名探偵コナン~選ばれた二人の物語~   作:雪夏

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サブタイトルは変わる可能性があります。

今回は阿笠邸での一幕。前話と同じ日の放課後のお話。
少しずつ模造設定が出てきます。


File06 日常 阿笠邸編 その1

 

「明日は帝丹小学校の創立記念日です。お休みだから間違えて学校に来たりしちゃダメよ?木曜日にみんな元気に会えるのを先生待ってるからね。」

 

 

 

「「「「は~い、小林先生さよーなら」」」」

 

 

 

小林先生に別れの挨拶をして去っていく子供たち。少年探偵団も挨拶したあとにいつものように一緒に帰り道についていた。普段なら放課後は公園で遊んだり、極まれに少年探偵団としての活動を行っている。

しかし、今日は歩美が母親と出かけること、元太が小テストの結果が悪かったために家の手伝いをすることが決まっていたため、いつもの分かれ道で解散することになった。

 

 

 

分かれ道まで他愛ない会話――主にコナンの音痴について――をしながら

 

 

「明日は博士に頂いた割引チケットで映画を見に行くんですよね?」

 

 

 

「それじゃあ明日何の映画見るか決めないと。あぁでも歩美早く帰らないとダメだからそんな時間ない……」

 

 

 

「じゃあ各自で候補を考えてきて明日行く前に相談して決めましょう。ベイカ映画街の映画館すべてが対象の割引券ですから短時間では選べないでしょうから」

 

 

 

「だな」

 

 

 

「お二人もそれで構いませんよね?」

 

 

 

「えぇ、それでいいんじゃないかしら。ね?江戸川君」

 

 

 

「……あぁ」

 

 

 

「じゃみんな明日映画街の入口に……見る映画を決める時間も考えて、九時に集合ということで」

 

 

 

「それじゃ私たちこっちだから。また明日ね」

 

 

 

「バイバイ灰原さん。コナンくんもまた明日」

 

 

 

「明日おくれんじゃねーぞ。……ところで光彦、こうほってなんだ?」

 

 

 

「元太君が一番心配なんですけど。それじゃお二人ともまた明日に。候補というのは……」

 

 

歩美、光彦、元太の三人は話しながら帰っていく。しばらく黙ってその姿を見送っていた二人だが、どちらも相手に声をかけることなく歩き出した。

 

 

 

「……音痴をいじられたくらいで不機嫌になるなんてまだまだ子供ね」

 

 

 

「……」

 

 

 

その言葉を最後に二人の距離は次第に離れていき、今はコナンの後を一メートルほど離れて哀が歩いている。傍から見れば一緒に下校しているというより、たまたま同じ方向に帰っているだけにみえることだろう。

 

 

 

「ねぇ、朝言ってたけどこのあと家に来るのよね」

 

 

「……あぁ」

 

 

「一度探偵事務所に帰るの?」

 

 

「……いや、このまま行くよ」

 

 

「……そう」

 

 

哀の問いかけに端的に答えるコナン。

 

 

「オメェー映画何が見たいんだ?」

 

 

「……特にないわ」

 

 

「映画街の場所知ってるか?」

 

 

「……調べられるわ」

 

 

「分からなかったら迎え行く。というか今日泊まるかも」

 

 

「……そう」

 

 

コナンの問いかけに端的に答える哀。お互いに質問をしては答えていく。

次第に二人の間の距離は短くなっていく。

 

 

「夕飯の材料あなたの分まではないわよ」

「出前でいいじゃねーか」

「あなたの奢りね」

 

「おいおい……。

小学生にたかるなよな」

 

阿笠邸が視界に入るころには二人の間にあった距離はなくなっていた。

 

 

 

 

「ただいま」「きたぜ~博士」

 

 

哀が帰宅をコナンが来訪を告げるが家主からの返答はない。

二人は顔を見合わせたあと玄関からリビングへと移動する。

 

 

家主の阿笠博士の姿は見えなかったが、すぐに書置きを発見する。

 

『おかえり 哀君

 今日は新一が用があるとかで家に来ることになっておるが

 ワシは少し買い物に行ってくるからの。

 何を買いに行くかは秘密じゃ。

 

 新一が先に来たらワシが買いに行ったものでも推理させておいてくれ。

 ヒント:買うものは新一が喜ぶもの』

 

 

「アナタの喜ぶものを買いに行ったんですって」

 

「俺が?ミステリーものの新刊はまだ当分先だし……」

 

 

「私カバン置いてくるわ。アナタもカバンくらい下ろしたら?」

 

 

哀はそう告げるとカバンを置きに行く。

コナンはカバンを下ろしてから周囲を見回すとテーブルへと近づいていく。

 

 

哀が戻ってくると、コナンはソファーに座り持参していた推理小説を読んでいた。

哀が向かいに座りファッション誌を広げながら問う。

 

 

「で、分かったの」

 

「一応な」

 

「へー。流石は名探偵殿。で、答えは何かしら。」

 

「知りてぇのか?」

 

「アナタが喜ぶものに興味はないけど、

アナタが分かったふりをしてるだけかもしれないじゃない」

 

「そんなことするかよ。ヒントはそこのテーブルの上にあるチラシ」

 

コナンは哀にジト目を向けたあと、顎でテーブルを指し示す。

それにジト目で返したあとテーブルへと近づき、チラシを手に取る。

 

「オープンしたばかりのケーキ屋のチラシ?

 じゃあ、博士はケーキを買いに行ったっていうの?」

 

「おそらくな。他のチラシは一箇所にまとめて置いてある。

ところが、そのチラシだけはよけておいてあったろ?」

 

「そうね。だから私も一番手前にあったこのチラシをまず手に取ったのだから」

 

「そう、博士はチラシを眺めているときにそのチラシを見つけ手にとったんだ。

 そしてある記述を見つけ、それを俺が来る前に買う為に出かけることにした」

 

「その時、テーブルの手前に手に持ったままだったこのチラシを置いたってわけね。

 だから一枚だけ離れて置かれていた。そして書置きを書いたってわけね。

ついでに先にアナタが来たときの暇つぶしも用意して」

 

「まぁそういうこと……。

そして、そのケーキ屋に買いに行ったものってのが……」

 

 

「「レモンパイ」」

 

 

「じゃよ」

 

 

突然の声に声がした方向を探すと、チラシに書かれているケーキ屋のロゴの入った

箱を両手に持ちこちらを笑顔で見る阿笠博士の姿があった。

 

「よう、博士。お帰り」

 

「意外と早かったわね」

 

「そこまで遠いところにある店じゃないからの。

それにしても新一には暇つぶしにもならなかったかの」

 

「まぁ俺が喜ぶものってヒントで、そのチラシを見ちまうとな」

 

哀は先程から持ったままのチラシに目を向ける。

そこにはオープンの文字とともにある文章がデカデカとに書かれていた。

 

『おいしいケーキと一緒に当店自慢のレモンパイを是非ご賞味あれ!!

 本場で修行したパティシエがお届けする自信の一品です!!』

 

「そうね。工藤君の好物がレモンパイと知っている人ならすぐ分かりそうね」

 

「しょうがなかろうて。あまり待たせるわけにはいかんと思って、

ヒントを考える暇がなかったんじゃから」

 

 

そう言って、阿笠は肩をすくめてみせると哀に箱を手渡す。

 

「こっちの箱はパティシエさんオススメのケーキじゃ。

いや~レモンパイだけのつもりがどのケーキもおいしそうでのぉ」

 

「あまり調子にのって甘いもの食べてると危ないわよ、博士。

 ただでさえメタボ体型なのに」

 

「ハハハハ……」

 

哀の忠告に苦笑を返す阿笠。そんなやり取りをコナンは微笑ましそうに眺める。

 

「なによ」

 

そんなコナンに気づいた哀がジト目で問いかけるがコナンは何もいわない。

哀はコナンに語るつもりがないのを見て取ると諦めて別のことをコナンに尋ねる。

 

「アナタ、レモンパイが好きなのね」

 

「なんだよ。悪いか?」

 

「あら、私もレモンパイは好きよ。他のパイより甘さ控えめなものが多いし。

トッピングにメレンゲ、クリーム、ジャムのどれを選ぶかでまた味が変わるのよね」

 

「俺はどれも好きだけど、一番はジャムを使ったヤツかな。

アップルパイの中身がレモンってヤツ」

 

「また珍しいわね。日本ではレモンパイってマイナーな方でしょう?

その中でもジャムを使ったレモンパイって扱っているお店も少ない気が……」

 

レモンパイ談義を始めようとする二人に阿笠が慌てる。

 

「ちょっと待った。新一は用があってきたんじゃろう?

レモンパイはそれが終わってからということで」

 

「ああ、そうだったな。用事を先に済ませちまうか。灰原続きはあとだ」

 

「いいけど、あなた結局どうするの。夕飯とか」

 

「あーどうすっかなぁ。時間かかるかもしれねーし」

 

「時間かかるような用件なのかの?一体何なんじゃ?」

 

「あぁ。今度の金曜日に前の古城の事件の事情聴取に行くことになっているだろ?

推理を俺が博士に聞いて喋ったとか、打合せしておいた方がいいだろ」

 

「別に大丈夫なんじゃないかの?」

 

「いや、小学一年生の俺が推理し真相を暴いたなんて幾らなんでも無理がある。

それよりも監禁されていた時に博士から推理を聞いていて、

犯人を油断させるために俺が推理したように見せかけたとした方がまだ自然だ」

 

「確かに言うとおりかもしれんのぉ。手がかりを見つけたとかならまだしも

真相となると流石にのぉ」

 

「幸いなことに俺たちの聴取は目暮警部だ。

何度か博士が推理している姿を警部は見ているからな。

推理したのは博士ってことですぐ信じてくれるだろうし」

 

「それすぐ終わるの?概要だけなら簡単かもしれないけど。

 万が一細かいことを聞かれた時の用意はしておくべきじゃないかしら?」

 

「そうだな。今日は泊まることにするか。それなら時間を気にしないでもいいし。

 明日は9時に映画街だからそのままで問題ねぇし。いいだろ、博士?」

 

「ワシは構わんが。ちゃんと連絡するのだぞ」

 

 

コナンが博士の家に泊まると連絡したあとそのまま打合せに入るコナンと阿笠。

打合せは三時間ほどかかり終わった頃には夕飯どきに差し掛かっていた。

 

 

「あーもうこんな時間かのぉ?新一、哀君夕飯はどうしようかの?」

 

「あら、夕飯の材料は三人分ないわよ。工藤君がおごってくれるんでしょ?」

 

「太っ腹じゃのぉ新一」

 

「冗談だよな?な?」

 

「まぁ冗談はさておき出前か外食どっちがいいかのぉ」

 

「「出前」」

 

(君ら仲いいのぉ)

 




レモンパイについては自分の主観です。

原作で蘭が作ったレモンパイはおそらくジャムを使ったタイプ。
クリームやメレンゲで作る場合はデタラメに作り方を教わったとしたらどうあがいても美味しくならないと思うので。

また、哀ちゃんが博士の健康面を管理していない理由はまだ居候して1ヶ月も経っていないというのが大きいです。流石に会って間もない人の食生活にいきなり干渉することはないと思います。

この1ヶ月で食生活がわかってきたのでそろそろ干渉したほうがいいかしらって思っているところですね。


次話は映画にでかけるまでの一幕です。
まぁ映画館行ったあとは原作と同じなので省く予定です。


以下設定裏話

模造設定その1
哀ちゃんがレモンパイを好き

これは哀ちゃんがイギリス人とのハーフということで生まれた設定です。

コナンの好物はレモンパイ⇒そういえばイギリスはパイのイメージが強い⇒母親の得意料理がパイ⇒明美さんもよく食べていた⇒志保と会うときはいつもスイーツがパイ系に⇒明美さんに付き合ってるうちにパイ系スイーツが好きになる志保⇒レモンパイが特に好き

こんな妄想の末生まれた設定です。
まぁレモンパイなのはコナンと好物が一緒っていいよねってだけですが。

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