく落ち着いたらしく、いつもの表情に戻っている。そんな二人は、時計を確認し日付が変わっていないことを確認すると、お互いの考えていることがわかったのか小さく笑い、同時に口を開くのであった。

 

 

 

「「Merry Christmas」」

 

 

 

 




 クリスマス編その2。
 哀とコナン以外のプレゼントの中身はご想像にお任せ。

 私はイブは両親と過ごし、クリスマス当日は弟夫婦にお呼ばれしています。やったね。ぼっちじゃないぞ!

 京極さん関連。
 これらは作中設定です。

 関連活動報告は【コナン】。
 ご意見・ご感想などをいただけると喜びます。モチベーションもあがります。
  作中に登場する人物、企業、建物、団体はフィクションです。
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