時間軸は小学校六年の春。
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帝丹小学校生徒会室。普段は生徒会活動に使用される場所に、数人の生徒たちが集まっていた。その中の一人、生徒会長の席に座っていた人物が発言する。
「さて、僕たちが六年生、最終学年になって早二ヶ月が経ったわけですが……」
「そんな前置きはいいから、早く俺たちを集めた理由を言えよな」
「まぁまぁ、元太君。光彦君が生徒会長をしてるおかげで、
発言したのは順に、光彦、元太、歩美である。
彼らが何故、生徒会室にいるのかと言うと……
「それでは、本年度第一回目の観察報告会を始めます!!」
この為である。
――観察報告会
読んで字の如く観察したことを報告する会……ではない。観察報告会とは略称なのである。
非常に長ったらしい正式名称が別にあるのである。それは――
それを略して
最初は会名もなく、三人で不定期に“ある二人”についての愚痴を言っていたのが始まりであった。
それが今では、五人の人間がそれぞれ集めた“二人”の情報を報告する会に成長したのだ。
今では年四、五回開催しており、その内容をまとめたものを会員――情報提供者たち――に配信している。
そして、肝心の対象者である二人とは……
「さて、各人が集めたコナン君と灰原さんの目撃談からにしましょうか。まずは……マリアちゃんから」
コナンと哀の二人である。
報告その1 報告者マリア
うちが集めた
彼女……そうやなAさんとしとこか。AさんはGW前に母親と買い物しとったんや。それで、その帰りにケーキショップ行ったんやて。そこで、哀ちゃんを見かけたそうなんやけど……。
最初はAさんも、ただケーキを買いに来たんや思うとったそうや。でも、話しかけようと近づくと店員さんとの会話が聞こえてきたんやて。
『お、哀ちゃんじゃない。そうか、もうすぐだったわね?今、旦那呼んでくるから』
『いつもありがとうございます。この前も材料を分けてもらって』
『いいのよ、お金は貰ってるんだし。あ、○○さん、アイツ呼んできて!哀ちゃんが来てるって言えばいいから。……それで?バレンタインは上手く焼けた?』
『ええ。喜んでくれました』
『それは良かったです。こちらも、材料を提供したかいがあります。それにしても、彼は毎年哀ちゃんの手作りをもらえて幸せ者ですね』
『あら、早かったわね?』
『ええ。丁度、ひと段落した所でしたから。それで、いつものですか?』
『そうですね……。今年はホールの方は七号
『おや、七号ですか……今年は参加者が多いみたいですね?』
『九人なんですけど、一人大食漢がいるので丁度いいかなって』
『ロウソクはどうするの?えっと、十二歳になるんだっけ?』
『はい。四日で十二です』
『十二歳ですか……早いものですね。哀ちゃんが最初に『レモンパイの作り方を教えてくれませんか?』って言ってきた時は、驚きましたよ』
『店を開いた時だから、もう五年も経つのか。それから毎年だから、哀ちゃんもやるわね』
『あの時はご無理を聞いて頂きありがとうございました。彼も私も此処のレモンパイが好きで……』
『いいんですよ。暇していましたし。嬉しかったですしね。それで、プレートはどうします?哀ちゃんが書いてもいいんですよ?“Happy Birthday Conan”って。それか……』
そこまで聞いた時に母親に呼ばれて帰ったそうや。な?スゴイやろ?
静かにマリアの報告を聞いていた一同は、報告が終わるなり口をひらく。
「つまり、コナン君のバースデーケーキは灰原さんが用意していたと。それも、毎年」
「みたいや。うちらには博士が用意するからって言うとったけど。嘘やったんやな」
「しかも、今年のは哀ちゃんがプレート書いたかもしれないの?」
「かもしれんな。しかも、バレンタインにも何かをしとるようやし。それに確か、レモンパイって……」
「おう、コナンの好物だぜ!」
「それにアレってのも気になりますね。パーティーの時はそれらしきものはありませんでしたし」
「まぁ、いずれ真実は明らかにするとして、次の報告にうつりましょう」
報告その2 報告者元太
俺が聞いたのは、いつも通りの奴ばっかだな。買い物にいったら、二人で歩いてるのを見たとか、二人で食材買ってたとか。あとは、公園に行ったら、二人で花見していたみたいだってのもあったな。
今回はこれくらいだぜ!
「それだけですか?元太君」
「おう!」
「いつもの感じだね。これは報告書にはいらないかな」
元太の情報は変わり映えしないものばかりであった為か、いまいち盛り上がりがない。
そんな周囲を見渡し、首をかしげたのは、坂本たくまであった。
「なぁ、東尾」
「なんや?たくま君?」
「二人で花見ってのは、流すようなことなのか?」
「そうやなぁ。たくま君は去年の夏からやったっけ?なら、買い物をスルーしたんは分かるやろ?」
「ああ。俺も何度も見てるしな」
「花見もな?毎年目撃されとんのや。正直、珍しくはないんよ」
「まぁ、確かに。俺も見たしな」
「うちも見とるで」
「米花公園で」「杯戸公園で」
「「え?」」
「では、次の報告に「「待った!!」」……なんでしょう?」
次の報告に移ろうとした光彦を、マリアとたくまの二人が遮る。
「元太に聞きたいんだけどさ。その花見を見たのって何処か分かるか?」
「そんなことですか。元太君何処か答えてあげてください。どうせ、米花の森公園でしょうけど。僕も見ましたからね」
「え?違うぜ?確か、なんとか神社って」
「……ねぇ。歩美は別の場所で見たんだけど」
「俺は米花公園で、東尾は杯戸公園で見た」
「……少なくとも、五ヶ所ですか。もしかしたら、今までも複数箇所だったのかもしれませんね。とりあえず、コレは報告書にまとめておきましょう。次です」
報告その3 報告者たくま
皆知ってるかもしれないけどよ、四月にC組に転校生が来ただろ?そいつが、灰原に告白して、振られたんだ。でさ、それの続きがあったんだ。
『好きです!『ごめんなさい』付きあって……即答!?』
『罰ゲームか何かでしょう?私に告白するのはそういう人だもの』
『お見通しですか。じゃ、もう一ついい?』
『何?』
『いや、いくつか聞いてこいって言われたんだよね』
『いいわよ、聞いてあげる。答えるかは質問次第だけど』
『ありがと。一つ目は……好きな食べ物は?』
『レモンパイ』
『レモンパイっと。次は……好きなスポーツは?』
『サッカー』
『サッカーっと……それって観戦?』
『そう』
『嫌いな食べ物は?』
『秘密』
『嫌いなものは?』
『秘密』
『じゃあ……えーと』
『もういいかしら?人を待たせてるの』
『それって彼氏?』
『……だとしたら?』
『誰?江戸川ってやつ?』
『……秘密』
だってさ。本人も皆知ってることだからって話してくれた。まぁ、告白が本気だったってのはここだけの秘密にしてくれってさ。
たくまの話を聞いた一同は、複雑な顔をする。
「罰ゲームやなかったんか……」
「僕はそれよりも、彼氏かって聞かれた後の答えが気になりますね」
「だよね。否定してないもん」
「違うなら、違うって言うよな。灰原ならさ」
「どうやろか。罰ゲームって思っとったんなら……」
「でも、面倒事が嫌いな哀ちゃんが言うかな。そんなこと言ったら、色々噂されたりするじゃない」
「でも、うちらはそれを知らなかったやん?」
「……これは微妙ですね。報告書に載せるか多数決をとります。載せる人……。次、載せない人……。はい、載せる二票、載せない三票で載せないことに決定しました」
この後も、様々な目撃情報を報告し合う一同であったが、学校に遅くまで残ることは出来ない為、今回は解散することになる。
「今回は此処までですね。う~ん、夏休み前にもう一度やりますか?」
「そうだね。夏休み中の目撃情報はいつも多いから、その前に一回やった方がいいかも」
「皆さん、それでいいですか?」
「おう」「いいぜ」「うちもええよ」
「それでは、次は夏休み前で」
思いつきです。
シリーズ化するかは不明。
コナンの誕生日である五月四日近辺の目撃情報については、たくさんあったので今回省きました。
※1 七号:ここでの七号はケーキのサイズのこと。七号で大体10~12名